アクトレイザー

アクトレイザー/加藤元浩/全3巻


ガンガンファンタジーで連載されていた、SFCソフト「アクトレイザー」のコミカライズ。



・内容
この作品は2章構成になっています。

1章はダーツという泥棒の少年が主人公。といっても義賊であり、悪い連中からしか盗みはしません。
それでも一応は捕らえられ、牢屋の中へ入れられることに。
ダーツはすぐに縄を解いて脱走の準備を整えますが、同じ牢屋の中に老人がいるのに気付くのでした。

同じ頃、魔族が国を攻めてきます。
城に捕らえられていたダーツは何事かと思っていると、老人が全てを説明してくれます。
そして老人はダーツに剣と玉を託して消えるのでした。

脱走したダーツは、この国の姫であるアリシアの安否が気になって城の中を探し回ります。
そして屋上へ行くと、そこにはアリシアとゲックという魔族が。

老人から受け取った剣であるカオススレイヤーを使って戦うダーツですが、
ゲックは卑怯にもアリシアの方を狙って魔法を放ってきます。
間に合わないと思ったダーツは魔法を跳ね返す力のあるカオススレイヤーをアリシアに投げ、
自らは魔法の直撃を受けてしまうのでした。

1年後。カオススレイヤーを背負ったアリシアは、兵たちを率いて魔族への反撃のチャンスを伺っています。
数人の兵を引き連れて地下から城へ侵入したアリシアですが、それは罠で目の前にはゲックが。
絶体絶命…と思われたところへ竜に乗ったダーツが登場。
アリシアからカオススレイヤーを受け取り、見事ゲックを倒すのでした。

1年前、ゲックの魔法を受けて死んだと思われていたダーツですが、
老人からもらった玉からドラゴンが出てきて助かったと。
しかし鎖骨が折れてしまったため、回復までに1年を要したというわけです。

1年ぶりの再会となったわけですが、ダーツとアリシアの仲は良くありません。
どうやら昔に何かがあったようなのですが…。
神様の使いとして地上へ派遣された天使がダーツに接触し、そのことについて尋ねると、
約束を破ってしまったことがあるそうで。

天使の粋なはからいで2人の仲は修復し、ダーツがアリシアを守ることを誓います。
アリシアがダーツに感謝の言葉を述べたその瞬間、彼女の姿は消えてしまうのでした。

竜を操り単身敵の居城へ乗り込むダーツ。
アリシアはサタンという魔族の王によって連れ去られてしまったということが分かったためです。
サタンの城へ到着したダーツですが、アリシアは魂を凍らされていて何の反応もしません。

そして始まるサタンとの対決。
圧倒的な力の前にやられる一方のダーツですが、謎の声の導きによってサタンを見事撃破。
声の主はサタンの母親である人間。サタンも元々は人間でしたが、憎しみから悪へと変わってしまったのです。
死んだことで元の純粋な少年に戻ったサタンは、母親に連れられて天へと帰っていくのでした。

サタンは死にましたが、アリシアにかけられた魔法は解けません。
そこに、牢屋でダーツに剣と玉を渡したあの老人が現れます。その正体は神様。
神様は寿命が迫っており、後継者としてダーツを選んだというわけです。

ダーツは神になるのを一度は拒否しますが、アリシアを元に戻すには自らが神となって力を使うしかないことが分かり、
守ってやるという約束を果たすためにそれを受け入れます。
そして意識のないアリシアにキスをし、去っていくのでした。

2年後。人類は協力して魔族を一掃し、国の再建が進んでいます。
そして花を摘んでいたアリシアの前に現れた1人の男、それは…。
神様の体調が落ち着き、まだ多少の猶予が残されていたため、
地上を寂しそうに眺めるその若者を今しばらくの間地上へと戻してやることにしたのでした。

1章はこれで終わり、2章はそれから300年後が舞台となります。

かつて協力して世界を魔族から救った大国ですが、
内乱を繰り返して今はビルトラン、パルシア、ドーアという3つの国へと分かれてしまっています。
その中の1つであるビルトランの王子フィルが2章の主人公です。

遠征からビルトランで帰国した王様は怪我をした1人の女性を連れています。
その名はモリガンと言い、亡くなったお妃様(フィルの母親)にそっくり。
それを見たフィルは惹かれていきます。
しかし王様はただならぬ気配を感じており、怪我が治ったらすぐ出ていくようにモリガンへ告げます。
それを知ったフィルは反発するのですが…。

その日の夜、父親を説得しようと部屋へ行ってみると、
部屋の中では父親が胸に剣を突き立てられて死んでいるのを発見。
それだけでなく、騎士団の隊長であるライアルも死んでいます。
フィルは父親に刺さった剣を抜こうとしますが、そこを運悪く兵士に目撃され、
2人の殺害容疑でフィルは裁判へかけられることになってしまうのでした。

モリガンが事件発生当時は自分の部屋へいたことにしてアリバイを作るよう提案しますが、
フィルは迷惑をかけられないとそれを拒否して裁判へ臨みます。そして結論が出ないまま裁判は終了。
フィルを犯人だと疑うものがいる一方、パルシアの謀略だという噂も広まっていきます。

2人が殺された時には現場に2人のメイドがいて、その中の1人であるエリザは行方不明。
もう1人は意識不明となっていましたが、目覚めたとのことで証人になります。
そのメイドが犯人だと名指ししたのは…フィルでした。
どういうことかと問い詰められたフィルは、咄嗟に事件当時はモリガンの部屋にいたと嘘を吐いてしまいます。
モリガンは見に覚えがないと否定をしたことから、フィルの刑が確定。収容所送りとなってしまうのでした。

収容所で1人の男と知り合うフィル。男は何かとフィルに喧嘩を売ってきます。
そして収容所での行いの悪さから、フィルと男の2人は特別監房へ入れられることに。
そこは水牢で、1週間を過ごさねばならぬそうです。

とりあえず寝床を確保する2人ですが、そこにサソリの魔族が出現。
先に特別監房入りとなっていた他の囚人たちを次々と殺していきます。
そこを助けに来た1人の少女。名前はリコオといい、フィルと一緒に特別監房へ入れられた男の妹。
どうやら脱獄のために助けに来る手筈になっていたようで、意図的に特別監房へ入れらるよう仕向けていたのでした。

脱獄したフィルたちは跳ね橋を降ろし、馬に乗って逃亡。
サソリの魔族も追ってきていましたが、最後は上がった跳ね橋と壁に挟まれて死亡したのでした。

3人はドーア王国へとたどり着き、そこで宿をとります。
そこで男の正体が帝国法の使者である銀羊騎士団だということが分かり、
フィルは自分を売るために助けたんだと勘違いをして出て行きます。それを追うリコオ。
残った男のところへ訪ねてくる1人の男。それは…ドーアのイグル殿下でした。

リコオから兄の話を聞くフィル。
名前はファルコンといい、元々は神殿直属である銀羊騎士団の隊長。そしてある任務に関わっていたとのこと。
ですがその任務の途中で別の任務に就くことになり、後任へ引き継ぎをして自分の任務へ。
しかしその後任が失態を犯し、その責任を全て兄へなすりつけられ、無実の罪を着せられたと。
言い訳になるからと反論はせず、黙って収容所送りになったのだそうです。

それを聞いたフィルは誤解を解きますが、街中でエリザを発見。後を追いかけますが見失ってしまいます。
そこに現れる、ジーンという男。リコオを人質に取られたため、仕方なく男に従って城へ行くことに。
案内された先にはファルコンとイグル殿下の姿が。

イグルは打倒パルシアのためにフィルへ協力するよう強要してきます。
フィルにも考えがあり、返答は少し待つように要求。イグルはそれを受け入れます。
そして、ファルコンが任務の途中で別の任務を受けたその相手がフィルの父親であったことが判明。
魔族を見かけるようになったため、魔族復活の方法が書かれたとある本が無事がどうか調べるように依頼されたと。
案の定その本は無くなっていて、その報告をする前に父親が殺害されてしまったと。

ダーツ王が神様として天へ帰る時がやってきた日のこと。
ダーツ王は妻であるアリシア后妃も一緒に連れ帰ることを決めたため、
アリシアは地上へ残されることになる1人息子を心配し、困った時に見るようにと1冊の日記を残していったと。
その日記の表紙には「アリシア」と書かれ、政略や魔族との戦いについて記されていたそうです。

日記は誰にも見せず、最後は燃やすようにアリシアから言われていましたが、
母親の形見を燃やすことはできず、封印する形でずっと残してきたと。
そしてそれを悪用されてしまったというわけです。

ファルコンの報告で本を持ち去ったのがバルザという一族だというのが分かり、
イグルとファルコンは2人でバルザの住む山へ。
そこでリーダーであるファーサというシャーマンの女に出会い、話を聞くことに。

バルザでは6年前に伝染病があり、男たちはほとんどが死に絶えたと。
生命力の差からか女は生き残りましたが、労働力がないため、どんどん貧困に。
そこにやってきた本を持つ1人の男。
魔族を復活させて自分たちを救ってくれるという男の提案を受け入れるしかなく、女たちは実験の道具に。
実際に力を発揮できたのはファーサとモリガンの2人だけで、モリガンはファーサよりも圧倒的に上の力を持っていたと。
そしてモリガンは男から本を奪って姿を消したということです。

城へ残っていたフィルとリコオは、エリザを探すことにします。エリザを探す手がかりとは…香水。
フィルはジーンからエリザのつけていた香水の匂いがしていたことを思い出し、
ジーンなら行方を知っているかもしれないと考えたわけです。
そしてジーンと会うと、そこにはエリザもいたのでした。

再び開かれる裁判。
エリザの証言によって有罪は取り消されましたが、
もう1人のメイドはフィルを犯人だという証言をしているため、まだ無実が証明されたわけではありません。
神殿はパルシアへ使者を送り、再審をするということを決めたのでした。

ファーサを連れて戻ってきたファルコンたちと一緒に、
パルシアへの併合を拒んで抵抗をしていたビルトランの基地を解放していくフィル。
途中でダーツに出会い、竜を託されます。

戦力も充実したところで、パルシアが再審を告げるために訪れた神殿の使者を殺したという話が入ってきます。
これによってビルトラン・ドーア・神殿とパルシアの全面戦争になることが確定するのでした。

パルシア王はモリガンと協力をして魔族を蘇らせ、世界を我が物にしようと企んでいます。
かつてパルシア王とビルトラン王は妻を取り合ったことがあり、パルシア王は敗北。
モリガンの見た目がフィルの母親にそっくりなのは、それによる執着のため。

魔族は復活してしまい、いよいよ最終決戦。
竜を操りモリガンに挑むフィル。地上ではイグルがパルシア王と戦い、殺害して勝利します。
終始押されっ放しだったフィルですが、ファーサの加勢などもあってモリガンを撃破するのでした。

エピローグ。
取り戻したアリシアの日記は焼き払い、魔族も封印して平和な日常が戻ってきます。
フィルはモリガンを殺すことはせず、生かしたのでした。

モリガンが子供の頃のお話です。犬を連れ帰ったところ、その犬が伝染病を持っていたと。
バルザの伝染病はモリガンが原因だったのです。
そして両親や大事な友達を失ったモリガンは、闇へと堕ちていってしまったと。

雪が降る中、ビルトラン城で一番高い塔へとやってきたフィルとリコオ。
フィルがこの場所が気に入ったかどうかを尋ねると、リコオは「大好き」と答えるのでした。



・感想
SFCの名作アクション、アクトレイザーのコミカライズ作品。
しかしアクトレイザーの名前と世界観を借りただけの完全オリジナルストーリーなので、
純粋なコミカライズを期待して読むと確実にガッカリする。
ただ内容自体は面白いので、別物と割りきって読むことができれば楽しめる。

1章は人間と魔族の戦いという王道なストーリー。
魔族の王にさらわれたお姫様を助けに行くという、これまた王道中の王道な展開。
2章にも魔族は出てくるものの、基本的には人間同士の争いがメインとなる。
面白さ的には1章の方が上かなぁ。

3巻の作者コメントに、
「ゲームをその原作におきながら「全然違うじゃねえか!」と言われ続けた本作」と書いてあったりする。
神様や天使が出てきたり多少は原作要素もある1章はともかくとして、
もう原作要素がほとんど残っていない2章はアクトレイザーでなくても成立する内容であったことは確か。
最初の方でも書いたけれど、その辺を割り切って読めるなら良い作品だと思う。個人的にはかなり好き。

単行本のみの収録だと、2・3巻にあとがきマンガあり。加藤元浩先生の個人的なことが描かれている。
[ 2012/11/20 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)