ジャングルはいつもハレのちグゥ

ジャングルはいつもハレのちグゥ/金田一蓮十郎/全10巻



ガンガンで連載されていた作品。



・内容
タイトルにも入っているように、物語の舞台はジャングルです。

主人公はハレという少年。
ある日、母親のウェダがグゥという謎の少女を連れてきたことから苦難の日々が始まる…というギャグ漫画。

グゥは外見こそ人間の少女ですが、体の構造や言動、行動などは全ておかしなものであり、
様々なトラブルを巻き起こしてはハレを悩ませるという繰り返し。
ジャングルにはグゥ以外にもインパクトのあるキャラが多く、強烈な個性で勝負してくるタイプの作品です。

ストーリー展開は序盤がジャングル編、中盤が都会編、終盤がジャングル編。
ウェダの正体は金持ちのお嬢様であり、一度実家へ帰ることになってそこからが都会編です。
再びジャングルへ戻ってきた後には2人目の子供を出産。

最後は遺産相続の問題から、自らの命を狙って刺客を差し向けてくる兄弟をなんとかするべく
ウェダはハレたちを引き連れて再び都会へ…という展開で終了。
これ以降の展開は続編の「ハレグゥ」に続きます。



・感想
今回はこっちでの補完が多くなるかな。
なかなかハイレベルなギャグで面白い作品。1人1人キャラの個性が強くていい味を出している。
以前取り上げた「21世紀マンガ大賞セレクション」に掲載されている投稿読み切りが原型なので、
興味のある人はそっちも買って読んでみるといいでしょう。ノリは同じなので楽しめるはず。

ハレの通う学校の保険医がクライヴという男性。
保険医は女ったらしで女には甘いけど男には超厳しい。よってハレを含む学校中の男子連中には嫌われている。
そんな保険医が目を付けたのがウェダ。しかし実は保険医とウェダは知り合いだったということが判明。
それどころか、保険医がハレの実の父親であるということまで。

クライヴは都会に住んでいた頃のウェダの主治医で、嫌がるウェダに無理やり関係を迫って妊娠させてしまったと。
ウェダは妊娠したことがきっかけで勘当され、たどり着いた先はジャングル。そしてここに住むことに。
妊娠したことを知らせていなかったため、保険医もハレが自分の息子だというのをそれまで知らなかったと。

ハレと保険医の関係は最悪でお互い嫌いあっているも、ウェダはクライヴといい仲になって2人目の子供を妊娠。
これがきっかけで結婚することになり、終盤にはアメという子供も誕生する。

自分はどうにもこの保険医が生理的に全く受け付けないキャラだったもので、
終盤のお話は面白さより嫌悪感の方が上回ってしまってあまり楽しめなくなった。
続編のハレグゥも1巻だけ買ってみたけど、やっぱり同じだったのでギブアップ。
なのでハレグゥの結末とかは全く知りません。

単行本のみの収録では、1巻におまけのあとがき漫画有り。
2~9巻は特別企画「サブキャラを主役に漫画を描いてみよう」と題して
この作品に登場するサブキャラをメインとした描き下ろしの短編漫画が掲載されています。
そして10巻には終了記念のあとがき漫画有り。

カバー下は全巻で描き下ろしの登場人物紹介。メインキャラからサブキャラまで様々。
[ 2013/01/27 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

刻の大地

刻の大地/夜麻みゆき/全10巻



ガンガンとガンガンファンタジーで連載されていた作品。



・内容
物語の舞台はレヴァリアース・幻想大陸と同じオッツ・キイム。
登場人物も両作品のメインキャラが出てくるため、集大成ともいうべき作品です。

作品の成分としては幻想大陸要素が強め。
十六夜、ジェンド、カイの3人による冒険をメインとして進んでいきます。
中盤になると主人公が交代してナドゥという忍のお話になり、そこでレヴァリアースからイリアとレムが出てきます。

終盤ではこの両パーティーが合流。
十六夜、ジェンド、カイ、イリア、ナドゥという5人がメインキャラとなります。

敵側ではレヴァリアースのラスボスであったイールズオーブァも登場。
比較的序盤から登場して十六夜たちに絡んできます。



・感想
オッツ・キイムを舞台とした夜麻みゆきワールド集大成作品…のはずだったんだけど、
途中で連載休止になってそのまま再開されることはないまま終了が決定。
非常に中途半端なところで終わってしまった未完作品。

人気がなくて打ち切りになったり雑誌が潰れて未完になったというわけではなく、
さらには出版社と揉めて切られたというわけでもない、作者自身の問題によって打ち切られたという珍しい作品。

連載休止になった原因は体調不良によるものだとか。
実際に長い間休養していたようなので、これに関しては事実だと思う。
ただこの作品の打ち切りに関しては、収拾がつかなくなったという理由もあるんではないかと思っていたり。
風呂敷を広げすぎたというか…はっきり言って中盤以降はかなりのグダグダっぷり。
レヴァリアースと幻想大陸という2つの作品をリンクさせようとしすぎたんではないかな。

本編以外の収録情報。
2巻…番外編(増刊ガンガンWING平成9年冬季臨時増刊号掲載)
6巻…異邦人の日記(描き下ろし)
7巻…異邦人の日記(描き下ろし)
8巻…異邦人の日記(描き下ろし)
9巻…特別フロク「魔法使いの塔脱出GAME」(描き下ろし)、あとがき
10巻…番外編「その時エストは」(月刊Gファンタジー平成13年6月号掲載)、じぇんどとさがしもの(描き下ろし)

2巻の番外編はメインキャラを使った短編ギャグ集。
6~8巻に掲載されている異邦人の日記は、第三者による日記という形でオッツ・キイムの世界観を紹介する内容。
9巻の魔法使いの塔脱出GAMEは簡易なすごろく?ゲーム。
10巻の番外編は本編に度々登場するエストを主人公にしたショートストーリー。
じぇんどとさがしものは本編69~71話の間登場しなかったジェンドが実はアドビスで何をしていたかというお話。

ちなみに単行本だと8巻までがガンガン連載分で、9・10巻分はガンガンファンタジーへ移籍した後のようで。
この頃はもうエニックス系雑誌からは卒業していて単行本で追う形になっていたので、あまり詳しくは知らない。
まぁ単行本のサイズが大きくなっているのは、
ガンガンコミックスからガンガンファンタジーコミックスになったからということで。

最後にこんなものも。


レヴァリアース、幻想大陸、刻の大地の3作品を扱ったポストカードブック。
どの作品の時に紹介しようか迷ったけれど、3作品扱ってるなら最後となる刻の大地の時がいいかなと思ったのでここで。

何らかの形で世の中に出たカラーイラスト31枚に、この本の表紙になっている描き下ろしイラスト1枚を含めた全32枚。
1996年末に発売されたものなので、連載が開始してまだ数ヶ月しか経っていなかった刻の大地のものはほとんどなし。
そのかわりにドラマCDにもなっていたレヴァリアース関連が多め。
巻末には「夜麻みゆきのこんな事考えて絵を描いてます。」というあとがきも2ページ有り。
[ 2012/12/20 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(1)

幻想大陸

幻想大陸/夜麻みゆき/全2巻


ギャグ王で連載されていた作品。



・内容
十六夜(いざよい)、ジェンド、カイという3人が邪神竜ディアボロスに会うため、冒険をするという物語。

十六夜は13歳の少年で実質的な主人公。
争いを嫌っており、邪神竜に会って人間もモンスターも仲良く暮らせるよう説得をしようとしています。

ジェンドはダークエルフの女性。
モンスターによって同じ種族の仲間を皆殺しにされたという過去があり、モンスターに対しては冷血そのもの。
記憶喪失のところを十六夜に出会い、出会った場所がジェンドの森という場所だったことから、
十六夜にジェンドと名付けられて一緒に冒険をしています。

カイは19歳の剣士で性別は男。
おちゃらけた性格でナンパ師でもありますが、剣の腕は確かでいざという時は頼りになる存在。
性格が正反対な十六夜とジェンドの間に立って両者をうまく調整するバランサー的な役割もあります。

ストーリー的にはギャグありシリアスありの中世ファンタジー物。
この3人は最初からすでにパーティーを組んでおり、出会った時の話は描かれていません。たまに話に出る程度。
最後も邪神竜に会うところまでは描かれておらず、冒険の途中で一区切りとなり終了します。



・感想
前回取り上げたレヴァリアースと同一の世界観を持つ作品。
最初はガンガンとガンガンの増刊に1回ずつ読み切りが掲載され、その後ギャグ王で連載されることに。
根強い人気があってファンも結構多いようで。

1巻にその2回の読み切り版も収録されている。
1回目は月刊少年ガンガン平成5年3月号、2回目は月刊少年ガンガン平成5年10月号増刊4コママンガ劇場に掲載されたもの。

単行本のみの収録だと、1・2巻ともに「みゆきのいたずらシアター」という描き下ろし漫画が巻末に掲載。
[ 2012/12/18 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

空の謳

空の謳 天野こずえ短編集2/天野こずえ/全1巻


天野こずえ先生の短編集その2。



・空の謳
天空に浮かぶ島エデン。ここは裕福な特権階級の人間のみが住むことを許されている土地です。
エデンには億に1人の確率で生まれる優良種がいて、癒しの謳声を持っています。
この優良種はセレナという娘で、世界は今日も彼女の謳声で満たされているのでした。

羨望の眼差しで頭上のエデンを見つめながら、大多数の人間は貧困と犯罪に溢れた地上に住んでいます。
どんなに危険な仕事でも引き受ける命知らずな運び屋のカミーユ。
彼はエデンにいるセレナを誘拐してくるよう依頼され、見事それを達成します。

セレナは生まれてからずっとエデンにいたため、地上には出たことがありません。
初めて体験する地上に眼を輝かせるセレナ。カミーユは呆れますが、今日だけはいいかと好きにさせます。

買い物を進めていくと、途中で子供によってひったくりに遭いますが、カミーユは子供を攻撃してそれを取り戻します。
それを見たセレナは悪者でも暴力を振るうのは良くないとカミーユを諭しますが、
エデンで何一つ不自由のない生活を送ってきたセレナに何が分かるのかと反論。
こんなことを続けていたら大人になる前にカミーユは死んでしまうと言い、セレナは泣くのでした。

セレナは生きていること自体が素晴らしいことだと言い、カミーユに夢を持つよう薦めます。
セレナの夢は、素敵なおばあさんになること。変わった夢です。

そんな時、エデンからセレナを連れ戻しに来た連中が現れます。
逃げて撒いても不思議とすぐに居場所を突き止められてしまうことに疑問を感じるカミーユ。
連中は、セレナの体内には発振器が埋め込まれていると言います。
1億人に1人の貴重な優良種であるセレナが生きているうちは、決してエデンからは逃さないためだと。

これを聞いたカミーユは、セレナには何の自由もなくて地上に住む人間の方がマシだと言い放ちます。
そして抵抗をしますが、連中は容赦なくカミーユを攻撃。カミーユは瀕死の重傷を負ってしまいます。
これを見たセレナは、カミーユのためにエデンへ戻ることを決意。
引き止めるカミーユにキスをして去っていくのでした。

それから1週間。カミーユは一命を取り留めましたが、エデンからセレナの謳声は聴こえなくなっています。
セレナ誘拐を依頼した人間は、失敗したカミーユを攻めることはしません。
その理由は、優良種というのは寿命が極端に短いということ。
仮に誘拐が成功していたとしても、すぐに死んでしまっていただろうと。
ここ最近セレナの謳声が聴こえなくなったのは、もう死んでしまったからではないかと言うのでした。

これを聞いたカミーユは、まだ治りきっていない怪我もそのままに再びエデンへ向かうことを決意します。
「素敵なおばあさんになりたい」という変わった夢は、寿命が短くて老人までは生きられないことを知っていたから。
そして自分の負った傷が1週間で治り始めたのは、セレナが自分のために謳ってくれているからだと。
カミーユはセレナが絶対にまだ生きていると信じ、必ず迎えに行くと心の中で誓うのでした。



・魔法の郵便屋さん
7月の北海道。小学6年生の少年そらは、同級生の涼子に毎日のように郵便局へ連れだされています。
この郵便局を1人で任されている綾乃というお姉さんの趣味で、普通の郵便局から魔法の郵便屋さんへと改造されています。

綾乃お姉さんは魔法が使えると言い張っていますが、誰も信じていません。
郵便局にあるポストも何でも願いが叶うポストだということですが…。

ある日、そらは涼子が転校するという話を同級生から聞きます。
このことはそら以外の全員が知っており、
毎日遊んで親友だと思っていた涼子に話してもらえてなかったことにそらはショックを受けるのでした。

そらが綾乃お姉さんに相談すると、言葉で伝えられないなら手紙で伝えようと言われ、手紙を書くことに。
しかし涼子との関係は気まずくなり、結局手紙を渡せないまま引越しの日がやってきます。
見送りに行くこともせず、そらは魔法のポストに手紙を投函。そこに綾乃お姉さんが現れます。
綾乃お姉さんは涼子から手紙を預っていると言い、そらに渡します。そこには「いくじなし」の文字が。

綾乃お姉さんは嫌いだからそらに話さなかったのではなく、好きだからこそ引越しのことを話せなかったんだと言います。
そして投函したはずの手紙をそらに渡し、今からこの手紙を涼子に届けに行こうと言い、ほうきにそらを乗せて空を飛びます。
そう、綾乃お姉さんは本当に魔法使いだったのです。

涼子の乗っている汽車に追いつき、手紙を渡すそら。
そこには「いつまでも友達でいような」と書かれていたのでした。
これを読んだ涼子は、そらがバッグにしまっているラブレターをさっさと渡すように言います。
何でそれを知っているのかとそらが問うと、涼子は「そらのことが大好きでずっと見てきたから」と。
でもしょうがないので手紙のようにずっと友達でいることを決め、そらに頑張れと言って汽車は走り去っていくのでした。

綾乃お姉さんからラブレターのことを追求されるそら。
最初は誤魔化そうとしますが、涼子から勇気をもらったことで決心。渡すことを決めます。
郵便屋さんとして意中の彼女のところへ必ず届けると誓う綾乃お姉さんに、そらはラブレターを渡します。
「この手紙を…綾乃お姉さんに届けてください」と。



・ANGEL VOICE
学園祭。美術部に所属する平松駆(ひらまつかける)は、毎年恒例の展示会の当番をしています。
外は賑やかですが、展示会には人一人来ず閑古鳥。
駆が退屈していると、そこに白いワンピースを着たすっごい可愛い娘がお客としてやってきます。

キョロキョロしている彼女に駆が話しかけると、
驚いた彼女はニコニコと笑いながら「いきなり話しかけないでよ…ボケナス君」と言うのでした。
さわやかに凄いことを言われたような…?と駆が混乱していると、外から誰かを探す騒がしい声が。
それに気付いた彼女は咄嗟にカーテンへと身を隠し、教室内には男たちが入ってきます。
白いワンピースの女の子を見かけなかったかと駆は男に聞かれますが、
ただならぬ雰囲気を察した駆は誰も来ていないと言って追い払い、彼女にもう大丈夫だと言うのでした。

「別に助けてくれなんて頼んだわけじゃないんだからっ!お礼なんて言わないわよっ!」と言う彼女に、
そんなことは思っていないと答える駆。
すると彼女は、いくら自分が超カワイイとは言え、立て続けに失礼なことを言われて怒らない駆を変わっていると言います。
そして一応お礼を言われるのでした。

駆が先ほどの男について質問をすると、あれは彼女の事務所のマネージャーとスタッフだということです。
近くのアフレコスタジオで仕事があり、それを逃げ出して近くで学園祭をやっていたこの学校に逃げ込んできたのだと。

彼女の正体は、高岡春夏(たかおかはるか)という16歳の現役女子高生アイドル声優。
なまじ売れてしまったばかりに過密スケジュールで休みも取れず、辛いことばかりでバックれてきたのだと言います。
そして春夏は「せっかく学園祭に紛れ込んだんだから案内してよ」と言い、
教室に置いてあった他の美術部員の女子の制服に着替えて駆と一緒に学園祭を楽しむのでした。

内気な駆への仕返しとばかりに、校庭にてみんなの目の前で写真部に2ショット写真をわざと撮影させる春夏。
撮影の瞬間に春夏がしたある行動によって、駆が石化してしまうのでした。そして周囲からは大歓声。
その騒ぎを見て駆けつけてきた、春夏の事務所スタッフたち。春夏は駆と一緒に逃げ出すのでした。

文化祭も終わりが近づき、スタッフを撒いて2人きりになった駆と春夏。
駆は春夏にそろそろみんなのところに戻った方が良いと言います。
いろんな苦労はあると思うけれど、簡単に逃げ出して迷惑をかけてはいけないと。
そして、好きなことを仕事にできて夢を叶えたんだから凄いことだとも。

それに対し、春夏は駆に本音を話します。本当は自信がないと。
駆の好きな絵の世界と同じで、プロになるのは大変だけどプロでい続けるのはもっと大変。
毎年自分より若くて才能のある新人が入ってきて、その分誰かが消えていく。
今現在チヤホヤされているだけに、本当は才能がなくてすぐ飽きられて業界から消えてしまうんじゃないか。
そうなった後の自分は、何の取り柄もないつまらない人間だから…と。

そんな春夏に、駆は全力で反論をします。
はじめて春夏に出会って名前を呼ばれた時から、素敵な声だと思ってドキドキしていたと。
たったの一言で人の心を動かせるのは凄いことで、それは春夏の努力と才能の証だからもっと自信を持っていいと。

これに目が覚めた春夏は、精一杯悔いの残らないように頑張ることを決意します。
そして、もしもまた自分に迷った時は必ず逢いに来るから覚悟しておくようにと言い、戻っていくのでした。

学園祭が終わってしばらく経ったある日、美術部でTVを見ていた駆は同じ美術部の女生徒に声を掛けられます。
その番組でヒロイン役をやっている声優は今人気No.1で、声もかわいいし演技もうまいと。
これを聞いた駆はまるで自分のことのように、「ありがとう」と答えるのでした。

あの日以来、TVやラジオから彼女の声が聴こえてくる度に、自分に発してくれた彼女の声が蘇ってきます。
手元に残ったのは、写真部に撮ってもらった1枚の写真だけ。
それは駆の腕を抱きしめ、駆の頬にキスをする春夏の姿が写った写真。
駆はそれを見ながら、「いつの日か…もう一度逢える日が来るのかな?」と思うのでした。



・アース
西暦9500年。人類は輝かしい第二次宇宙時代を迎えていました。
地球人口の増加に伴う近隣の星々への進出。
あまねく銀河の中、人類に入植される世界は数千にも及んでいます。

かつての人類の「ふるさと」である地球に酷似した惑星は、その名を取って新地球と呼ばれています。
通称「第5地球」と呼ばれている惑星ガスタブル。
地下資源の枯渇と環境悪化により全面撤退が決まったこの惑星も、その中の1つ。

ガスタブルには移民船が到着し、次々とこの星の住民を収容していきます。
そして遅刻してなかなか現れない最後の2人を待つ、移民船のキャプテンであるワオ。
上司にまだ回収できないのかと怒られるワオですが、そこにようやく1人の少年がやってきます。名前は虎哉(とらや)ヨウタ。
さらにバイクに乗ってやってきた最後の1人は、文明堂(ぶんめいどう)カステラという少女なのでした。

虎哉とカステラの2人を収容し、いよいよ移民船は出発します。
2人が遅刻している間に先に収容した住民のコールドスリープは済んでいて、封鎖されています。
なので、2人は乗務員用の予備室にある予備の冬眠装置を使うことに。

連絡が入るまでの間、予備室にて会話をする虎哉とカステラ。
移民船は大気圏を突破し、目の前には自分たちが今まで住んでいた星が見えます。
直接自分の星を見るのが初めてな虎哉は綺麗だと感動しますが、カステラはそれを否定。
そして虎哉ホログラムデータを渡します。

ホログラムデータには地球が映っていて、虎哉はそのあまりの美しさに衝撃を受けます。
ガスタブルは赤茶色の星であり、青い星である地球とは全くの別物。
それなのに、なぜ地球と酷似した惑星とされていたのか。カステラは、それを政府による情報操作だと言います。

人類は新たな星に移住する度、その星を住みやすい環境へと人工的に変えていきます。
資源も発掘し尽くすため、どんどんとやせ衰えていってやがて人が住めなくなると。
その事実を大衆に知らせると面倒なことになるので、嘘を吐いているということです。

虎哉はこんな重要なデータをなぜ持っているのかと聞きますが、カステラは「どうだっていい」と誤魔化します。
そのやり取りをこっそり見ていたキャプテン・ワオは、どうでも良くないと指摘。
しかしこのことは3人だけの秘密とすることにし、準備が整った冬眠装置に2人は入るのでした。

星間を旅する者は、客観時間にして数百年というとてつもない時間の長旅をすることになります。
その間は冬眠装置で眠り続け、最新テクノロジーのワープ航法を繰り返しながら目的地を目指します。

やがて冬眠装置が解除され、目覚める虎哉。
目の前に広がるのは青い星…地球そのものでした。一足先に目覚めていたカステラは、それを見て感動しています。
その時でした。全身を防護服で身を包んだ謎の連中が予備室内へ突如押しかけてきて、催眠ガスを発射。
突然のことで為す術もなかった2人は眠ってしまい、捕まってしまうのでした。

虎哉が目覚めると、目の前では謎の連中が大層慌てています。
虎哉が目覚めたことにも気付いていないようで、隙を見て虎哉は脱走するのでした。
一方、1人だけ別の部屋に閉じ込められたカステラ。
こうなった原因はあのホログラムデータをキャプテン・ワオに知られてしまったからだと考えます。

虎哉はカステラが捕まっている部屋までやってきて、彼女を救出。2人で逃走を続けます。
何で自分たちを閉じ込めようとするのか疑問に思っている虎哉に、カステラは真相を話し出します。
あのホログラムデータは、カステラの両親が政府の極秘ファイルに違法アクセスして無断でコピーしたものだということ。
それをキャプテン・ワオに知られてしまったため、上層部に問い合わせて目的地に着く前に逮捕するつもりだろうと。

カステラの両親は宇宙開拓に意義を唱える環境学者で、
地球のホログラムデータを公開することにより、人類による惑星の環境破壊に警鐘を鳴らそうと考えていました。
しかし結局公開前に捕まってしまい、カステラは最後に両親から身の安全のためにデータを全て消すように言われたと。
でも両親が命をかけて守ろうとしたデータを消すのは悔しいということで、こうして持っていたということです。

逃走を続ける2人ですが、虎哉が階段の手摺で滑ってしまい、とある部屋の中へと入ってしまいます。そして閉じられる扉。
その部屋は、先に乗り込んだ住民たちをコールドスリープしていたメイン客室。
虎哉が冬眠装置の1つの覗いてみると、中には腐敗したミイラと化した人間がいるのでした。

扉が閉まっていて部屋の中に入れないカステラは、驚く虎哉が何を見たのか分かりません。
そしてそこにやってくる謎の連中。
連中は「今は非常に危険な状況下にあり、安全な場所に移動してから説明するから、大人しくついて来るように」と言うのでした。

場所は変えたものの、再び1人だけ隔離されるカステラ。
やっぱりホログラムデータが原因なのかと思いきや、謎の連中はそれを否定。
そして防護服の頭を脱いだ4人の連中の中には、あのキャプテン・ワオがいたのでした。

ワオの説明によると、この船で生き残っているのは虎哉とカステラを含めても6人だけだとか。
ワープ航法で通常空間に戻ってきた場所に運悪く隕石があり、メイン客室に衝突をしてしまったのだそうです。
その隕石には有害な宇宙物質が含まれていて、みるみる内にメインの酸素タンクを汚染。
その結果、メイン客室と乗組員たちの冷凍装置に汚染された空気が送り込まれ、全員が腐敗死をしてしまったと…。

遅刻してきた2人とそれに対応した4人の乗組員は、予備の冬眠装置を使っていたために助かったと。
予備の冬眠装置はサブの酸素タンクから酸素が供給されるので、汚染された空気を吸わずに済んだというわけです。
一足先に目覚めた乗組員たちは異常事態を知ってすぐに汚染空気の除去作業を始めましたが、
自分たちも混乱していたので、虎哉とカステラを動揺させないためにあのような強引な手段に出てしまったのだそうです。

そしてここでキャプテン・ワオの口から衝撃的な事実が明かされます。
船内の除去作業は完全ではなく、先程の脱走劇の最中にカステラだけが感染をしてしまった…と。
有害物質は完全に未知の新種なために治療法は存在せず、
死亡した人のデータからは発症してから1週間以内に死に至るとされています。

ショックを受ける虎哉ですが、カステラは虎哉が感染してなくて良かったとホッとするのでした。
自分勝手な思い込みで脱走劇に付き合わせてしまったので、もし虎哉が感染していたらやり切れなかったと。
そして完全に隔離されるカステラ。
虎哉は何でこんなことになったのかと悔しがりますが、そこにワオが「大事な話がある」と言ってやってくるのでした。

翌日。カステラが隔離されている部屋に防護服で完全防備をした4人の乗組員がやってきます。
1人では寂しいだろうということでカステラとトランプをして遊んでくれるのでした。
虎哉はカステラのことを気にして、ずっと部屋に閉じこもっているということです。

ここでカステラは、ワオから詳しい病気の説明をされます。
この病気は冬眠しても進行が止まらないこと、発病3日ほどで全身が悪寒と発熱で蝕まれること、
完全死する7日より前の5日目には痛みにより発狂死してしまうということを…。

未知の病原菌なので受け入れは拒否されたものの、データ自体は目の前に広がる第18地球に送ったので、
後は運良くそれまでにワクチンが完成することを祈るしかないと。
メインの酸素タンクがやられたことにより船内の酸素も残りわずかなので、
カステラは小型シャトルで出て周回を軌道しながら最後の瞬間まで朗報を待つことになる…ということです。

激痛が始まる明後日までにワクチンができる可能性はまずないため、
カステラは「シャトルが出たらすぐに爆破してくれれば楽なのに…」と言います。
ワオはその願いを聞き入れ、望み通りにすることを約束するのでした。

2日目。今日も虎哉は来ません。
寂しがるカステラを見て、ワオは虎哉のことを好きなんでしょうとからかいます。
顔を赤くして否定するカステラですが、心の中ではもうすぐ死んでしまうというのに来てくれない虎哉に怒っているのでした。

ついに3日目。カステラがシャトルに乗って出発する日です。
乗組員はシャトルに乗り込もうとするカステラに別れを告げ、カステラもそれに答えます。
結局最後まで虎哉は来てくれないのか…と思っていると、そこにようやく虎哉が駆けつけてくるのでした。
虎哉は妹の大切な物だという猫のぬいぐるみをカステラにもらってほしいと言い、渡します。
そして最後にカステラを強く抱きしめ、「元気でね…」と言って別れを告げるのでした。

発射されたシャトルの中、カステラは虎哉に渡された猫のぬいぐるみに道連れにしてしまうことを謝ります。
そしてシャトル爆破までのカウントが10を切り、「こんな贈り物よりも虎哉に一緒にいてほしかった」と呟くカステラ。
とうとうカウントはゼロになり…爆破するのでした。

実際に爆破されたのはカステラの乗っていたシャトルではなく、移民船の方。
背後の爆破音に気付いたカステラがそれを見て呆然としていると、背後から誰かの声がするのでした。
「発病したのは実はカステラではなく、彼らだったんだ」と。

振り向いたカステラの前にいたのは、虎哉からもらった猫のぬいぐるみ。
自らを虎哉のぬいぐるみをベースにした知能ロボットだと名乗り、この3日の間で造られたのだと言います。
これから独りぼっちで生きていかなくてはいけないカステラが少しでも寂しくないように…と。

いまだ混乱をしているカステラに、猫のぬいぐるみは真実を話します。
あの船の中ではカステラだけが健康体で、実際に発病したのは乗組員たちの方だったと。
目覚めた乗組員たちはメイン客室の異常に気付いてすぐさま駆け付け、調査を進めて原因を特定。
しかし、その時彼らは防護服を着ていなかった。

虎哉とカステラが目覚めた時に船内の汚染除去作業を必死にやっていた彼らは、すでに感染をしてしまっていた。
2人が誤解をして脱走した時にはまだメイン客室の汚染除去は完全ではなく、
その中に滑り込んでしまった虎哉もまた感染をしてしまった…と。
一人だけ生き残ることになるカステラを気遣い、最後の最後まで彼らは芝居をし続けてくれたというのが真相です。

真実を知って泣き続けるカステラを見かねた猫のぬいぐるみは、カステラを励まします。
その声を聞いたカステラは、猫のぬいぐるみが虎哉だと確信をします。
ワオの好意でロボットの記憶因子に虎哉の記憶を丸3日かけてコピーしたため、その間会いにいけなかったと。
そしてカステラに淋しい思いをさせてごめんと謝るのでした。

ホログラムデータを通して考えを人々に知ってもらうため、
カステラは目の前に広がる星に導かれて生き延びたのだと虎哉は言います。
そして「さあ行こう…アースが迎え入れてくれる」と言って、シャトルは第18地球へ向かうのでした。



・感想
似たようなものが多かった前作とは違って、どれも異なるジャンルに挑戦をしている。

「空の謳」
表題にもなっている作品で、世界観はファンタジー。
表題になるぐらいだからこの本のイチオシでメインなんだと思うけど、何も感じるものはなかった。

「魔法の郵便屋さん」
北海道ということで現代日本が舞台だけど、全体的にメルヘンチックな内容。
綾乃お姉さんは明るく元気で変わり者。作品としては…普通かなぁ。

「ANGEL VOICE」
世界観は完全に現代日本。高校を舞台としていて、前作「夢空界」に収録されていてもおかしくない感じ。
ヒロインが現在人気絶頂の現役女子高生アイドル声優ということで、魅力的に描かれている。

この作品は90年代に描かれたものだけど、当時からアイドル声優っていたのか?
自分は漫画とゲームに関しては自他共に認めるオタクだと思っているけど、
不思議とアニメはほとんど興味がないので、当然声優にも興味がなくその辺の事情がよく分からない。

「アース」
未来を舞台としたSF作品。今から7500年後だから近未来ではないね、さすがに。
この短編集ではこの作品が一番よくできていると思う。
環境汚染とバイオハザードという2つのテーマを合わせたストーリーは悪くない。

ずっとカステラが感染していたのだと思わせておいて、実は逆だったという意外性が最大のポイント。
自分は虎哉がカステラに会いに来なかった時点で予想できてしまったので想定の範囲内だったけど、
それでも少なからず衝撃は受けたし「やるな」とも思った。
前作「夢空界」に収録されている「刹那の夏」よりも意外性があって良い。

巻末には前作と同じく、あとがき漫画の「ものぐさ倶楽部~番外編2~」がある。
この本に収録されている作品の思い出を振り返るというのも同じ。
カバー下の表に主人公ズ、裏に思い出写真という描き下ろしの内容も共通。

収録情報。
空の謳…月刊少年ガンガン平成10年5月号掲載
魔法の郵便屋さん…月刊少年ガンガン平成10年8月号掲載
ANGEL VOICE…月刊少年ガンガン平成10年10月号掲載
アース…月刊少年ガンガン平成11年1月号掲載
[ 2012/12/12 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

夢空界

夢空界 天野こずえ短編集/天野こずえ/全1巻


天野こずえ先生の短編集。



・前夜祭
文化祭の前夜、木村という少年が教室で不思議な2人組の女生徒に出会うというお話。
女生徒の1人は10年前の文化祭の前日に事故死した美夜という幽霊。
もう1人の詩織という女生徒は、木村と同じで偶然美夜のテリトリーへと迷い込んで来てしまい、
美夜によって永遠に文化祭前日に囚われてしまっています。

美夜には好きな先生がおり、前夜祭の最中に中庭へと呼び出して告白をしようと思っていました。
そして前夜祭が始まり、中庭へと向かっている最中のこと。
彼女を嫌っていた他の生徒に足を引っ掛けられ、階段から転落して死んでしまったと。

先生に告白できなかったことだけが心残りだという生前の美夜の未練を叶えるため、
木村は先生の名前を聞いて美夜を成仏させます。

これで詩織は解放された…はずでしたが、彼女が迷い込んだのは8年も前のことであり、
すでに肉体は消滅してしまっていて彼女も幽霊だったというのが判明。
詩織は人見知りで友達は1人もおらず、はじめて友達になってくれたのが美夜だったと。
美夜と過ごした8年間はそれまで生きてきた13年間より幸せだったと言い残し、彼女も成仏するのでした。

文化祭当日。木村は先生の所へ行き、美夜のことを聞きます。
とても良い子だったという先生に木村は彼女の思いを伝え、文化祭が始まるのでした。



・刹那の夏
高校受験を控えた中3の夏休み。八ツ橋という少年はノートを取りに学校へやってきます。
そこで見知らぬ真っ白なセーラー服に身を包んだ女生徒を目撃。
逃げる彼女を追いかけますが、すぐに見失ってしまいます。
身軽でフワフワした動きをしていることから、八ツ橋は彼女を幽霊だと思い込むのでした。

背後から急に現れた彼女にノートを取られてしまい、再び追いかけっこが始まります。
その最中、彼女になぜ勉強ばかりをしているのかと聞かれますが、
自分の意見がなく親や先生の言われるままに行動をしていた八ツ橋は答えられないのでした。

学校中を走り回り、屋上へとやってきた所で体力が尽きて倒れこんでしまいます。
勉強ばかりしていたことから空の青さをすっかり忘れ、久しぶりに全力で走ったことで気持ち良さを感じる八ツ橋。
そして再び八ツ橋の前に現れる彼女。
彼女は同じように中学の3年間をずっと勉強をして過ごし、入試1週間前に肺炎をこじらせて死んでしまったとか。

そんな自分の経験から、中学という時間は一生に一度しかないので後悔をしてほしくないと言い、
八ツ橋にノートを返して彼女はいなくなるのでした。

時は流れ、2学期。八ツ橋は勉強だけでなく遊びも全力でこなし、充実した夏休みを過ごしてきたのでした。
そして朝のホームルームで先生から転校生の紹介。
教室に入ってきた夏樹光(なつきあかり)という名前の女生徒は、八ツ橋が夏休みの学校で出会ったあの子なのでした。

放課後、八ツ橋は光と2人で下校をします。
光は新しい学校の下見に来ていただけで、八ツ橋が勝手に幽霊だと勘違いしていたのを面白がって騙したと。
ですが3年間ずっと勉強ばかりをしてきて、入試前に倒れて受験をできなかったというのは本当だと。
つまり、浪人をして年齢的には1歳上であるとのことです。

八ツ橋は「今の自分には「答え」を見つけることはまだできないけど、全力で走ることならできる」と言い、
勉強会の後に遊びに行く約束をして光を家へと誘うのでした。



・夢空界
文化祭の1ヶ月前。演劇部の出し物で主役をやることになった開夢(はるむ)。
ヒロイン役にふさわしい人物がおらず、人選に苦慮していると演劇部の扉の前をうろうろしていた女生徒を見つけます。
彼女は開夢と同じ3年生で、名前は華音(かのん)。ずっと休んでいたけれど演劇部の一員だということです。
その可憐な容姿からすぐにヒロイン役に決まり、稽古が始まるのでした。

華音は中1に4月にしか部活に来ておらず、開夢に「私のこと覚えてる?」と質問をします。
「なんとなく」と答える開夢に「じゃあ…あの約束!覚えてるよね」とさらなる質問を浴びせますが、
開夢にはその約束が思い出せないのでした。

華音は入部してすぐに体を壊して入院をしていたため、ずっと部活を休んでいたとのことです。
卒業まで半年しかないこの時期に戻ってくる気になったのは、
空白の2年半を埋めるために大好きな演劇部のみんなと思い出を作りたいからだと。

文化祭まで1週間に迫った日の稽古後、ぐったりして休んでいる華音。
心配して開夢が近寄ると、一瞬彼女の姿が透けて見えるのでした。

文化祭前日。
華音の演技に鬼気迫るものを感じた開夢は心配をして部長に相談しますが、杞憂だと一蹴されます。
そしてその日の夜、開夢はベランダで華音と会話をします。

華音は演劇部に入部した時の自己紹介で、開夢が日本一の俳優になりたいと自信を持って話す姿を凄いと思ったと。
自分も同じように夢に向かって頑張りたいと思っていたけれど、身体を壊してしまったと。
そして華音は、本当は演じるよりもシナリオを書く方が好きなんだと開夢に告げます。
それを聞いた開夢が「そうなんだ」と答えると、「やっぱり覚えてないんだ…」と華音は言うのでした。

いよいよ文化祭当日。
ラストシーンで華音は「これは私の今までの思いを綴った手紙です。受け取ってください」というはずのセリフを、
「これは私の2年半の想いを綴った手紙です。受け取ってください」と言い、手紙ではなく手帳を開夢に渡します。
その手帳を見た開夢は、全てを思い出すのでした。

入部まもない中1の4月、華音がシナリオを書いている後ろを通りかかった開夢。
開夢はお願いをして華音のシナリオを見せてもらうと、その面白さに続きが読みたくなってそれを華音に伝えます。
自分のシナリオをはじめて面白いと言ってもらえた華音が喜んでいると、
開夢は自分の持っていた手帳を渡し、これにシナリオを書いてくれと言います。

そして開夢は華音と約束をするのでした。
「いつか…華音が書いたシナリオで俺が主役をやる。大丈夫!夢はいつか必ず開く!
俺の開夢という名前にはそういう意味が込められているんだ!」と。

あの時の少女が華音だったというのを思い出し、劇を終えた開夢は舞台裏に華音を迎えに行きますが、そこには誰もいません。
部長や他の生徒たちに聞いても、誰も華音の行方を知らず、華音のクラスも知りません。
嫌な予感がして職員室で先生から名簿を見せてもらう開夢。
先生はその子は自分のクラスだと言いますが、2年半前からずっと休学届を出していて今も入院していると言うのでした。

急いで病院に駆け付けた開夢は華音の入院している病室を見つけ中に入りますが、そこには泣き叫ぶ母親の姿が。
父親によると、華音はついさっき亡くなったと。
重度の白血病でこの2年半、一度も病室から出ることはなかったということです。
そして入院依頼ずっと肌身離さず持っていたのが、開夢の手帳だったと…。

時は流れ、開夢は高校へ入学。
演劇部の自己紹介で一人一人抱負を述べることになり、開夢の番がやってきます。
手帳を掲げた開夢は、「この…友達が書いたシナリオで、舞台を大成功させたいです」と述べます。
そして心の中で「華音見ていてくれよ…俺たちの夢は必ず開くからな」と誓うのでした。



・小さな聖夜
12月24日、クリスマスイブ。
野良猫のグリムは、ロニという子猫に懐かれます。どうやら飼い主とはぐれてしまったようですが…。
自分が飼い主から捨てられた経験のあるグリムはお前は捨てられたと言いますが、ロニはそれを信じません。

一度はロニを見捨てようとしたグリムですが、犬に襲われそうになったロニを見て結局助けてしまうのでした。
その後は2匹で行動をしますが、ロニが保健所の人間に捕まって連れていかれてしまいます。
グリムは危険を承知で保健所に忍び込み、ロニと他の猫たちを救出。

グリムはロニに一緒に生きていこうと言いますが、飼い主のことを信じているロニはそれを拒否。
ロニはグリムがまだ飼い主のことを信じていると指摘し、クリスマスイブなので願えば必ず奇跡は叶うと言います。
やがてロニを探す飼い主が現れ、ロニは飼い主の元へと戻っていったのでした。

グリムは元々飼い猫で、遊びに出ている間に家の人たちが引っ越してしまって1匹になったという経緯があります。
かつて住んでいた家へ戻ってみると、そこには明かりが。
急いで駆け寄ってみますが、中にいたのは見知らぬ家族。新しく引っ越してきたのです。

グリムが消沈して街を彷徨っていると、背後から何者かに捕まります。
保健所の人間に捕まったと思ったグリムは抵抗をしますが、それはかつての飼い主である子供でした。
引越し先がペット禁止の家で、本人はグリムを置いてきてしまったことに気付いていなかったと。
親からプレゼントとして何が欲しいかを聞かれ、グリムと答えてこうして迎えにきたのだそうです。
こうしてクリスマスイブに奇跡は起こり、グリムも無事に飼い主の元へと戻っていったのでした。



・いちごちゃんパニック
自然が豊かなあいす村に転校してきた少年、バニラ。
同じクラスに「いちごちゃん」という、マジカルガムを使って自分の念じたものを作り出せる不思議な少女がいます。
しかし大半のものは失敗作で、周囲を巻き込んではちゃめちゃな騒ぎに。
バニラもそれに巻き込まれていく…というお話。



・感想
浪漫倶楽部と同じく、学校を舞台とした作品が多い。
出てくるキャラが違うだけで、話の展開も浪漫倶楽部のように不思議系のものばかり。

「前夜祭」
詩織も実は幽霊だったという展開は…意外なのか?
最初の段階で美夜と2人とも幽霊だと思っていたから個人的には意外性はなかった。
でも話の流れは悪くないし、終わり方も良いのでなかなか。

「刹那の夏」
同じ幽霊(?)もの。こっちは少し意外性があった。
ストーリー自体には特に思うところはなく、佳作という評価。

「夢空界」
表題にもなっている作品。自分はこれが大好きでして。
ガンガンに掲載された読み切りなんだけれど、初めて本誌で読んだ時にすごい感動してファンになった。
何度読んでも良い作品なんだよなぁ。これ1作のためだけでも読む価値のある短編集だと思う。

「小さな聖夜」
これまでの3作が日本の学校を舞台にしていたのに対し、こちらは異国ものでさらにキャラが猫。
擬人化モードと普通の動物としての猫モードの2種類を使い分けて描かれている。
作者的にはお気に入りのようだけど、自分はあまり面白いとは思わなかった。

「いちごちゃんパニック」
過去4作が感動系ストーリーだったのに対し、これは完全なドタバタギャグもの。
登場キャラも先生以外はみんな子供で、絵自体もデフォルメされている。
正直、個人的には一番面白くない作品。

巻末に「ものぐさ倶楽部~番外編~」というあとがき有り。
浪漫倶楽部でも「ものぐさ倶楽部」はあったけど、短編集ということで番外編。
この本に収録されている5作品の思い出を振り返っています。

カバー下(表)は5作品の主人公大集合の描き下ろし。表紙がヒロイン大集合なので、その対比としてでしょうな。
カバー下(裏)は浪漫倶楽部と同じで、5作品を写真という形で描き下ろしたもの。

最後に掲載情報。
前夜祭…増刊フレッシュガンガン平成6年春季臨時増刊号
刹那の夏…増刊フレッシュガンガン平成6年秋季臨時増刊号
夢空界…月刊少年ガンガン平成6年11月号
小さな聖夜…増刊フレッシュガンガン平成7年冬季臨時増刊号
いちごちゃんパニック…増刊フレッシュガンガン平成8年冬季臨時増刊号
[ 2012/12/10 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

浪漫倶楽部

浪漫倶楽部/天野こずえ/全6巻


ガンガンで連載されていた作品。



・内容
丘の上に立つ中学校に通っている少年、火鳥泉行(かとりせんこう)。
火鳥は他の人間には見ることができない不思議なものを見ることができる「第2の瞳」を持っています。

昔から丘では不思議現象の噂が絶えませんが、実際の証明できた人は誰もいません。
そこで立ち上がったのが、綾小路(あやのこうじ)うど。火鳥の先輩です。
「不思議現象は必ず存在するからそれを解明してみせる!」と自ら部長となり、「浪漫倶楽部」を創設。
この丘で起こる不思議事件を解明しようという目的で作られた部活です。

物好きな部活だけに、部員は綾小路と火鳥の2人のみ。
ある日に依頼を受けて裏山へとやってきた2人。そこで火鳥は巨大な石の上に座っている女の子を発見。
危ないから下りてくるように言いますが、女の子は自分のことが見えるのかと驚きます。
綾小路にはその姿が見えていないらしく、第2の瞳によって火鳥にしか見ることができない不思議な女の子。

その後、誰にでも見えるようになる力を使った女の子を連れて不思議事件を解決した浪漫倶楽部。
100年間ずっと丘の上の石(丘神石)にいて誰とも話したことのなかった女の子は、
初めて体験した冒険のような出来事に興奮をしています。
それを見た火鳥は浪漫倶楽部に入部することを勧め、3人目の部員が誕生。
名前は無かったため、火鳥はまんまるくってコロコロしてることから「コロン」と名付けるのでした。

その後に解決した不思議事件で、橘月夜(たちばなつくよ)という女の子にコロンの正体を知られてしまいます。
月夜は火鳥と同じクラスですが、大人しく目立たない存在でパシリのような扱いも受けています。
この事件をきっかけに浪漫倶楽部への入部を決意し、明るさも取り戻すのでした。

こうして4人となった浪漫倶楽部で、不思議事件を次々と解決していくというのが基本的な内容です。
中盤から高橋由紀(たかはしゆき)という綾小路の同級生である女の子が登場し、
彼女と綾小路の恋愛話も定期的に挟まれます。

最終回では、過去の世界からやってきたコロンが火鳥に現在の世界のコロンの寿命が長くないことを宣告。
その理由は、火鳥たちと一緒にいることで丘神石からのパワーを受け取らなくなったため。
今すぐ元の石の精霊に戻ればまだ30年ぐらいは生きられるというのを聞き、火鳥はコロンとの別れを決意。

コロンが邪魔になったと言って突き放す火鳥。
石の精霊に戻ることになり、過去のコロンと一緒に丘神石へ向かうコロン。
しかし丘神石を目の前にして、淋しいという感情を出すコロン。
それを見た火鳥は抑制が効かなくなり、コロンの元へ走って行って彼女を抱きしめます。

すると丘神石が光り出し、過去の映像を見せてくれます。
それは100年前に丘神石を生み出した祈祷師とコロンの会話。
「石の精霊はいつか役目を終えて消えてしまうが、自分を見ることができる特殊な人間が現れて、
深い心の絆で結び合うことができれば生き続けることができる」と。

過去のコロンは石の精霊としての使命を全うするため、嘘を吐いていたのです。
しかし将来こうやって火鳥という人間に出会って幸せに過ごせるというのを知り、
ぬくもりを感じて過去へと帰っていくのでした。

エピローグ。
これまで通りに4人での活動を続ける浪漫倶楽部。
しかし霊的土地として様々な不思議現象を発生させてきた裏山は丘神石ごと無くなってしまったため、
不思議事件も起きなくなった…と思ったら綾小路が新しい不思議事件を見つけてきます。
そしていつも通り、浪漫倶楽部の4人は不思議事件解決へと向かうのでした。



・感想
不思議系ファンタジー作品。
タイトルや部活名にもなっているように、ロマン溢れる不思議事件に次々と遭遇するお話となっている。
3巻あたりまでは感動的な話も多くて非常に面白い作品なんだけれど、
ネタ切れなのか後半はややマンネリ化してイマイチ。

火鳥と月夜は同級生で同じクラスの中学2年生。部長の綾小路は3年生。
いわゆるサザエさん時空であり、歳を取らないまま一部のイベントを複数回行うこともある。七夕とか。
主人公とヒロインということで火鳥と月夜の恋愛話もバレンタインや夏祭りといったイベントで存在するが、
実際に一番多いのは部長だったりする。

単行本のみの要素だと、「ものぐさ倶楽部」というあとがき漫画が掲載されている。
それとカバー下(表)に4コマが一本、カバー下(裏)にはその巻に収録されているお話の記念写真。
ものぐさ倶楽部もカバー下(両方)も全巻に掲載されていて、全て完全描き下ろし。
[ 2012/12/08 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

ラッキーゴッド ビリケン

ラッキーゴッド ビリケン/睦月三日生・岩村俊哉/全3巻


ガンガンで連載されていた作品。



・内容
主人公は幸運の神様であるビリケン。実際に大阪の通天閣にあるあのビリケンさんです。

工藤サキという少女がフリーマーケットで怪しげな店へ入り、そこでビリケンの人形を見つけます。
店にいた怪しい男が「ビリケン人形の足の裏をなでて願い事をすれば叶う」と言い、
サキはビリケン人形にお友達になってほしいとお願いします。
そしてビリケン人形も購入しようとしますが、突然割り込んできた男に先に買われてしまうのでした。

男はビリケンを使って金儲けをしようと企んでいます。
今まで人形だったビリケンは動き出し、男に神様を使って金儲けをするなら罰が当たると忠告。
男が反省すると、男を許して目の前から消え去るのでした。

兄の拓矢と一緒にフリーマーケットから家へ帰ってきたサキ。
お気に入りだったビリケン人形が買われてしまったことで落ち込んでおり、拓矢が励まそうと部屋を訪れます。
するとサキは拓矢の後ろに何かがいることに気付きます。それはあのビリケン人形。
人形ではなく普通に動いており、願い事通りにサキの友達になりにきたということです。
こうしてビリケンは工藤家で一緒に暮らすことになるのでした。

その後はサキと拓矢に縁のある人物の願いを毎回叶えていくお話となります。
ですが願い事を悪用したものには罰を与える厳しい面も。

ある時、ビリケンは願い事をうまく叶えられなくなります。
これは運気の流れが乱れているためで、その原因は「ヨドミ」。
ヨドミは人々の運気の流れを乱し、運気を停滞させます。そしてその停滞部分からエネルギーを得て覚醒すると。
噂も具現化させてしまうため、悪い噂が発生した場合はパニック状態になってしまいます。

そして七魔神と呼ばれる存在が東京の都庁の上に出現。
七魔神は黒い箱船に乗っていて、その目的はヨドミの復活。
実は60年前にビリケンと七魔神は戦っており、その時はビリケンが敗北しています。
これによって第二次世界大戦が発生してしまったというわけです。

同じ出来事を繰り返すわけにはいかないと、ビリケンは自らを7体に分けて七魔神に立ち向かいます。
そして6体のビリケンで光の結界を作ってそこに七魔神を閉じ込め、
残ったビリケンが勇気玉(ブレイブボール)を結界内に発射して見事全ての七魔神を倒すのでした。

しかし七魔神は死ぬと膨大な負のエネルギー発生させるため、このままではヨドミが復活してしまいます。
それを防ぐため、1体に戻ったビリケンは負のエネルギーを全て自分の中に取り込んで浄化しようとします。
負のエネルギーは膨大なため、全部を取り込んだビリケンは破裂。
世界中に勇気と優しさの光を撒き散らすのでした。

エピローグ。
あれから1ヶ月が経過。
拓矢はまだ吹っ切れておらず、家にいてもビリケンの姿を探してしまいます。
サキや両親はビリケンのことを口にしなくなりましたが、拓矢には全てが分かっています。
それは忘れてしまったからではなく、ビリケンがいつか必ず戻ってくると信じているからだということを…。



・感想
原作付きとなっている本作。
ギャグ要素は程々で、人間の善悪などいろいろと考えさせられる内容になっている。
個人的にはわりと好きだけど、一般受けはしにくいかもしれない。

読んでいると時代を感じるなぁと思うネタもいくつか。
サキが友達の女の子とヒーローごっこ?で遊んでいる回があるんだけど、
そのキャラの名前が「プリンセスアムラー」と「コギャルサタン」。
97年ぐらいだと安室奈美恵もコギャルもブームだったもんなぁ。

あと笑っていいとものパロディ回もあって、登場するお笑い芸人はナインティナインとウド鈴木をモデルにしている。
矢部は一番の悪者に描かれている。相方のネタが書かれたノートを盗んで自分のものとしてテレビの前で披露とか。
[ 2012/12/06 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

電撃ドクターモアイくん

電撃ドクターモアイくん/岩村俊哉/全5巻


ガンガンで連載されていた作品。



・内容
主人公は小学生の少年である茂相(もあい)ヒロト。あだ名はモアイ。
幼少時より医学書を読んでいたことから、医学知識が豊富。
その医者としての資質を認められ、小学生ながら医学免許を取得します。

モアイくんは医学知識はありますが、それ以外のことに関しては馬鹿。
さらにホモでもあり、同級生の海賀大介が好き。

作品のジャンルとしてはギャグ漫画で、お子様向けのお下劣系です。

最終回では今まで謎となっていたモアイくんの母親が登場。
モアイくんをオーストラリアへ連れて帰ろうとし、モアイくんもこれを受け入れます。
しかし実は母親と2人だけということが分かり、両親と3人で暮らすのだと思っていたモアイくんは悩みます。

クラスメイトたちはそんなモアイくんを見て、あの手この手で両親で両親の仲を修復させるべく奮闘。
しかしどれも失敗に終わり、両親の仲は修復するどころか悪化する一方。
醜い喧嘩を繰り広げる両親に耐え切れなくなったモアイくんが泣いて訴えると、2人は目が覚めます。
モアイくんのために仲直りをし、親子3人で仲良く暮らしていくことになるのでした。



・感想
ガンガンでは珍しいお下劣系ギャグ漫画。
コロコロかボンボンで連載されていても全くおかしくない感じ。
まぁ完全に少年向けな内容ではあるけど、大人になっても童心に帰って楽しめる良い作品。

タイトルにドクターが入っていてモアイくんも医者なわけだけれど、
実際に医者という設定が生かされている話は半分あるかないかという程度。
大半はモアイくんかモアイくんの父親である父蔵が馬鹿をやってはハチャメチャになるという展開。

本編以外の収録だと、3巻に「電撃ファイターチチゾー!!」という作品が収録されている。
増刊フレッシュガンガン平成5年秋季臨時増刊号に掲載されたもので、
モアイくんの父親である父蔵の過去を描いたお話で、母親である葉々代も出てくる。
本編でもちょこちょこ出てくる父蔵の「拳帝」時代が明らかに…?
[ 2012/12/02 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

ワルサースルー

ワルサースルー/たかなし霧香/全2巻


ガンガンで連載されていたギャグ漫画。



・内容
表向きは探偵社、しかしてその実態は世界征服を暗に狙う悪の組織ワルサースルー。
主人公であるセルジオ・バートレットがこのワルサースルーへ入社するところから物語は始まります。

ワルサースルーのメンバーは社長、ケイト、ポッチン、セルジオの4人。
社長はケイトの母親で、ブサイクな男が大好き。旦那であるケイトの父親も当然ブサイク。
ケイトは16歳の女の子。ちょっとおかしな部分はあるものの、この作品の中では比較的普通。セルジオが好き。
ポッチンは人間なのか疑わしい生物で、変態。この作品ではある意味主役。
セルジオは一応主人公ポジション。おかしな人ばかりのワルサースルーに入ってしまって少し後悔している。

ワルサースルーは世界のあらゆる悪い力を増幅させる「クリスタル・オブ・ワルイコト」というのを探しています。
物語が進んでいくにつれて少しずつ手に入っていき、
最後は5つ全てが集まって「ボケナス・ポポン」という全知全能の悪の化身を蘇らせることに。
見た目はポッチンそっくりで、これは世界各地にいる5人の人物に自分の意識の分身を乗り移らせたため。
ポッチンはその中の1人だったと。人間とは思えない変態行動を取っていたのもこのせい。

ボケナス・ポポンはワルサースルーが考えている悪いこととは違うベクトル(人類を皆殺しにする)の悪。
ポッチンの人生を狂わせた張本人ということもあって、怒ったワルサースルーはポポンと戦うことに。
全知全能の悪だけあってとてつもない強さを持っていましたが、最後はポッチンの活躍により勝利。

呪いが解けてポッチンは普通(?)の人間に戻りますが、また新しい悪の思念体に乗り移られてしまいます。
呆れるワルサースルーのメンバーたちですが、「まあ…いいか」とあらためて世界征服を目指すのでした。



・感想
「ハイパーレストラン」と同じく、ぶっ飛んだギャグで人気のあった作品。
こっちの方が常識人(?)多めで読みやすいとは思う。
林田ベランメルジェのような変態枠であるポッチンも多少まともな部分があったりするし。

物語の終盤は微妙にセルジオとケイトのラブコメがある。
暴走族回、バレンタイン回、最終回の3回かな。セルジオは鈍感なので全く気付いていないけど。

巻末のあとがきマンガは健在。でもページ数は少なく、簡素。
カバー下のおまけマンガも1巻にはある。2巻のカバー下は描き下ろしのイラスト。
[ 2012/11/18 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

里見☆八犬伝

里見☆八犬伝/よしむらなつき/全6巻


ガンガンで連載されていた作品。



・内容
今から500年以上も昔、この国にまだ妖怪・化け物・物の怪などと呼ばれる生き物が棲んでいた頃――
そしてその恐怖に人々がいつも怯えていた頃のお話です。

体に刻まれた文字を持つ、犬士と呼ばれる8人の勇者たち。
彼らが繰り広げる大いなる伝説を描いた物語となります。
タイトルでも分かるように「南総里見八犬伝」をモチーフとした作品で、全編ギャグのノリになっています。

主人公は犬塚信乃。原作とは真逆で、本来は女性ながら男性として育てられてきたという経緯があります。
そのせいか、両親を含むほぼ全ての登場人物から男として認識されています。
本人はその度に自分は女だと反論をしますが、分かってはもらえず…。
ただ一人、同じ犬士である犬坂毛野だけが信乃を女と分かっています。

信乃が最初に出会う犬士が犬川荘助。
荘助も当然信乃を男だと思って接していますが、終盤では信乃と良い雰囲気になったりします。

最終回ではその荘助の正体が、妖怪軍の頭領である玉梓の子供であることが判明。
16年前、犬士たちの母親的存在である伏姫によって能力を封印されて幼児化し、人間として育てられてきましたが、
いつかその封印も解けて妖怪となって信乃たちを襲うかもしれないため、置き手紙をして自ら去っていきます。
それでも犬士たちは荘助を仲間だと思っているので、手分けして荘助を捜索して発見します。
そして信乃は荘助が妖怪になっても自分が止めてみせると言い、再び犬士たちは勢揃いして旅を続けていくことに。
そして出発の際、荘助は信乃に「万が一の時は俺を殺してくれ」と頼むのでした。



・感想
「御意見無用っ!!」に続いてよしむらなつき先生の時代劇もの。
ギャグ作品であるというのも共通している。ただしこちらはストーリーものなので、そこに違いはある。
登場人物は犬士は信乃以外全員男だけど、敵方の妖怪軍はほとんどが女。
「御意見無用っ!!」の方も妖怪はほとんど女だったなぁ。

最後はかなり中途半端なところで終わってます。無理やり終わらせた感がありあり。
巻末のあとがきによると、一応「第一部・完」とのこと。
お家騒動の影響で打ち切られたらしいけれど、自分はそのお家騒動に関してはよく知らなかったりする。
発生当時はすでにエニックス系雑誌に見切りを付けて読まなくなっていたのでねぇ。
だからこの作品を含めいくつかの作品は、単行本で追う形になっていた。

本編以外の収録情報。
1巻…「里見☆八犬伝 外伝」(増刊ガンガンWING平成10年冬季臨時増刊号掲載の読み切り)
    あとがきマンガ
2巻…「里見☆八犬伝 番外編」(増刊ガンガンWING平成10年春季臨時増刊号掲載の読み切り)
    「里見☆八犬伝キャラクターデザイン集(犬塚信乃)」
3巻…「なつきとその仲間たち1 長崎の女ですけん」「なつきとその仲間たち2 アトリエの日常」(両方とも描き下ろし)
4巻…「里見☆八犬伝キャラクターデザイン集II(犬川荘助、犬坂毛野、犬飼現八、犬田小文吾)」
5巻…あとがきマンガ
6巻…「浮遊島ザバダックの秘宝」(フレッシュガンガン平成7年秋季号掲載)
    「ぴーちゃん至上主義」(ステンシル平成11年夏号、秋号、平成12年冬号掲載)
    あとがきマンガ

1巻収録の外伝は、8人の犬士が全員揃って最終決戦に挑んだ結果、敗北してしまうも夢だったというオチ。
2巻収録の番外編は1ページ1ネタのショートストーリーギャグ物。
2、4巻のキャラクターデザイン集は連載開始前に描かれたラフ画。結構デザインが違っているキャラもいる。

6巻の「浮遊島ザバダックの秘宝」はシグマ、カノン、タウという3人組が、
素晴らしいお宝が眠っていると噂されている浮遊島ザバダックに行って冒険をするという内容のギャグ漫画。
実は「御意見無用っ!!」より古い作品であり、絵もだいぶ荒い。しかしギャグのノリはこの時から変わらず。
「ぴーちゃん至上主義」はよしむらなつき先生が実際に飼っている白文鳥のぴーちゃんを描いた実録漫画。

「御意見無用っ!!」と同じく、この単行本も全ての巻でカバー下におまけ漫画がある。
表と裏に1本ずつというのも同じ。
[ 2012/11/14 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)