降誕祭の夜

降誕祭の夜 上田信舟初期短編集/上田信舟/全1巻


上田信舟先生が過去に発表した読み切り作品をまとめたもの。



・内容
「DRAGON LOAD」
哪吒(なた)という少年が、全ての悪しき出来事の元凶であるとされる竜王を倒しに行く…というお話。
途中で唯(ゆい)という少女に出逢い、一緒に旅をしていくうちに哪吒は唯を大切に思うようになっていきます。
哪吒の正体は人造人間(アンドロイド)で心を持たないとされていますが、唯はとてもそんなようには思えないのでした。

やがて竜王と対決。竜王を倒すには特殊な剣が必要であり、その剣は竜王自身が持っています。
しかしその剣は心を持つ者でないと扱えません。
哪吒は自分には心がないから無理だと言いますが、
唯が竜王に殺されそうになると唯を失いたくないという一心から剣を抜いて竜王を倒すのでした。

竜王から全ての真実を聞く哪吒。
かつて人間同士が起こした戦によってこの惑星は死に絶え、ドームを作って人類はそこへ閉じこもったと。
そして自分たちが犯した罪の重さに耐えかね、機械によって支配されることを望んでいくことに。
しかしやがて機械に感情を制御された自分たちに疑問を持ち始めますが、それを素直に認められず、
竜王が悪だと決め付けることで心の平穏を保っていたと。

哪吒はドームの人間に作られてそこから派遣されてきましたが、竜王から全てを聞いたことでドームには戻らず、
唯とともに自分が新しい世界を作っていくことを決めるのでした。

「空中ぶらんこ」
サーカス団に所属する中国人兄弟のお話。
二人はいつも一緒で仲良しでしたが、ある時に1人の女の子が加入してきたことで関係に変化が訪れます。
弟は頻繁にその女の子と一緒にいるようになり、兄弟の間には溝ができてしまいだんだんとその溝も深くなっていくのでした。

そんな中で迎えた本番当日。兄弟による空中ぶらんこが行われますが、兄は弟の手をキャッチできず弟は落下。
その事故によって亡くなってしまうのでした。

兄はずっと弟は女の子のことが好きなんだと思っていましたが、実は弟が好きだったのは兄だったと女の子から聞かされます。
自分が他の子と仲良くすることで兄を嫉妬させようとしていたのだと…。

「獣の召喚」
見世物小屋に聖獣の召喚士である少年がやってきて…というお話。
見世物小屋の息子である少年と召喚士の少年は年齢が近いため、すぐに仲良くなります。
そしていつしか見世物小屋の息子は召喚士の少年の綺麗な歌声に惹かれていくのでした。

ある日、召喚士の少年が聖獣に気を吸われている現場を目撃する見世物小屋の息子。
召喚の対価として自らの気を吸わせているということですが…。
見世物小屋の息子は、なぜ自分が召喚士の少年の歌声に惹かれていくのかをその時に悟ります。
自分の奥底で獣が身動ぐ気配がするからだと…。

「降誕祭の夜」
E・Sと呼ばれる神が世界中を荒野に変えてしまった世界。
人々は神のお怒りを鎮めるため、E・Sがこの地につかわされた降誕祭の夜に贄を捧げていました。
その贄に選ばれた少年は、神父と一緒に贄の舞台となる神の祭壇を目指します。
少年は夜になると神父に抱かれ、その度に苦しむのでした。

祭壇へ向かう途中、神父は街で異族の奴隷を買ってきて3人で向かうことに。
贄の少年は奴隷少年と歳が近いこともあり、気を許します。
ある日の夜、いつものように神父に抱かれた少年は、奴隷少年になぜあんなことをさせるのかと問われます。
苦しくてもあれは祝福だと教えられてきたからと少年は返しますが、その心には疑問も浮かぶのでした。

いよいよ祭壇へ到着。少年は神父に用意はできたと告げますが、神父の様子がおかしいことに気付きます。
神父は少年のことを大層気に入っていたため、贄に捧げるのが惜しくなっていたのです。
そこでかわりの贄として奴隷少年を買ったと。

奴隷少年を殺そうとする神父を少年は止めますが、
その時のもつれで神父の持っていたナイフが神父自らの胸に突き刺さり、絶命。
罪の意識を感じた少年は自殺しようとしますが、それを奴隷少年が止めるのでした。

自分が贄にならなかったことで神がお怒りになると言う少年ですが、
奴隷少年はそれはインチキだと少年に話すのでした。贄により起こる神の奇蹟なんていうものはないと。
その証拠も提示し、少年は全ての事実を知ります。
そして奴隷少年は自分は村に帰るが、一緒に来るかと少年に言うのでした。

「王女見参」
ごくごく普通の中学生、柴田正彦。
ある朝いつものように登校していると、突然謎の女の子に襲われます。
女の子のお付きであるカラスによると、どうやら魔女の国の次期女王であるミラ姫だということですが…。

魔女の国では王位継承権を持つ者は試練を受ける決まりがあり、くじびきで正彦の抹殺に決まったから殺しに来たということです。
そんなことで殺されてはたまったものではないと、正彦は急いで逃げて学校に逃げこむのでした。

しかしミラ姫は学校にも当然追いかけてきます。それも制服を着て目立たないように紛れ込む周到さ。
正彦は学校中を逃げ回りますが、やがて屋上に追い詰められることに。
目一杯助けてくれと懇願する正彦を面白がったミラ姫は、殺すのをやめてくれます。
国に帰って試練の内容を変えればいいと言いますが、そこにミラ姫の監視官が現れてそれはダメだと告げるのでした。

何事も自分の自由でないと気が済まないミラ姫は反抗しますが、
試練のために力をセーブされているため一方的にやられることに。正彦はそれを見てミラ姫を助けに入ります。
するとミラ姫は正彦に突然キス。
ミラ姫は吸血鬼のお家柄であり、キスによって相手の生気を吸い取って力を得ることができます。
そして正彦から吸い取った生気によってセーブされた力を解放し、見事監視官を撃退するのでした。

後日。国に帰っていったミラ姫のことが忘れられない正彦。
一度は自分を殺そうとしていたミラ姫を助けたのは、可愛かったからという不順な動機。
今ミラ姫が何をやっているのか教室で考えていると、突然キスをされます。
その相手はミラ姫。母親に試練を延期してもらったので、しばらくここにいることになったそうです。
そしてお腹がすいたからと正彦はミラ姫に生気をたっぷりと吸われてしまうのでした。

「DRAGON RIDE」
ドラゴンの乗り手であるバトゥという少年が主人公。少年にはレイノーという親友がいます。
ある日のこと。風の竜の乗り手となる御使いを選ぶ儀式があり、レイノーは自分がなりたいと思っていました。
そのレイノーに連れられて儀式を見に来たバトゥ。

儀式とは、竜卵の欠片に触れた全ての者の中から、竜自身が一番ふさわしい人物を決めるというもの。
そして、好奇心から竜卵に触れたバトゥが御使いとして選ばれることに。
そのことで負い目があるバトゥは、以後の3年間の間レイノーと会うことはありませんでした。

3寝のg。御使いに選ばれたバトゥですが、レイノーへの申し訳なさから竜に対して構えた態度を取ってしまいます。
そのせいで竜との意思疎通が上手くいかず、大風を止めるために出撃した際に海へと落ちてしまうのでした。

バトゥが目覚めると、そこにはレイノーがいます。
レイノーに対して正直に自分の気持ちを話すバトゥ。自分じゃなくてレイノーが選ばれるべきだったと。
そんなバトゥを見てレイノーは、外にいる竜の所へ連れていきます。
竜は流木による怪我をしており、それは海に落ちたバトゥを守るためだったということが分かります。
竜は、バトゥが欠片に触れたその時からずっとバトゥのことが好きだったと。

レイノーと竜の思いによってバトゥは吹っ切れ、竜と真っ向から向き合い大風を見事止めるのでした。
そしてレイノーと一緒に竜に付けた名前は「セレン」。意味は、2人の地方の言葉で「晴れの空」。



・感想
上田信舟先生の短編集。
エニックス系と関係があるのは「DRAGON LOAD」と「王女見参」の2作品。
他の作品は他社発行の雑誌で掲載されたものです。
前回取り上げたFEといい、この当時の上田信舟先生はわりと優遇されてる感じあるかも。

ちなみに…エニックス系と関係がある2作品と、「DRAGON RIDE」以外の作品はBLです。
なのでGファンで知ってファンになったという人は、この短編集読んだらビックリするかも…。

「DRAGON LOAD」
実はこの作品、以前取り上げたコミックファンタジーワールドと関係がある。
当時開催された「ファンタジーコミック大賞」の受賞作品を集めたのが「コミックファンタジーワールド」だけど、
この作品はそのファンタジーコミック大賞に応募したものだそうです。

審査結果発表の画像も載せているから持っていない人も確認できるけど、
「ドラゴン・ロード」で佳作になっている「みやまきお」という人がそうなのかな?
アルファベットとカタカナで違うけど、タイトルの読み方自体は同じだし。
一応後でコミックファンタジーワールドの方に加筆修正しておこうか。
ちなみに他のどの雑誌や本にも掲載はされておらず、この短編集が完全な初出。

「空中ぶらんこ」
兄弟愛を描いた作品。BL作品なので、別の意味での愛ですけども…。

「獣の召喚」
これもBL作品。12ページしかないのですぐ終わる。
「空中ぶらんこ」もそうだけど、BL作品は感想書きにくいなぁ。男が読むにはきついっすとだけ。

「降誕祭の夜」
表題にもなっている作品。やっぱりBLです。
前2作はBLでもソフトというか実際にいたしているような場面はないんだけど、こっちは有る。
ページ数も前2作は少なかったけど、これは多め。

「王女見参」
フレッシュガンガンに掲載された読み切り作品。
ありがちな使い古された設定なので特に言うこともなく。
ちなみに魔神転生の連載中に描かれたもの。

「DRAGON RIDE」
これは普通のファンタジー。
BLでもないので抵抗はなく読めるはず。でも個人的にはそんなに面白く無い。

収録情報。
DRAGON LOAD…未掲載(この本が初出)
空中ぶらんこ…GENEROUS 1993年 vol.4掲載
獣の召喚…GENEROUS 1993年 vol.2掲載
降誕祭の夜…イマージュ 1994年 vol.11掲載
王女見参…増刊フレッシュガンガン1996年冬号掲載
DRAGON RIDE…VIRIP 1996年 vol.1掲載

ジェネラスとイマージュはBL雑誌?ですかね。聞いたことないのでよく分からない。
VIRIPも知らんなぁ…。



というわけで2ヶ月半ぶりにエニックス漫画で更新。
上田信舟先生のターンはまだ終わっていなかったんですよ。
本当は4/4に更新する予定だったんだけど、あまりにも忙しくて時間が無く、半分書きかけのままずっと放置状態に。
なので後半の方の作品は内容忘れかけてたという始末。
[ 2013/06/14 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

ファイアーエムブレム 風の魔道士

ファイアーエムブレム 風の魔道士/上田信舟/全1巻


「スーパーファミコンセレクション」というコミック誌に連載されていた、初代ファイアーエムブレムのコミカライズ作品。



・内容
この単行本は「マリクの章」「ミネルバの章」という2つの話が収録されています。

「マリクの章」
この話の主人公はマリク。
アリティアが陥落してからカダインへ渡ってエクスカリバーを習得するまでのストーリーが描かれています。

「ミネルバの章」
こちらはミネルバが主人公。
兄であるミシェイルの裏切りにより、マケドニアがドルーアに加担をすることになったきっかけのストーリーが描かれています。



・感想
FCの「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」のコミカライズ作品。
ガンガンファンタジーコミックスとして出ているけれど、実際にGファン本誌で連載されていた作品ではなかったり。
以前にも取り上げたことがあるスーパーファミコンセレクションというコミック誌に連載されていたものです。
それから6年の時を経てガンガンファンタジーレーベルから発売したものがこの単行本。

マリク編が全5話でミネルバ編は全2話の合計7話を収録。
あとがきによると、英雄列伝のような形で一人ひとりのキャラにスポットを当てて取り上げていく…というコンセプトだったようで。
だけど雑誌の方が潰れてしまったために、結局マリクとミネルバの2人しか描かれることはなかったと。

この単行本だとマリク編が最初に収録されていてミネルバ編は後になっているけれど、
スーパーファミコンセレクションではミネルバ編の方が先に描かれている。Vol.1とVol.2に掲載。
マリク編はスーパーファミコンセレクションのVol.3~7に掲載。
あとミネルバ編は鈴木康之という人の原作付きです。マリク編は上田信舟先生のみ。

ちなみに上田信舟先生はこれが初の連載作品だということです。

単行本のみの要素…は巻末にある4ページのあとがきぐらい。
表紙や扉絵も描き下ろしなので、一応含めてもいいかもしれないけど。
あとがきにはマリクとミシェイルをネタにしたおまけマンガも1本ずつあったりする。

まぁでも特に読む価値があるようなものでもないので、
自分みたいにスーパーファミコンセレクションの方を全巻持ってるという人は必要ないかな。
あくまでも当時読めなかった人向け。
魔神転生やペルソナで上田信舟先生ファンになったり、SFCのファイアーエムブレムからエムブレマーになったりなど。
[ 2013/04/01 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

女神異聞録ペルソナ

女神異聞録ペルソナ/上田信舟/全8巻


ガンガンファンタジーで連載されていた作品。



・内容
主人公は藤堂尚也(とうどうなおや)という高校2年生の少年。
御影町(みかげちょう)にある聖エルミン学園という高校へ通っています。

放課後にクラスメイトの南条、マーク、ブラウン、エリー、ゆきの、あやせの6人と一緒に文化祭の準備をしていると、
ブラウンに誘われて「ペルソナ様」という遊びをすることに。
すると教室内に異変が起き、白い服を来た謎の少女が現れて「助けて」と呼びかけてくるのでした。

その後意識を失った尚也は、意識下でフィレモンという謎の人物に遭遇します。
そしてフィレモンから、自分の中に潜む神や悪魔の姿をしたもう1人の自分…いわゆる「ペルソナ」を呼び出す力を贈られるのでした。

尚也が目を覚ますとそこは保健室。
特に身体に問題はありませんが、担任の冴子(さえこ)先生に言われて念の為に病院へ精密検査を受けに行くことに。
病院には園村麻希(そのむらまき)という身体が弱くて半年前から入院しているクラスメイトもいるため、
ついでにお見舞いをしてくるようにも言われます。

南条、マーク、ゆきのの3人も精密検査を受けることとなり、4人で病院へ。
麻希の病室へ行って会話をしていると、麻希の様態が急変。緊急手術を受けることになります。
手術室前でみんなが見守っていると、突然大きな地震が発生。
尚也は急いで手術室の扉を開けてみますが、そこには壁があるだけで手術室など存在しないのでした。

麻希を探して病院をうろつく一行ですが、様子がおかしいことに気付きます。
病院内はゾンビが徘徊していて、次々に医者や看護婦を襲っています。
そして尚也もゾンビに殺されそうになったその時でした。
尚也は自分の中に眠る「セイメイコンゴウ」というペルソナを具現化させ、ゾンビを撃破。
他のクラスメイトたちもペルソナの力を使ってゾンビを倒すのでした。

病院から外へ出た尚也たちですが、そこで異変に気付きます。
尚也たちのいる御影町はモヤのようなもので覆われており、そこから外へ出ようとして押し返されてしまって出られません。
つまり、御影町は完全に隔離されて閉じ込められてしまったというワケなのでした。
そして御影町は悪魔が徘徊する地に。

学校へ戻ることにした尚也たちは、帰り道でエリーと遭遇。エリーもペルソナを使えるようになっています。
エリーは麻希の母親と一緒にいたため、一緒に学校へ。
そしてこの異変の原因は、麻希の母親が勤めているセベクという企業の神取鷹久(かんどりたかひさ)という男が引き起こしたものだと判明。
その後学校内でちょっとした騒ぎがあり、あやせもペルソナを使えるようになります。

麻希の母親が眠っている間にセベクのIDカードをこっそりと拝借した尚也は、セベクへ向かうことに。
ペルソナを使えるメンバー全員がいなくなると何かあった時に困るため、ゆきのとあやせの2人は学校へ残ることにします。
ペルソナは使えませんがブラウンも一緒に行くことになり、セベクへ。

セベクへ行く途中で尚也たちは、行方不明になっていた園村麻希と遭遇。
しかしすぐに麻希の様子に違和感を覚えます。
尚也たちの知る園村麻希という人間は病弱でおとなしい性格なのですが、この麻希は正反対の性格。
仲間たちは悪魔が化けてるのではないかと怪しみますが、麻希と幼馴染である尚也が昔のことを質問をして本人であることを確認。
麻希もペルソナを使うことができ、また1人仲間が増えるのでした。

セベクの神取がいる部屋へ行くと、そこではクラスメイトの城戸玲司(きどれいじ)が神取と戦っています。
どうやらこの2人には因縁があるようですが…。
神取も玲司もペルソナ使いで、尚也たちは玲司に加勢しますが神取の強さは圧倒的。
ペルソナの力を持たないブラウンが致命傷を負いますが、「死にたくない」という思いからペルソナを発動。
これで全てのペルソナ使いが揃ったことになります。

神取は「デヴァ・システム」というものを研究しています。
全ての異変はこのデヴァ・システムが引き起こしたもの。
やがて現れた「アキ」という黒服の謎の少女によって、尚也たちはどこかへと飛ばされてしまうのでした。

尚也が目覚めた場所は、聖エルミン学園の体育館。しかしすぐに違和感が。
その原因…それはこの体育館は半年前に取り壊されたものだということ。
尚也が教室へ行ってみると、そこには他の仲間たちの姿も。
そしてどうやらここは平行世界であるという結論に達します。
明るく元気な園村麻希はこっちの世界の人間で、尚也たちが知る病弱でおとなしい園村麻希とは同一人物であると同時に別人であると。

麻希の話によると、こっちの世界には「マイ」と「アキ」という2人の少女がいるということです。
そしてアキが御影町の半分を支配しており、そちらはD-サイドと呼ばれている悪魔の巣窟。
セベクビルで神取とアキが繋がっているのを知った尚也たちは、アキに会うためD-サイドへ向かうことに。
途中でこっちの世界の御影町も、尚也たちのいた世界と同じようにモヤで囲まれているのを発見。
そこで麻希からおかしな話を聞きます。この世界ではこれが普通で、御影町の外には何も存在しないと…。

アキがいるのはマナの城という場所で、そこに入るにはアキが持っているペンダントと同じものが必要だと分かります。
そしてそのペンダントを持っているのはマイ。
マイがいるという森へやってきた尚也たちは、いろいろありつつもマイからペンダントを預かるのでした。

マナの城へやってきた尚也たち。ここに神取とアキがいます。
しかし神取はアキと一緒に元の世界へと帰っていき、尚也たちは強力な悪魔たちと戦いに。
全て倒したと思ったその時、麻希を狙って1匹の悪魔が。その正体は麻希の母親。
なんとか母親を元の姿へと戻すと、部屋の中にデヴァ・システムの端末を発見。
セベクで働いている麻希の母親はこれを操作することができるため、神取を追って尚也たちも元の世界へ送ってもらいます。

しかし途中でアキの干渉が入り、ワープした先は氷漬けとなった聖エルミン学園。
ここにはゆきのとあやせがいて、詳しく事情を聞くとどうやら雪の女王と呼ばれる存在の仕業だそうです。
さらに聖エルミン学園は異次元へと飛ばされており、学校の外は異空間が広がるのみで何もありません。

「守護者」と呼ばれる存在、そして雪の女王も倒して元の世界へ…とはいかず、依然として聖エルミン学園は異次元を漂ったまま。
しかし仮面を被った謎の生徒の力により、尚也たちだけ元の世界へと送り込まれます。

戻ってきた場所はセベクビル。
神取の所へ行く尚也たちですが、神取はすっかりやる気が無くなっています。
神取の目的はデヴァ・システムを利用して現世の神となることでしたが、いざその力を手に入れてしまったら虚しくなったと。

さらに神取にはまだ良心が残っており、自分を止めてくれる存在として尚也たちを今まで殺さずにいたということも判明。
しかし迷い続ける神取はやがて「這い寄る混沌」の「ニャルラトホテプ」にその身を乗っ取られてしまいます。
そして尚也たちは全力で戦いニャルラトホテプを倒すのでした。

神取は死ぬ直前に正気へ戻り、全ての真実を話します。
デヴァ・システムによって尚也たちが送られていた平行世界…それは本物の園村麻希が創りだしたものだと。
御影町しか存在しなかったり、学校の体育館が旧校舎しかなかったのもそのため。
園村麻希が明るく元気な学園のアイドル的な存在だったのも、全て本物の麻希による願望の投影によるもの。

「マイ」と「アキ」という2人の少女…その正体も麻希。
麻希をローマ字にすると「MAKI」。それをアナグラムにした名前が「MAI」「AKI」というわけです。
そしてマイは麻希の光の部分、アキは麻希の影の部分が凝縮された存在。

現在尚也たちと一緒にいる麻希は、自身の存在が本物の麻希の分身だと知り発狂。
今まで尚也たちを殺そうとしてきた悪魔たちも、全て本物の麻希が創りだしたものということで責任も背負い込みます。

本物の麻希はデヴァ・システムによって生命維持がなされている状態。
完全に心を閉ざしており、尚也たちが呼びかけても返事がありません。
さらに神取を殺されたことによって怒りに震えるアキは、「パンドラ」にその身を捧げます。

マイとアキが持っていたペンダントの力によって再び麻希の創りだした世界へ戻ってくる尚也たち。
そこで尚也は自分の過去と向き合い、麻希も立ち直っていよいよパンドラとの最終決戦へ。

パンドラの強さは圧倒的でしたが、麻希は自らを吸収させることで内面からパンドラを打ち破ります。
パンドラが倒れたことで麻希の世界は崩壊が始まり、元の世界へ帰ることはできない分身の麻希はみんなに別れを告げるのでした。


エピローグ。
あれから1年以上が経過。御影町はすっかり元通りの日常を取り戻しています。
事件は「セベク・スキャンダル」として一時期世の中を騒がせましたが、真相は明らかにされぬまま忘れ去られていったのでした。

本物の麻希は昏睡状態のまま元のICUから発見されましたが、命に別状はなく3年から復学。
エリーたちの助力もあり、なんとか卒業もできるようです。
かつて一緒に行動を共にした分身の麻希に恋心を抱いていた尚也は、今の麻希を見て一抹の寂しさを覚えますが、
今の麻希がデジャヴのように分身の麻希と同じ言動・行動を取るのを見て笑顔を見せるのでした。



・感想
メガテンシリーズの流れを汲む作品である、PSのRPG「女神異聞録ペルソナ」のコミカライズ。
魔神転生のコミカライズはかなりのハイレベルだったけど、これはそれをさらに上回る素晴らしい出来。
原作やった人は当然楽しめるし、やっていない人でも理解できる内容。
ゲームのコミカライズ作品は数え切れぬほど読んできた自分だけれど、これは間違いなくトップレベル。
久しぶりに読んでみて原作の方もまたプレイしたくなってしまったほど。

あとこの作品、エリーがやたらと魅力的に描かれていて可愛かったりする。
主人公との絡みもわりと多くて優遇されているかも。
7巻の表紙でも仲間の女性陣としては唯一主人公とのツーショットだったりね。

ちなみにこの作品、雑誌連載の方は急に終わってしまったらしくて最終回が掲載されなかったようです。
全44話あって、Gファン本誌に掲載されたのは41話まで。
残り3話分(100ページ以上)が単行本完全描き下ろしとなっているので、
この作品のファンでさらに雑誌派だったという人は最終巻だけでも手に入れた方がいいかと。

単行本のみの要素。
上でも書いたように、最終巻となる8巻に42~44話(最終話)が完全描き下ろしで収録されています。
さらに1~8巻の全てにあとがき有り。

3巻には「巻末特別番外(台)編」というおまけ漫画が掲載。仲間たちで銭湯へ行くというギャグノリの漫画。
4巻では「青春の食卓」というおまけ漫画。腹ごしらえとしてコンビニで買ってきたおにぎりを食べる一行ですが、賞味期限が切れていて…。
さらに4巻には「桜の頃」という番外編も掲載されていますが、こちらはGファン本誌でも掲載されたものなので描き下ろしではありません。

5巻には「巻末バンドマンガ」というおまけ漫画。バンドをやることになった尚也たちはそれぞれ自分の思うバンドのイメージでコスプレを…。
6巻の巻末おまけ漫画は「だめドリーム」。尚也と和也(交通事故で死んだ尚也の兄)が休日にどのような過ごし方をしているかという内容。
7巻は「家族の肖像」という巻末おまけ漫画。家族ごっこがしたいアキが神取と和也を巻き込んで…。ちなみにパパ役が神取でママ役が和也。

画像はHDD整理してたら昔撮った画像が出てきたので、それを使用。
前回取り上げた魔神転生のもあったのでついでに差し替え。
どうも前に使ってた性能劣るデジカメの方が鮮明に撮れてるんだよなぁ。
ゲシュタルト、浪漫倶楽部など他にもいくつか前に撮った時の画像があったから、そっちも差し替えるかもしれない。
[ 2013/03/29 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(2)

魔神転生

魔神転生 THE TRUE REMEMBRANCE/上田信舟/全5巻


ガンガンファンタジーで連載されていた作品。



・内容
主人公は都築敦也(つづきあつや)という少年で、「NIEDER TOKYO D3地区(旧都心新宿)」に住んでいます。

90年代末、民族主義に端を発した戦いが世界中で発生します。
東京はミサイルの無差別爆撃によって都心部に莫大な被害を蒙ることとなり、
政府は都心部を放棄して旧八王子に中枢都市「NEO TOKYO」を建設。その発展に務めたのでした。

再開発計画から外され見捨てられた旧都心は「NIEDER TOKYO」と呼ばれ、日に日に荒廃が進んでいきます。
しかし今なおそこに暮らす人も少なくないのでした。

ある日、敦也が家へ帰ってくるとパソコンにメールが届いています。
そのメールには「地上と魔界が繋がったことにより、まもなく地上には悪魔が溢れ出す」との警告が書かれており、
それの対策として「悪魔召喚プログラム」というものが添付されていたのでした。

敦也は半信半疑でしたが、悪魔召喚プログラムを使ってみると3匹の仲魔が登録されています。オルトロスにピクシー2匹。
試しにオルトロスを召喚してみると、そこには実体化した1匹の獣が出現。これがオルトロスというわけです。
その時、家の1階から大きな音が聞こえてきます。駆けつけた敦也が見たのは、妹のミオをさらっていく1匹の翼竜なのでした。

翼竜を追いかけて外に出る敦也ですが、そこは悪魔が徘徊する世界となっています。
戦う力を持たない敦也はオルトロスに助けられ、一度家へと引き返すことに。
そこでオルトロスと新しく召喚した2匹のピクシーに妹を助け出すために協力してほしいとお願いをするのでした。

妹の手がかりを探していると、トトという悪魔に出会います。
トトに連れられていった先は邪教の館。ここで敦也は館の主人から二身合体のやり方を教わるのでした。
トトは子供をさらっているという翼竜の居場所も知っており、案内に従って向かった先でワイバーンと対決。
見事撃破しますが、そこに妹はいないのでした。

死ぬ直前のワイバーンから聞き出した情報を頼りにNEO TOKYOにやってきた敦也。
そこでエティエンヌというフランス政府の男性と出会います。
エティエンヌは敦也に練気の剣と呼ばれる剣を渡し、去っていくのでした。

妹が連れてこられたという佐田研究所へやってくる敦也。
そこでは地上で悪魔を実体化させるのに必要な生体MAG(マグネタイト)を人間から吸収する研究が行われています。
佐田は魔界の王であるサタンにその心を売り渡し、莫大な富と実験材料としての人間を与えられていたマッドサイエンティストだったのです。
敦也は佐田を倒してこの卑劣な研究をやめされますが、そこにもやはり妹はいないのでした。
佐田によると、子供たちの中でも特にお気に入りな子は魔界へ送り込まれとのこと。

その後、佐田の研究材料となっていた人間たちを助けていると、その中には1人の女の子が。
彼女の名前は「ミオ」。妹と同じ名前です。
ミオは名前以外の記憶を一切無くしていて、さらには魔法まで使うのでした。
普通の人間が魔法を使うというのはありえないので、彼女は他の人間から悪魔扱いをされます。
それを見かねた敦也は彼女を保護して一緒に行くことにしたのでした。

ミオを仲間にした敦也の前に再び現れるエティエンヌ。
人間に絶望していたエティエンヌでしたが、ミオを助ける敦也を見てその考えを改めたのでした。
エティエンヌの正体は熾天使ウリエル。敦也の下僕となることを決め、心強い仲魔がまた1人増えます。

魔界へと繋がっているイグドラシルを目指して武蔵樹海へとやってきた敦也たちは、そこで南一輝という自衛隊の一等陸佐を助けます。
南の正体は増長天。ウリエルのように人間として生活をしてその正体を隠していたのでした。
サタンを倒すという目的は共通しているため、南も下僕として敦也の仲魔に。

イグドラシルへやってくると、今まで仲魔として頼れる存在だったオルトロスが急に敦也へ襲いかかってきます。
戸惑う敦也ですが、オルトロスがミオを攻撃したのを見ると、吹っ切れてオルトロスを倒します。
オルトロスは今後は練気の剣に宿って敦也を支えていくことに決めていたため、わざとあのような行動を取ったというわけです。
そしてオルトロスの魂が宿った練気の剣は神剣草薙となるのでした。

いよいよ魔界へとやってきた敦也たち。そこにオルトロスの兄であるという魔獣ケルベロスが出現。
今後はオルトロスにかわって魔界を案内してくれるとのことで、仲魔になります。

魔界で激しい戦いを繰り広げていく敦也たちは、やがて魔王モロクがいるヒンノムの谷へとやってきます。
そこには妹の姿もあるのでした。
しかしモロクの強さは圧倒的で、あっという間に全滅直前まで追い込まれます。
そこで目覚める敦也の中に眠る力。神剣草薙はヒノカグツチとなり、敦也は無意識のうちにモロクを撃退するのでした。

ついに妹を助け出した敦也。
当初の目的は果たしたわけですが、旧都心新宿へ帰るため、または人類のためにサタンと戦うことを決めます。
邪教の館の主人に妹を預け、先へと進んでいくのでした。

次々と魔王を撃破していく敦也たち。やがて目の前に現れた1人の謎の男。その正体は堕天使ルシファー。
ルシファーはミオを操り、自らの部下としたうえで一緒に襲いかかってきます。
エティエンヌは敦也にミオを殺すよう言いますが、敦也は決断できません。
やがてミオにやられるエティエンヌと南。敦也はヒノカグツチの力を開放し、ミオとルシファーを倒します。

死んだと思われていたルシファーですが、今までの黒い羽根ではなく白い羽根となって再び出現。
同じく敦也によって殺されたと思っていたミオも復活。
敦也が切ったのは肉体ではなく、ミオを支配していたルシファーの力だったのです。

ルシファーは敦也の力を認め、ミオを開放してくれます。そしてここで明らかになるミオの正体。
ミオはルシファーが生体MAGから生み出した存在であり、敦也を支えるべく地上へ送り込まれたのでした。
過去の記憶を持たないのは記憶喪失だからではなく、本当に記憶そのものが存在しなかったと。
ルシファーはミオの親というわけですが、ミオの意思を尊重して今後は自由に生きるように言って去っていくのでした。

ちなみに「ミオ」という名前。これはルシファーが親心として残したものです。
彼女が心を開ける存在の人間と出会った時に、その心の中から名前を拾うようにインプットされていたと。
そうすることで相手にとって大切な存在となり、少しでも娘を護ることになるのではないかと。

いよいよサタンのいるパンデモニウムへとやってきた敦也たち。
悪魔たちの猛攻を退け、ついに敦也はサタンと遭遇します。
サタンの審判によって人間の悪の部分だけを見せつけられ、絶望する敦也ですが、
以前に出会った女神イザナミの言葉を思い出してサタンの甘い誘惑を断ち切ります。
そしてミオ、エティエンヌ、南の力を借りてついにサタンを倒すのでした。

全てが終わり、いよいよ地上へ帰還…と思ったその時でした。
サタンはまだ生きており、最後の力で敦也へ呪いをかけようとします。
それをいち早く察したミオは、敦也をかばって自らがその呪いを受けるのでした。

地上へ戻るゲートが開きますが、ミオはもう虫の息。
敦也はミオを抱きしめながらキスをして「二人で帰ろう…地上へ」と言いますが、
「ありがとう」と言い残してミオはその瞳を閉じるのでした。

エピローグ。
旧都心新宿へと戻ってきた敦也。ミオの亡骸とエティエンヌ、南、トトも一緒です。
ミオを死なせてしまったのは自分のミスだと悔いるエティエンヌ。
そして、目的は達成したが代償が大きすぎたと浮かばれない表情の南。

敦也は誰のせいでもないと2人を攻めることはなく、いつかまたこの場所で友として再会することを約束し、
2人は本来の自らの役割へと戻っていくのでした。
敦也はトトにもお礼を告げ、トトは「お前がジジイになったらまた笑いに来てやる」と憎まれ口を言い残して戻っていきます。

エティエンヌ、南、トト、それにミオのことは一生忘れないと誓い、役目を終えた悪魔召喚プログラムを削除する敦也。
やがて夜明けが訪れ、空を見上げる敦也。すると横で眠っていたミオの亡骸に異変が起きます。
ミオの身に着けていた石が光り出し、やがて破裂。するとミオは目を覚ますのでした。

日常に戻ってきた敦也は、妹に母親と3人で平和に暮らしています。
ある日の朝、妹が敦也に可愛いお客さんが来てると伝えに部屋へやってきます。
敦也が準備をしている間、待たせてはいけないと妹はそのお客と会話をします。
妹は自分の名前が「澪」であることを告げ、相手の名前を聞くとその女の人はこう言います。
「ミオっていうのよ」と。



・感想
SFCで発売されたSRPG「魔神転生」のコミカライズ。
過去にブログ内で語ったことがあるかもしれないけど、非常に好きなゲームだったりする。
2はそんなでもないんだけどね。

主人公(敦也)とヒロイン(ミオ)の設定は、原作とだいぶ異なる。
メインキャラだとエティエンヌと南は原作でも出てくるけど、トトに関しては完全オリジナル。
ストーリー設定は主人公周りの家族や交友関係を除けば、ほぼ原作ゲーム通りかな?
ゲームはマルチエンディング方式で3種類のエンディングが存在するんだけれど、
その中でもLIGHTと呼ばれるルートのエンディングを採用している。

単行本のみの要素では、1~5巻まで全て巻末に作者のあとがき有り。
この作品に関することや、あとメガテンに対する思いなんかも語っていたりする。
上田信舟先生はこの作品を担当する前からのメガテンファンだから嬉しかったろうなぁ。
このあたりに関しては100万本の徹夜ソフトという本を取り上げた時に軽く触れているので、興味がある人は。
もう3年半前の記事になるのか。

ちなみに3巻のあとがきによると、本来はこの巻で終了している予定だったとのこと。
好評だったので続行が決定したとか。
最終巻のあとがきでは、当初の予定だと2巻のはじめ頃に妹が死ぬ予定だったとも書かれている。
全3巻の予定が全5巻に伸びたことで、ストーリーもだいぶ変わったようです。

ゲームとこの漫画版は主人公とヒロインの設定や見た目が違うけれど、
3巻のあとがきでゲーム版の主人公とヒロインのイラストが描き下ろしであるので、見る価値ありかも。
[ 2013/03/26 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

超獣伝説ゲシュタルト

超獣伝説ゲシュタルト/高河ゆん/全8巻



ガンガンファンタジーの創刊号から連載されていた作品。



・内容
ヴァサリア教団に属する司祭のオリビエが、「G」と呼ばれる大陸を目指して旅をするところから物語は始まります。
Gの正式名称はゲシュタルトですが、ゲシュタルトは呪われているとされており、
その名を口にすると呪いが振りかかると伝えられていることから人々は皆Gと呼んでいるのです。

この世界にはかつて8人の神々がおり、そのうちの1人がサルサローア。
サルサローアは他7人の神々を統べています。
ある時7人の神の1人であるゲシュタルトがサルサローアを裏切り、逃亡の末にある島へとたどり着きます。
その島こそが「G」というわけです。

ヴァサリア教団の信仰する神はサルサローアなので、それを裏切ったゲシュタルトは忌むべき存在。
なのでその名を呼ぶことは禁忌とされているのです。

オリビエは旅の途中で1人の奴隷少女と出会います。少女の名前は王理(おうり)。この物語の主人公であります。
王理は奴隷として売られそうになっていたため、オリビエは彼女のご主人様になることで救うのでした。
そして2人は一緒に旅をしていくことになります。

謎の多い王理ですが、実はゲシュタルト出身。性別も本当は男です。
王理には6人の妹弟がおり、7人でゲームをしています。
バトルロイヤルで勝ち残った者が、ゲシュタルトに伝わる伝説の超獣の力を手に入れるという条件で。

長男の王理は圧倒的な力を持っているため、ハンデとして性別を女性に変えられてしまった、というわけです。
そして王理を含む7兄弟は大陸へバラバラに送り込まれたと。
ハンデがあるとはいえ他の6人はみんな王理の強さを分かっているため、集中的に狙ってきます。
それでも王理は次々に撃退しては勝ちを積み重ねていくのでした。

ヴァサリア教団を抜けだしたオリビエを連れ戻すため、教団はダークエルフのスズを派遣します。
しかしスズはオリビエの何が何でもGへ行くという強い決心を見るや、旅に同行することに。
さらに街で知り合った謎の占い師であるシャザーンも含めた4人でずっと旅をしていくことになります。

旅を続けていくと、やがてオリビエの中にはもう1人の人格が存在することが分かります。
こちらは黒オリビエと呼ばれており、残虐そのもの。普段の温厚で優しいオリビエとは正反対の性格をしています。
この黒オリビエの行動により、オリビエは両腕を切断する事態になってしまうのでした。

オリビエの腕を取り戻す方法を探る過程で、一向はヴァサリア教団へと戻ってきます。そこにいたのはメサイヤという司祭。
メサイヤはオリビエを赤ん坊の頃からずっと育ててきた父親ともいうべき存在で、スズに連れ戻すよう命令したのもこのメサイヤです。
オリビエを溺愛するメサイヤは二度とオリビエを旅に出させまいと実力行使に出ますが、
その決意の硬さを知ると、結局は折れてGへ向かうことを認めてくれるのでした。

ヴァサリア教団には裏で暗躍する処刑部隊がおり、オリビエは処刑対象になっています。
黒オリビエの存在は以前から教団には周知の事実であり、もはや放っておくことはできなくなったと。
メサイヤはオリビエを引き止めて引き渡すよう言われていましたが、それを守らなかったために処刑されてしまうのでした。

オリビエを追ってくるこの処刑部隊の追撃を振り払い、さらには超獣の力を巡るゲームも勝ち抜いた王理たちは、
いよいよ大陸を離れてゲシュタルトへと向かうことになるのでした。

大陸の人間には忌み嫌われているゲシュタルトですが、到着してみるとなんてことはない普通の場所。
景色は美しく人々も普通の生活をしており、王理以外の3人は面を喰らいます。そして認識を改めるのでした。

ゲシュタルトへ上陸した4人が向かったのは、お城。王理の生まれ育った場所です。
しかしいざ城へと到着してみると、様子がおかしいことに気付きます。
中に入ってみると、そこにいたのは死んだはずのメサイヤ。
実はメサイヤの中にはサルサローアの人格が眠っており、肉体は死んでいながらもその人格が表に出てきたというわけです。

サルサローアとなったメサイヤは圧倒的な強さ。そこにオリビエが立ち向かいます。
王理はその隙に妹たちに言われて父親を探しに行き、そこで超獣をその身に降臨される儀式を受けるのでした。

オリビエの中にあるもう1つの人格、それは破壊神タイタニア。7人の神の1人です。
黒オリビエことタイタニアはオリビエに自分の力を貸し、オリビエはその力でシャザーンとスズを守ります。
やがて駆け付けてきたのは超獣の力をその身に宿した王理。
超獣の正体はゲシュタルトで、今ここにゲシュタルト、サルサローア、タイタニアという3人の神が集結します。

タイタニアはゲシュタルト側に付いたため、サルサローアは1対2の戦いを強いられることに。
しかしゲシュタルトにはサルサローアと戦う意思はなく、3人の神の間には和解が成立。全てはここに終結するのでした。

エピローグ。
全てが終わり、オリビエ、シャザーン、スズの3人は大陸へ戻ることになります。
王理はゲシュタルトの王位を継ぐことになったため、残ることに。
オリビエを愛している王理は自分も連れていってほしいとお願いをしますが、オリビエはそんな王理を優しく諭します。
それでも諦められない王理は、王位を妹に譲ってオリビエに付いていくのでした。



・感想
かなり端折ってるので意味不明な内容になってるかも。まぁ未読の人は自分で読んでみてくださいってことで。
あと創刊号から連載されていたというのは間違っていないんだけれど、
第1話はファンタスティックコミックという前身の雑誌に掲載されたため、創刊号に掲載されたのは実は第2話だったりする。

ガンガンを初期から読んでいて、かつガンガンファンタジーは読んでいなかったという人には一番有名な作品なんじゃないかな?
ガンガンファンタジー創刊以降はガンガン本誌にも毎号宣伝が載ってたわけですよ。
で、その宣伝の中でゲシュタルトの扱いは大きかった。
あと主人公の王理が草を加えているカットがいつも載っていたため、それが印象に残っている人も多いと思う。

作品の感想としては…微妙。BL要素もあるので男が読むにはちょっと辛い部分もある。
見た目は女といえど、王理は元男って設定だからなぁ。
性格や言葉遣いは男そのものなので、それでご主人様(オリビエ)大好きをやられてもキツい。
しかも最終巻に描き下ろしで追加されたエピローグだと男に戻ってんですよ王理。
男の状態でもご主人様ラブは変わっておらず、キスをしたりもしてるので完全にBLの世界ですわ。

他でアレな描写だと、王理とシャザーンが最後までヤっちゃってます。それも無理やり。
高河ゆん先生によると、これはかなり賛否両論だったらしい。でも作者的にはお気に入りなんだとか。
読んでてもなぜこの展開になるのかが理解できないんだよなぁ。うーむ。

単行本のみの収録要素。
2巻の巻末に「超獣伝説ゲシュタルト設定資料 という名のラ・ク・ガ・キ」というコーナー有り。
これはその名の通り、ラフ絵の設定資料。

1~6、8巻には「ゲシュタルトのお部屋」という作者の近況を描いたあとがき有り。
7巻も一応あとがきはあるんだけど、2ページと少ないうえにタイトルもなし。
ちなみに8巻のゲシュタルトのお部屋には描きおろしでメインキャラのその後が描かれている。
↑の王理が男に戻ったってくだりの話はここからです。
[ 2013/03/14 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

闘神伝

闘神伝/こずみ椎太/全1巻


ガンガンファンタジーで連載されていた作品。



・内容
主人公はエリスという踊り子の少女。
父親と一緒に平和に暮らしていましたが、ある日突然謎の女性に襲われます。
必死に逃げるエリスを助けに入る父親ですが、返り討ちにあって殺されてしまうのでした。

謎の女性の目的はエリスを覚醒させること。
エリスの中には闘神の力が眠っており、今度行われる闘神大武会の主催者であるガイアの命令でエリスを襲ってきたのです。

父親を殺されたことによる怒りでエリスはその力を目覚めさせ、見事に謎の女性を撃退。
女性は闘神大武会の招待状を置いていくのでした。
父親は最期の瞬間にエリスの実の父親ではないと言い残したため、
エリスは本当の父親を探す目的も兼ねて闘神大武会への参加を決めるのでした。

もう1人の主人公ともいえるのがソフィアという女性。
自分の過去の記憶がなく、それを求めて闘神大武会へ参加しています。

順調に勝ち抜いていったエリスは、ついに父親を殺した女性との対決を迎えます。
これまでの戦いで成長をしていたエリスは見事に勝利。仇を取ることに成功したのでした。

そしてエリスの次の戦いの相手、それはソフィアでした。
お互いに全力で戦うことを誓いますが、その前にガイアが出現。
2人は戦いを止め、協力してガイアへと立ち向かっていきます。

しかしガイアの強さは圧倒的で、エリスはやられてしまい生死の境を彷徨うことに。
そこに現れたのは父親。エリスにまだこちらの世界へ来るのは早いと言い、追い返します。
目覚めたエリスはオーバードライブという力を発揮し、見事ガイアに勝利するのでした。
そしてここでガイアの正体はエリスの実の父親だったということが判明します。

全てを裏で操っていたウラヌスという女がおり、ガイアが用済みと見るや、
エリスごと消し去ろうと空中からイーグルレイジという攻撃を放ってきます。
イーグルレイジの威力は圧倒的でしたが、ガイアが自分の鎧を咄嗟にエリスに着せたことによってエリスは助かります。

エピローグ。
ウラヌスはまだ生きていますが、一応の戦いは終わったということでエリスはソフィアと別れて父親のお墓がある場所へと帰っていきます。
そして電車に乗って外を眺めていると、そこにはエリスをかばって死んだと思われたガイアの姿があるのでした。



・感想
最初期のPSで人気があった同名格闘ゲームのコミカライズ作品。
触れていないだけで、ゲームに出てくるキャラは他にもちゃんと出てくる。

正直内容面ではあまり語ることがない。あえていえば1話が微妙にグロいことぐらい。
エリスと父親は街に住んでいるので、女性が襲ってきたことによって当然人々に犠牲者が出るわけですよ。
その殺され方が爆発で手首以外完全に吹っ飛んだり、バラバラにされたりなどちょいグロめ。
[ 2013/03/10 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

バウンティソード ダブルエッジ

バウンティソード ダブルエッジ/大武ユキ/全1巻


ガンガンファンタジーで連載されていた作品。



・内容
主人公はケーンという男性。ロムルス軍の特務機関に所属する軍人です。
騎士の血筋であり、暗黒剣を操るダークナイトです。

ケーンは子供の頃から蔑まれて生きてきており、唯一の親友がイクシオンという男性。
ある日にイクシオンが軍へ入隊したことから、ケーンもその後を追って軍人となったのでした。

物語の部隊となるのは「鋼鉄の島」と呼ばれる場所。
ここには古代神族の力が手に入るという「全能の秘宝」が眠っており、各国は軍を送り込んで手に入れようとしています。
ケーンはロムルス軍として部下を引き連れてきているというわけです。

全能の秘宝を手に入れるためには神の代理人として認められねばならず、
それには黄道十二神の指輪を全て集めなくてはいけません。
ケーンは順調に集めていきますが、やがてセラというホーリーナイトの女性と敵対することになります。

信用していたイクシオンの命令で行動していたケーンですが、実はイクシオンはケーンを利用しているだけ。
ケーンに指輪を集めさせて自身が神の力を手に入れようとしています。
セラのボディガードであるディアナという女性も手篭めにしており、
ケーンとセラの集めた指輪をまとめて持ち去ってしまうのでした。

イクシオンに裏切られたケーンは絶対に自分の手で殺すと決心。
同じくディアナに裏切られたセラは目的が同じなため、ケーンを誘って一緒に行動することになるのでした。
この後の二人の運命は…。



・感想
PSで出た同名タイトル作品のコミカライズ。
原作ゲームのキャラデザを担当した大武ユキ先生がこのコミカライズも担当しているという豪華さ。

ストーリーは全体の半分も描かれていない。
存在がカットされたキャラもいるので、ゲームの方をやって楽しんでね!的な感じ。

ダブルエッジはバウンティソードシリーズの2作目にあたる作品で、1作目はSFCで発売されている。
後にPSでリメイク版も。
発売時期やキャラ設定、SRPGというジャンルなどいろいろ近い部分があったので個人的にはFEDAと印象がかぶる。
ちなみにダブルエッジのストーリーは1作目の100年後という設定。なので1作目をやっていればより楽しめる仕組み。

単行本のみの要素では巻末に後書きが2ページ。
この漫画版で出番のなかったキャラのイラストも描かれているので、ファンなら是非に。
[ 2013/02/11 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

サリシオン

サリシオン/久保聡美/全6巻


ガンガンファンタジーで連載されていた作品。



・内容
主人公はサリシオン=カレルという16歳の少年。
幼い頃に両親をバリザガという盗賊が率いる一味に殺されており、その仇を討つために旅をしています。

サリシオンは竜の血を引くドラゴール人。
ドラゴールはお姫様であるジネヴラ姫がザーザンドという大魔道士にさらわれてしまっており、
その救出のために姫の親友であった王宮騎士のカーラ=リシュカという女性が、
竜の血を濃く受け継いでいる戦士を探しています。

ドラゴール人の祖先は悪しき竜とされていて、その身体に流れる悪しき血に負けないように日々を過ごしています。
しかしザーザンドは竜の血を濃く受け継いでいたためにその血に負けてしまったというわけです。
ジネヴラ姫も同じように竜の血を濃く受け継いでいるため、ザーザンドに匹敵する強大な魔力の持ち主。

ある時に立ち寄った先でサリシオンはバリザガの手下と出会い、戦いを挑みます。
しかしバリザガはザーザンドの部下となっていて、皆恐ろしい力を与えられて化け物となっています。
サリシオンは未熟で弱いため、歯が立ちません。そこに助けに入ったのがカーラ。
これが2人の出会いとなります。

カーラはサリシオンが竜の血を濃く受け継いでいることを見抜き、ジネヴラ姫救出のために協力を頼んできます。
サリシオンはドラゴール人ですが、別の場所で生まれ育っていて一度もドラゴールへは行ったことがありません。
なのでドラゴール人が強く慕っているジネヴラ姫には何の感情も持っていませんが、
自らのためにその命を投げ出そうとしてくれたカーラには惹かれており、これを承諾するのでした。

サリシオンはバリザガと同時に、エクヴェドラという剣も探しています。
これは父親から受け継いだ剣でトマという人物に盗まれてしまいましたが、トマはカーラの知り合い。
トマと出会った後にいろいろありましたが、エクヴェドラは魔剣で凄まじい力を持っており、
サリシオンにはまだ扱いきれないことが分かったので、
結局使える日が来るまでエクヴェドラはトマに預けることにしたのでした。

何度かバリザガの手下を倒しながらドラゴールへ向かうサリシオンとカーラ。
やがてサリシオンの父親の親友だったリオ=ヤゲンという人物と出会い、
そこでカーラはサリシオンが産まれた時に背中に羽根が生えていたというのを聞きます。
竜の血を濃く受け継いでいる者は身体のどこかにそういった特徴があるとされているため、
これによってサリシオンがずっと探していた竜の戦士だということを確信したのでした。

ドラゴール城へとやってきたサリシオンとカーラ。
そこでカーラはサリシオンが竜の戦士だというのを発表し、ドラゴールは騒ぎに。
過剰な期待をかけられたサリシオンですが、そのあまりの弱さに段々と失望が広がっていくのでした。

元々ドラゴールに対する恩義は何もないサリシオンですが、「カーラのため」という一心だけで頑張ります。
そしてカーラが城を出ている間にバリザガが攻めてきて、サリシオンは立ち向かいますが全く相手になりません。
次々とドラゴールの兵士たちを倒していくバリザガを見て、サリシオンはみんなを助けたいと願います。
すると目の前にエクヴェドラが出現。サリシオンはそのエクヴェドラでバリザガに立ち向かうのでした。
そしてあと一歩まで追い詰めますが、逆にエクヴェドラを奪われてしまいピンチに。

そこへカーラが戻ってきてサリシオンを助け、バリザガと戦います。
しかしバリザガの強さは圧倒的であり、カーラはその身体に深々とエクヴェドラを突き立てられてしまうのでした。
それを見たサリシオンがカーラを助けたいと願うと、エクヴェドラは再びサリシオンの手に戻ってきます。
エクヴェドラでバリザガを倒す寸前まで行った時、ザーザンドが現れてカーラをさらっていってしまうのでした。

カーラを助けるためにザーザンドの本拠地へとやってきたサリシオン。
ザーザンドはサリシオンに執着しており、サリシオンがカーラを助けだして逃がしても気にしません。
やがてサリシオンはザーザンドによって悪しき竜の血を目覚めさせられてしまい、暴走。

ジネヴラ姫を救出したカーラはそのサリシオンを見て元に戻すべく近寄っていきますが、サリシオンにやられてしまいます。
自らの手でカーラを傷つけてしまったことから正気に戻るサリシオン。
これ以上自分のせいで人が死ぬのを見たくないと泣きじゃくるサリシオンに、
カーラは「あなたを残して死んだりしませんから」と言うのでした。

ザーザンドとの最終決戦に挑むサリシオン。
竜の血に目覚めたことで手に入れた圧倒的な力とエクヴェドラもあり、見事ザーザンドを倒します。
これで平和が訪れる…と思いきや、そこに一匹の巨大な竜が出現。
この竜の正体はバリザガ。エクヴェドラに秘められた悪しき竜の力を吸収し、自らが悪しき竜となったのでした。

サリシオンはカーラに「自分が死んだらエクヴェドラを頼む」と言い残して最後の戦いに向かおうとしますが、
カーラは「必ず戻ってきてください。待ってますから…」とサリシオンに言うのでした。



・感想
剣と魔法の王道ファンタジー。
久保聡美先生の作品は過去2作が昔の日本を題材にしたものだっただけに、真逆とも言える内容。

登場人物はかなり端折って書いた。もっとたくさんの人物が出てきてストーリーに深く関わってくる。
この辺は実際に読んで確認してみてもらいたいところ。細かい設定もいろいろあるし。
最後はバリザガとの決着まで描かれていないのが残念かな。
カーラと約束をしてバリザガの所へ向かうシーンで物語は終了している。

サリシオンは自覚していないけれど、明らかにカーラに対する恋愛感情を持っている。
中盤からはラストまでずっとカーラのためだけに行動しているような感じ。
カーラの方はサリシオンの自身に対する感情を理解している。そして同じようにサリシオンへと惹かれていく。
この2人の関係がこのサリシオンという作品の大きなポイント。

単行本のみの要素では、最終巻に後書きが1ページあります。
そこで書かれている内容を見ると、描きたいことはいっぱいあったけどあまり描けなかったようで。
結構中途半端な終わり方なので地味に打ち切りだったのかも…。
見方によってはあれでちゃんと完結してるというようにも取れるので微妙ですけどね。
[ 2013/02/03 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

お山の竜神さま

お山の竜神さま/久保聡美/全1巻


ガンガンファンタジーで不定期に掲載されたシリーズ。



・内容
時代設定は昔の日本です。
具体的には言及されていませんが、江戸時代あたり?

内容は山に住む竜神一家のお話を描いた作品。
竜神一家は父親の竜之進、母親の由紀、息子の竜之介の3人です。

この単行本には3作品で合計4話が収録されており、1作品目は息子の竜之介がメインのお話。
竜である竜之介は里に行ってはいけないと言われていますが、
自分と同じぐらいの歳の子供を見つけると里に降りて行って一緒に遊ぼうとします。
しかし竜である竜之介はパワーが段違いのため、トラブルを起こしてしまって子供たちの母親に叱られます。

その後、山へ迷い込んだ子供たちが山に住む巨大ツチノコに襲われているところを竜之介が助けます。
そこで子供たちに自分の正体を明かし、竜之進の助けも借りて子供たちを無事里へと送り返すのでした。

2作品目は竜之進と由紀の出会いを描いたお話。
由紀は元々普通の人間であり、お嬢様でした。
ある時に父親とケンカして家出をしたところで竜之進に出会い、一緒に暮らすようになります。
竜之進は自分が竜だと言いますが、見た目は普通の子供なので由紀は信じていません。

ある時に竜之進の正体が本当に竜だというのを知った由紀は怖くなり、竜之進の元を離れ家へと帰ってしまいます。
しかし竜之進への思いからまた彼の元へと戻っていくのでした。

3作品目は密書を届ける指名を果たそうとしている達之助という忍のお話。前後編なのでこれで合計4話となります。
任務途中で水浴びをしている女性を発見し、覗いていたところを竜之介に見つかってしまう達之助。
女性とは由紀で、それを知った竜之進は激怒して達之助を襲うのでした。

気絶した達之助が目覚めると、そこは竜神一家の家。
しばらくご厄介になるうちに、達之助は由紀に対する恋愛感情が芽生えてきます。
由紀は100年近く生きていますが、見た目は若い女性そのもので美人なためです。

やがて達之助を追ってさつきという女忍者もやってきて、5人での生活が始まります。
さつきは達之助の由紀に対する感情を知り、小頭に任務途中で達之助が死んだことにするかどうか聞きます。
これは死んだということにすればずっとここで暮らしていけるからです。

達之助は由紀と2人で由紀の両親のお墓参りをします。
そこで由紀は昔話を始め、周囲の人物が老いていくのに自分だけがずっと若いままなのを見て、
自分が人間ではなくなってしまったのだと悟って悲しくなったと語り出します。
そしてやがて泣き出す由紀。

陰で見守っていた竜之進はそれを見て由紀に駆け寄り、自分と一緒になったことを後悔しているのかと聞きます。
それに対する由紀の答えは…泣きたくなるほど幸せというものでした。
竜之進と由紀の愛を目の前で見た達之助は未練がありつつも由紀のことは諦め、さつきと一緒に帰っていくのでした。



・感想
竜神さまシリーズと呼ばれるものを1冊にまとめた単行本。
表題にもなっている一番最初の作品「お山の竜神さまは久保聡美先生のデビュー作で、投稿作品でもあります。
この作品が受賞したことがきっかけでプロになったと。
このシリーズは不定期掲載だったので、デビュー作でありながら「てんにんご」よりも後に単行本が出たという。

単行本のみの要素では巻末に後書きが4ページ。
このシリーズに「てんにんご」と日本ものばかり描いてきたので、
次回作はバリバリの剣と魔法ものを描く予定というようなことが書かれています。
[ 2013/02/01 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

てんにんご

てんにんご/久保聡美/全2巻

ガンガンファンタジーで連載されていた作品。



・内容
物語の時代設定は戦国時代。
「鬼姫」の異名を持つ朱鷺(とき)という姫が主人公です。

朱鷺は百鬼(なりき)の国主である河音家の娘。
河音家は桃太郎の血筋を引いていると言われており、朱鷺も鬼退治をしていて鬼たちから恐れられています。
朱鷺には李太郎(りたろう)という弟がいますが、病弱なために国を継ぐことができず、跡継ぎには朱鷺が選ばれています。

そんな朱鷺にご執心なのが、隣国である九頭(くず)の国主である佐分利景綱(さぶりかげつな)。
何度も求婚をしていますが、その度に朱鷺は断っています。
その理由は自分が百鬼を継がねばならぬので嫁ぐわけにはいかないのと、景綱が本当に欲しいのは自分ではなく百鬼の国だということ。
景綱は次々と戦争をしては領土を奪って広げていく野心家なので、朱鷺は嫌っているというわけです。

そしていつものように朱鷺が大猿・小猿という2人の部下を引き連れて鬼退治へ出向いた時のこと。
景綱がついに動き出し、百鬼へと攻め入ってきます。
朱鷺を良く思っていなかった部下の謀反もあり、知らせを聞いた朱鷺が急いで戻ってきた時にはすでに城は落ちる寸前。

戦場で景綱を見つけた朱鷺はその首を取ろうと真正面から一直線に向かっていきますが、景綱の前に敗れ去り怪我をしてしまいます。
間一髪のところを部下の雉世(ちよ)に助けられた朱鷺はその場から脱出。しかしやがて城は景綱の前に落ちてしまうのでした。

怪我の治療をしながら雉世と一緒に山の中へその身を隠していた朱鷺は、そこで南斗(なみと)という謎の少年と出会います。
南斗は自分の名前以外何も覚えておらず、朱鷺たちは記憶喪失だと判断して保護することに。
しかし南斗の方は母親から姫(朱鷺)の側にいろと言われたらしいのですが…。

やがて百鬼城で別れた大猿・小猿とも合流をしますが、殿(朱鷺の父親)は討ち死にしたという報告を受けます。
李太郎は行方不明ですが、信頼できる家来数人が付いているとのこと。
しかし脱出の際に李太郎は大きな怪我を負ってしまったとのことで、予断を許さない状況にあります。

朱鷺が一人で行動していたところ、術師の操る山犬に襲われます。
術師は景綱を盲信しており、その障害となる朱鷺を殺そうというわけです。
山犬には朱鷺の攻撃が効かず、絶体絶命となったところを1人の侍に助けられます。
侍の名前は大助(だいすけ)。李太郎の家来であり、李太郎の病気を治すために伝説の白い鬼を探して2年前に旅立っていました。

百鬼が落ちたことを知らない大助に事情を話し、仲間に加えて一行は李太郎捜索を続けることに。
その最中に朱鷺は景綱の姿を発見。部下たちの静止を振り切り、我を忘れて切りかかっていきます。
しかし朱鷺は再び景綱の前に敗れ去って気絶させられてしまいますが、またも部下たちの助けによって事なきを得たのでした。

景綱の差し向けた追手から逃れながら捜索を続けていると、やがて李太郎と一緒に逃げていた家来と出会います。
彼の案内で朱鷺たちは李太郎のいる小屋へとやってきますが、そこにいたのは今にも死にそうな李太郎。
寝ずの看病を続ける朱鷺を気遣った南斗は、自分が代わるから休むように言い李太郎と2人きりになります。
目覚めた李太郎は南斗に自分はもう死ぬことを伝え、朱鷺を頼むと言い残しますが、
南斗は李太郎が死んだらみんなが悲しむからとダメだと言い、その手を握って不思議な力を発揮するのでした。

エピローグ。
李太郎はすっかり元気となり、外にも出れるように。
そして遊んでいる南斗を見て、李太郎は朱鷺に「南斗は天の使いかも知れませぬ。そう思いませんか姉上」と言うのでした。



・感想
時代設定としては戦国時代なんだけれど、鬼が普通に出てきたり正体不明な南斗の存在などもあって、
昔話的ファンタジーの様相も強い作品。主人公の先祖が桃太郎なんていう設定もあるしね。

ものすごく中途半端なところで連載が終了している。
南斗の正体など謎な部分も多く残っており、回収されていない伏線も多い。
個人的にこういう作品は好みで、今後どのように展開していくのか興味深かっただけに非常に惜しい作品だった。

主人公の朱鷺はとにかく強いという設定。その鬼のような強さで鬼たちにも恐れられていることから「鬼姫」と呼ばれるように。
景綱は百鬼を手に入れた後も朱鷺へも執着は変わらず、嫁にしようとしている。
部下たちからはいつ寝首を掻かれるか分からないと反対されるも、その方が毎日が退屈しないで面白いと聞く耳持たず。
2回目の朱鷺との戦いの時には「可愛い顔が台無しだぞ」などと言っていたりもする。

ちなみに佐分利景綱の「分」の字は、本当はにんべんに分で「份」だったり。
環境によっては表示できない可能性もあるので「分」で統一してみた。

単行本のみの要素では2巻の巻末に2ページのあとがき有り。
描き始めからぐちゃぐちゃで収拾付かなくなった的なことが書かれていたりする。
なのでゴールを設定してもらって、そこでようやくしっかり描くことができたとか。
まだまだお話の途中なので、いつか続きを描きたいとのことだったけど…結局描かれませんでしたな。
[ 2013/01/30 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)