21世紀マンガ大賞セレクション

21世紀マンガ大賞セレクション/全1巻


90年代にエニックスが定期的に開催していた21世紀マンガ大賞から、4作品をチョイスしたもの。



・第3回準大賞受賞作品「ジャングルはいつもハレのちグゥ」(作者:金田一蓮十郎)
ジャングルに住んでいる少年のハレが母親にお届け物を頼まれます。
「1人では行っちゃダメ。グゥちゃんを誘いなさい」と言われますが、
ハレはグゥを苦手としているため、1人で行こうとします。
しかし隠れて行こうとしたものの結局グゥに見つかってしまい、一緒に行くことに。

グゥはとにかく不気味な女の子。
会話しても続かず、行動も非常識なためにハレは非常に苦手としています。
そして案の定、今回もハレはグゥに振り回されることとなるのでした。

最後はお届け物であったおにぎりやビールをグゥが勝手に食べてしまい、
本来届けるはずだったふくろじいが餓死寸前になるというオチで終わり。



・第4回準大賞受賞作品「余剰魔法処理班」(作者:有楽彰展)
四谷高の生徒で喧嘩が強い望月葵。
以前にやりあった不良軍団とまた喧嘩をしますが、相手は見違えるように強くなっています。
攻撃は効いておらず、挙句の果てには狼男に変身をする始末。
当然のことながら葵はボコボコにされてしまいます。

月灯りの中目覚める葵。生きているのが不思議な程の怪我をしたにも関わらず、体中が痛むだけ。
すると突然、少女が倒れている葵の顔を覗き込みます。
少女は葵の傷を治したと言うのですが…。

再び目覚める葵。そこは自分の部屋で、あれは夢だったのかと安心をします。
しかしベッドではあの少女が葵と一緒に寝ていて…。
葵は少女を幽霊だと勘違いしていて、無理やり家から追い出そうとしますが、うまくいきません。
少女は自分は黄泉から来たといい、魔法を使うこともできると葵に告げます。

少女の正体はまだ幽霊だと疑っている葵ですが、少女の頼みで料理を作ってあげることになります。
箸の使い方が分からない少女に使い方を教えてあげたり、チョコをあげたり。
気を許してくれた少女は自らを「紗々(さしゃ)」と名乗ります。

ご飯を食べさせたら出て行くという約束をしていた葵は紗々を追い出そうとしますが、紗々は抵抗。
怒った葵は実力行使に出て紗々を押し倒し、首を絞めようとします。
言葉では「全然怖くない」と強がる紗々ですが、その肩がブルブルと震えるばかり。
それを見た葵は諦め、好きにしろと言います。

そこに突如現れる謎の男。
男の名前は虚威(からい)といい、その正体は紗々の父親の護衛隊長。
紗々はお嬢様であり、連れ戻しにきたというわけです。

紗々は葵の部屋を気に入っており、誰にも迷惑をかけていないからという理由でこれを拒否。
しかし虚威は葵に本当はどう思っているかを問い質します。
葵の返事は…「帰れ!てめえは迷惑なだけなんだよ」というものでした。
ショックを受けた紗々は「葵が大好きで側に居たいだけなのに」と言い、
葵のほっぺにキスをして葵の前からいなくなるのでした。

1人になり清々したと最初は思う葵ですが、やがて紗々との生活がフラッシュバック。
最初は邪魔者なだけだと思っていた紗々ですが、いつしか葵にとっても大事な存在となっていたのでした。
そして葵は「ケンカじゃ一度も泣かされたことねーのに…」と言いながら涙を流します。
そんな葵の前に再び現れる紗々。葵は紗々を思いっ切り抱きしめて喜びを表現するのでした。

紗々が再び現れたのには理由が。それは魔法処理をするというもの。
黄泉の国には大量の魔力が蓄積されていて、年月が経過するごとにさらに増大。
今や溢れる寸前となっており、表面張力ギリギリでなんとか下界である人間界へ落ちるのは免れていると。
紗々が人間界へやってきたことにより、そんな皿の縁から魔力が流れ落ちてしまったと。
早い話が結局は紗々のせいだというわけです。それで魔力を回収に再び現れた、と。

魔力は悪い心に引き寄せられる性質を持っており、葵がケンカをして負けた不良たちがその典型。
夜の学校へやってきた葵と紗々は不良たちと再戦をし、葵は紗々の魔法力を借りて見事勝利。
しかし勝つには勝ったものの、2人ともだいぶやられてしまいボロボロ。
家へ帰る間に2人はジャンケン勝負をし、葵はわざと負けて紗々をおんぶして優しくするのでした。



・第1回準大賞受賞作品「風神の大盗賊」(作者:八坂麻美子)
村人全員が腕利きの盗賊であるという盗賊村。ここに1人の男がやってきます。
男の目的はマフーバという少年を連れ帰ること。

マフーバはかつて神聖教団にて神の子として崇められており、
5年前に発生した神々の魔大戦で行方不明に。
どういう経緯があったのか、現在はこの盗賊村にて盗賊として生きています。

男はマフーバを発見しますが、教団にいた頃の辛気臭さは微塵もなく、明るく元気な少年がそこに。
あまりの違いに男は驚きますが、マフーバに事情を話して無理やり村から連れ出します。
実は5年前にマフーバを神聖教団からさらったのもこの男なのですが、マフーバは覚えていません。
自分が神聖教団にいたことも忘れており、魔法も使えなくなっています。

男とマフーバの元に神聖教団の魔法戦士が追手として出現。
魔法戦士の中にはマフーバの後に育てられたミージィという強力な力を持つ少年がおり、
魔法を使えなくなっているマフーバはあっさりとやられてしまいます。
トドメを刺そうとするミージィですが、そこに地母神の葉月が助けに入ります。

葉月によって地下洞窟へと連れてこられたマフーバは、そこで石化した風蓮を発見。
風蓮は神様の1人で、マフーバとはかつて親友だった仲。
神様は普通の人間には見ることができませんが、マフーバだけには見えていて、
それに驚いた風蓮はいろんな神様を連れてきてはマフーバと仲良く遊んでいたのでした。

5年前の大戦は天空の神である風神たちが大聖堂に仕える民に罰を与えるために起きたと言われていますが、
実際はたった1人の風神がたった1人の少年を守るために他の神々を相手に起こしたもの。
その風神が風蓮で、少年はマフーバなのでした。
風蓮は禁じられた剣を使って他の神々を封印。
しかし剣には呪いがかけられており、地上に降りた風蓮も同じように石化してしまったのでした。

風蓮は死を覚悟しており、諦めようとしていますが、
全てを思い出したマフーバは必ず元に戻すから諦めるなと風蓮に言います。
話をこっそり聞いていたミージィが襲いかかってきますが、魔法も思い出したマフーバはこれを撃退。

そしてラスト。マフーバは大盗賊になると誓うのでした。



・第3回大賞受賞作品「INNOCENT BLADE」(作者:戸土野正内郎)
かつて強大な力を誇っていた魔法文化が衰退をし、武力が台頭をしてきた世界。
この魔法文化で長らく権力を握っていた大教会ですが、
現在では武力によって勢力を拡大してきた王国軍との内戦が絶えません。
国内では王国側の国軍と教会側の聖騎士団に分かれ、長らく対立が続いていたのでした。

大司教との交渉に教会にやってきた、王国軍のデュラル公爵。
教会はすでに王国軍に完全制圧をされており、捕虜の扱いを脅しに大司教へ降伏を迫ってきます。

聖騎士団のパラディンであるティルロス=カリア。若き女性ながら立派な志を持っています。
一度は捕虜となりますが、魔法を使って次々と王国軍を眠らせていき脱出。
大司教を探していると、般若の面を被った謎の男と遭遇します。
男は教皇が雇った人間で、仲間だということが分かり一緒に行動をすることになります。

大司教は無事ですが、同じ部屋にはデュラル公爵とその部下であるカーリがいます。
般若の面を被った男は実は国王を暗殺してきており、この教会もすでに聖騎士団によって方位。
目的が失敗したのに気付くデュラル公爵ですが、後には引けず戦うことに。
カーリは男によって倒され、デュラル公爵もカリアの魔法の前に敗れ去ります。

デュラル公爵はかつては教会側の人間。
かつて国で疫病が流行ったことがあり、妻も病気に。
助けたいと毎日神に祈りを捧げていましたが、教会側は病気が蔓延してはまずいと、
病人たちを辺境へ隔離した後に生き埋めにするという手段に出たのでした。
これによって神を信じるのをやめ、王国軍側に寝返ったと。

全ての事情を知った大司教は反省をし、カリアに殺してはならないと命令をします。
デュラル公爵も改心をしますが…そこに現れた事情を知らぬ聖騎士団に弓の集中砲火を浴び、死亡。
大司教はなぜ彼が死ななければならなかったのかと嘆き悲しむのでした。

エピローグ。
般若の面を被った男はカリアに「仁を持って己の持つ正義をよく考えろ」と言い残し、
いずこかへ去っていくのでした。



・感想
コミックファンタジーワールドに続いてエニックス主催のマンガ大賞もの。
これに載っている4作品の作者はいずれもエニックス系雑誌で連載を持っていたので、
おそらく実際にデビューできた人の作品だけをチョイスしたと思われます。

「ジャングルはいつもハレのちグゥ」
後の連載版とほとんど変わらず。
設定やノリはこの投稿作品版からすでに健在なので、安心して読める。

「余剰魔法処理班」
後に東京アンダーグラウンドを連載することになる有楽彰展先生。
普通の男の子が異世界から来た少女に巻き込まれて~って展開は似たようなものがあるかも。
ヒロインの紗々は完全なるロリ。

「風神の大盗賊」
絵のレベルはかなり高い。内容自体はかなり微妙。
ファンタジーな世界観だけど、イマイチ伝わってくるものはなかった。
八坂麻美子先生はこの作品が大好きで、最終回までのシナリオもできているらしい。
いつかこの作品の続きを描くのが目標ということだけど、実現してないようで…。

「INNOCENT BLADE」
絵はかなり荒削りなものの、ストーリーには光るものを感じる作品。
ちなみに作者的にはこちらが本命で、悪魔狩りの方は脇扱いだったそうで。
まぁ大賞という最高の結果なわけで、これも十分に評価されてますやね。

この4作品はこの本が初出というわけではなく、全て読み切りとして一度雑誌の方で掲載済み。
ジャングルはいつもハレのちグゥ(少年ガンガン平成8年No.8掲載)
余剰魔法処理班(月刊Gファンタジー平成9年2月号掲載)
風神の大盗賊(月刊少年ガンガン平成7年8月号掲載)
INNOCENT BLADE(少年ガンガン平成8年No.10掲載)

そういえばカラーメイルの時に「ガンガンコミックススペシャルって他にあったかな」的なこと書いたけど、
この本がそのガンガンコミックススペシャルだった。
他にも2作品発見。1週間以内に両方取り上げる予定。
[ 2012/08/20 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

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