幕末風来伝 斬郎汰

幕末風来伝 斬郎汰/喜名朝飛/全6巻


ガンガンで連載されていた幕末を舞台にした作品。



・内容
主人公は斬郎汰という14歳の少年。
見た目は10歳ぐらいの小さな少年ですが、その外見に似合わない長尺刀を所持しています。
その斬郎汰が旅の途中で荷運びのおじさんに乗せてくれるようお願いするところから物語は開始。

斬郎汰がおじさんに名前を名乗ると、突然荷台から少女が飛び出し、襲いかかってきます。
少女の名前は都築泉(つづきせん)といい、斬郎汰と同じ14歳。
「血袴の斬郎汰」に両親を殺され、その仇討ちのために一人旅をしています。
しかし泉は斬郎汰の姿を見て人違いだということに気付くのでした。

泉の両親の仇である斬郎汰とは、大柄で左腕に傷のある男。
二人とも荷台に乗せてもらっていると、野盗に襲われます。
ただの子供だと思われていた斬郎汰は長尺刀を軽々と使いこなし、次々と野盗を倒していきます。
その光景に戦慄した野盗のボスは泉を人質に取り、自らを「血袴の斬郎汰」と名乗るのでした。

野盗のボスである「血袴の斬郎汰」は偽者であり、本物は長尺刀を操る子供の斬郎汰。
左腕に傷もあることから、泉はこの偽者が両親の仇であると確信。
しかし人質となっていて何もできない無力な自分が悔しくて涙を流します。

自らの名前を勝手に使って次々と悪事を働いていた偽斬郎汰に、斬郎汰の怒りが炸裂します。
斬郎汰の中には鬼神と呼ばれる力が眠っており、怒りと共にその圧倒的な力が解放されます。
この状態の斬郎汰は抑制が効かず、ただ目の前の人間を殺していくのみ。
泉もそれを悟り、両親の仇が討てるなら自分は死んでも構わないと、
偽斬郎汰の刀を握って動きを止め、斬郎汰に自分ごと殺すようにお願いするのでした。

その光景を見た斬郎汰は、過去に同じような出来事があったのを思い出します。
斬郎汰も両親を殺されており、母親が最期の瞬間に相手の刀を握って自分ごと刺すように言ったことを。
正気に戻った斬郎汰は偽斬郎汰だけを殺し、泉を助けるのでした。

両親の仇は討てた泉ですが、行く所もないため斬郎汰の旅に同行します。
斬郎汰の旅の目的も泉と同じく、両親の仇討ち。斬郎汰と同じく長尺刀の持ち主です。
そして立ち寄ったある町で人斬りの噂を聞き、その正体を確かめに行きますが、別人だということが判明。
この人斬りは3人組で、定期的に獲物を探しては願いを叶える代償として殺人を繰り返しています。

泉がこの人斬りたちのターゲットに選ばれてしまい、助けに行く斬郎汰。
2人を倒し、伊舎那という目が見えないことから心眼を会得したリーダーと対戦する斬郎汰。
伊舎那はその心眼で人の過去も覗くことができ、斬郎汰の秘められた過去が明らかになっていきます。

父親は有名な刀工だったこと、「牙鉄」という呪われた長尺刀を作っていたこと、
道場を開いて剣を教えていたこと、斬郎汰の兄弟子となる疼夜という男がいたこと、
その疼夜が牙鉄に魅入られていたこと、牙鉄を持ちだして斬郎汰の両親を殺したこと。

自らの過去を覗かれた斬郎汰は怒りから鬼神の力を解放させますが、
伊舎那との決着は付かず、やがて伊舎那は立ち去っていくのでした。

次にやってきた村で睦月という少女と出会う斬郎汰たち。
睦月は兄を探しており、この村にある寒月流という道場にいることまで突き止めています。
寒月流は力によって村を支配しており、そんな悪い連中に手を貸している兄を連れ戻しにきたわけです。
兄の名前は九郎。

寒月流の道場に潜入した斬郎汰は、九郎と遭遇。
九郎の目的は、寒月流の本当の師範の救出だというのが分かります。
今の寒月流を仕切っているのは疼夜に息がかかった悪いやつらであり、
斬郎汰と九郎は協力して寒月流を壊滅させ、本物の師範を救出。
睦月と九郎も再会を果たし、村を立て直していくべく頑張っていくのでした。

九郎は疼夜に会ったことがあり、詳しい情報を聞いた斬郎汰。
疼夜は京都で部下を集めて何かをしようとしているらしく、京都へ向かうことを決意するのでした。
疼夜の部下である卯水に見張られているとも知らずに…。

疼夜には近衛十二士という精鋭部隊の部下がおり、斬郎汰へ次々と刺客を送り込んできます。
最初に戦ったのは亥門という男。武器コレクターであり、斬郎汰の持つ長尺刀を狙ってきます。
斬郎汰の持つ長尺刀の名前は滔鉄(とうてつ)。
牙鉄に魅入られていた疼夜がいつか行動を起こすのではないかと危惧していた斬郎汰の父親が、
牙鉄に対抗できる刀として作り出したものです。
死に際に隠し場所を斬郎汰に教え、以後斬郎汰はこの刀を持ち疼夜探しを続けていたわけです。

2人目の刺客は子々という女。泉が操られて大ピンチになりますが、そこを伊舎那に助けられます。
伊舎那は斬郎汰の秘められた過去をもっと知りたいと思っており、
前回覗くことができなかった斬郎汰にとって一番封印したい記憶を覗くのでした。

それは深雪という女性を殺してしまった記憶。
深雪は近所に住んでいたとても仲の良かった女性で、斬郎汰にとっては実の姉にも等しい存在。
深雪は疼夜に恋をしており、道場へ差し入れに行くと、そこに待っていたのは死体の山。
生きているのは斬郎汰と疼夜の2人だけ。
疼夜に斬りかかっていく斬郎汰を見て、深雪は疼夜をかばって斬郎汰に斬られてしまい、亡くなるのでした。

伊舎那は斬郎汰と疼夜の戦いが見たいと言い残し、去っていくのでした。

何度も敵に捕まり、さらには操られて自ら斬郎汰にまで怪我をさせてしまった泉は、
これ以上一緒にいると斬郎汰に迷惑がかかると思い、一人出ていきます。
泉は斬郎汰の中で何よりも大切な存在になっていたため、一人になった斬郎汰は腑抜けてしまいます。

それでも京都へとたどり着いた斬郎汰。
情報を集めていると、泉が他の男と仲良く話しているところを目撃します。
相手の男は十二士の一人、巳道。
巳道は斬郎汰を倒すための餌として利用するため、泉に接触したわけです。

その後、巳道の罠に嵌っておびき出されてしまう斬郎汰。
鉄砲の一斉射撃を受けますが、なんとか回避して巳道と1対1の勝負をします。
しかし実力の差は歴然で、あっさりと斬郎汰が勝利。
巳道に連れられて泉もこの場に来ていましたが、巳道が泉を最後まで人質としては使わず。
それは利用しようと思って接触したつもりが、いつしか本当に泉に恋をしてしまっていたからなのでした。

巳道は最後に疼夜の場所を教えてくれたため、そこに向かう斬郎汰と泉。
次々と残りの十二士の襲撃を受けて最大のピンチが訪れますが、
なんと疼夜の部下でずっと斬郎汰を見張っていた卯水が裏切って助けてくれます。
卯水は疼夜を心酔していましたが、見張っているうちに斬郎汰の中に疼夜の闇を超える光を見出し、
心変わりをしたというわけです。

卯水の力もあり、ついに疼夜のいる不落城へとたどり着いた斬郎汰。
中へ入ると伊舎那と疼夜の側近である時が戦っています。
伊舎那は斬郎汰と疼夜の戦いを見たいと思っていますが、時は斬郎汰を疼夜の所へ行かせたくありません。
思惑が相反するため、こうして戦うことになったと。

時は伊舎那に任せ、疼夜のいる修羅の間へとやってくる斬郎汰。
部屋の前に泉を待たせ、疼夜との決戦に挑んでいきます。

疼夜と斬郎汰には圧倒的な力差があり、鬼神の力を解放してもボロ負けをしてしまう斬郎汰。
もう諦めようか…と思った時に、今まで出会ってきた人たちのことを思い出します。
そして部屋の前で待っていてくれる大切な人である泉のことも。

今までのように暴走するわけではなく、自らの意志で鬼神をコントロールできるようになる斬郎汰。
これによって疼夜を上回る力を手に入れ、疼夜を倒すのでした。
しかし最後の瞬間、疼夜は避けれるのにわざと斬郎汰の攻撃を受けます。
疼夜は自らが闇に支配されているのを分かっており、自分を倒して救ってくれる人を待っていたのでした。
それが斬郎汰であったと…。

疼夜は西洋人と取引をして日本全国で戦争を起こそうとしていたため、
その後始末を斬郎汰に頼んで死んでいきます。
国へ帰ろうとするその西洋人の船に乗り込んで行った斬郎汰ですが、鉄砲で撃たれて瀕死に。
最後の力で火薬を爆発させ、船を沈めるのでした。

エピローグ。
3年が経過。斬郎汰は船の爆発の後、戻ってくることはありませんでした。
泉は一人京都に残り、飯屋に住み込みで働く日々。
器量の良い美人に成長しており、泉目当てで来る男の客で飯屋は大繁盛しています。

そんな泉の所に、睦月と九郎が訪ねてきます。
ちょうど町では祭りをやっており、久しぶりの再会ということで3人で祭りに行くことに。

途中で2人とはぐれてしまった泉は、一人海辺で佇んで斬郎汰のことを思い出すのでした。
あれから3年。一緒に過ごした時間よりも、待っている時間の方が長くなっています。
泉は斬郎汰は一つの時代を救った時代の申し子だったのではないかと思い、涙します。

その頃、崖の上では伊舎那の姿が。
伊舎那は3年前、斬郎汰が船の爆発事故でいなくなった日と同じ日に失踪。
その伊舎那が戻ってきたということは…。

花火が打ち上がり、泉はその音に気付いて顔を上げると、そこには3年間待ち続けていた人の姿が。
泉はその人の胸へと飛び込んでいき、その頭上では祝福するかのように大きな花火が上がるのでした。



・感想
幕末を題材にした人斬りモノ。
斬郎汰と泉の関係や、少しずつ明らかになっていく斬郎汰の過去。
そして敵だった伊舎那や卯水が味方になってくれる、ザ・少年漫画というべき展開。

作品としては荒削りだけど、パワーがあって非常に面白い。個人的にはかなりオススメ。
マイナーだけど隠れた名作だと思うんだよなぁ。少し前に取り上げたバトルボイジャーもね。

カバー下は斬郎汰たちを使った現代のイラスト。
学校の制服きたりUFOキャッチャーやったりで、
幕末が舞台の本編では絶対に見られない違った一面が楽しめる。
[ 2012/09/18 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(2)

おお、かなり詳しく覚えてますね。
九郎が自分を犠牲にして十二士の二人と崖に落ちるシーンは入れようかどうか迷ったんですが、見送りました。
やっぱり入れた方が良かったかな?と思ったりしています。

Noesisの方は昨日取り上げましたが、所々で回収しきれていない謎もあるので、もう少し見たい気持ちはありましたね。
[ 2012/09/20 22:12 ] [ 編集 ]

ブログ楽しく閲覧させてもらっています
漫画のあらすじ、感想を読みながら、「そういえばこういう話だった」と思いだし、懐かしんでいます

連載当初はガンガンで時代物? と思っていましたが、斬郎汰は読んでみると面白い漫画でしたね
連載中は中堅漫画の一つぐらいに感じていた気がしますが、やたらと武器を投げていた亥門、
鉄の鎧を着こんだ相手を崖から突き落とす九郎など、今でも思い返せるシーンの多い印象に残っている漫画です
すっきりした結末も好感がもてました

斬郎汰の後に始まったノエシスにも長続きしてもらいたかった……
[ 2012/09/18 22:34 ] [ 編集 ]

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