機動少年XX

機動少年XX/立木大和/全2巻


90年代半ば~後半にかけてガンガンとガンガンWINGで連載されていた作品。



・内容
20世紀末、日本に無数の小惑星群が襲いかかってきて都市の80%が壊滅。
人々の心は腐敗し、凶悪犯罪は増加し続け、世紀末都市と化していく一方。
この荒廃した日本に再び秩序を取り戻すリーダーを養成すべく、文部省は「武真館学園」を創設したのでした。
武真館学園は文武両面が優れていなければ入学が許されない日本の最高教育機関です。

物語の舞台は武真館学園が創設されてから5年後。
武真館学園への入学が決まっている伊集院クレフという女の子がいます。
彼女が登校をすると、突然ベンケイという男に襲われます。
ベンケイは武真館学園に合格できなかった恨みから、新入生を次々と襲っていたのです。

そんなクレフのピンチに一人の少年が登場。名前は皇士郎(すめらぎしろう)。この作品の主人公です。
士郎も武真館学園へ入学が決まっており、ベンケイを倒してクレフを救うのでした。
そして無事に登校した士郎とクレフは、紅つるぎという同級生の少年と仲良くなります。

この作品の肝となるのが、「キドウ」という言葉。
武真館学園ではあらゆる武道全てをキドウという呼び方で統一しています。
漢字はそれぞれ違い、拳は機道、剣は輝道、弓は葵道、近代兵器は機道、馬術は騎道、といった感じに。
ちなみに士郎は機動という独自の武術を使います。そしてこの作品の悪役である軍団の名前は危道衆。

キドウの由来は戦国時代で、気功術という超人的な力を使うお侍さん方の一族です。
戦の勝敗すら決定する力を持った彼らは、人々から気道の者と呼ばれていました。
やがて彼らは一人一人が自分の技を磨き、様々な分派を作り上げて己の技にキドウという名前を付けたのでした。
それが拳の機道だったり剣の輝道だったりするわけです。そして子々孫々へ代々伝えていったと。
そんなキドウの血を今の世に受け継いでいるのが、士郎、クレフ、つるぎ、そして武真館学園理事長の理沙。
こんな感じで、とにかく全てが「キドウ」という言葉に繋がっているのです。

武真館学園の理事長室には、この世界を滅ぼすものを封じ込めた伏魔秘岩というものがあります。
伏魔秘岩には人の形をした鍵穴が開いており、ひょんなことからクレフがそこにハマってしまう事態に。
すると伏魔秘岩は封印を解き始め、クレフは取り込まれてしまいます。
封印を解く鍵となるのはキドウの人間でなくてはならず、その血を引くクレフは最適な存在だったのです。
ここでチャンスを伺っていた危道衆の連中が現れ、伏魔秘岩ごとクレフをさらって行ってしまうのでした。

伏魔秘岩に取り込まるとどんどん気を吸い取られていき、
最終的には目覚めたホロボスモノによって食われ死んでしまいます。
急いでクレフを助けに向かった士郎は、途中で危道のルゥを倒して封神拳というものを入手。
そして危道衆のアジトである富士山山頂へと到達します。

危道衆のボスである伊達を倒し、伏魔秘岩を破壊してクレフを救出する士郎。
伏魔秘岩が破壊されたことによって、目覚める前に死んでしまったホロボスモノ。
伊達は死者を操る力を持っており、自らが乗り移ることでホロボスモノは復活を果たしてしまいます。
力を使い果たしていた士郎ですが、クレフと理沙の力を借りて見事ホロボスモノも撃破。
しかしホロボスモノは最期に士郎を取り込んで消えていくのでした。

21世紀初頭、人々は平凡な日常を過ごし日本は平和でした。
つるぎと一緒にいつものように武真館学園へと通っていたクレフは、登校途中に一匹の捨て犬を拾います。
犬には首輪が付いており、そこにはシローという名前が書かれていたのでした。

学校に今日一日だけシローを置いてもいいという許可を担任の理沙からもらったクレフ。
クラスのみんなで休み時間にシローと遊んでいると、ベンケイが喧嘩をふっかけてきます。
つるぎはベンケイにやられてしまい、シローと一緒に逃げるクレフ。

追い詰められたクレフは、周りの風景や現在の状況を見て既視感を覚えます。以前にもこんなことがあったと。
そしてあの時助けてくれた人の名前を思い出します。「シロウ」と。
すると胸に抱いていた犬が光を発し、少年へと変化。少年はベンケイをやっつけてクレフを救います。
その少年は、紛れもなくあの士郎なのでした。

ホロボスモノに取り込まれた士郎は、中で女神と出会います。この女神こそがホロボスモノの正体。
以前は勝利の女神(ニケ)と呼ばれており、ホロボスモノとは現代の人間が付けた名前。
ニケは地球の生物が進化していくのをずっと助けてきました。
新しい生物が誕生すればそれに力を貸し、旧時代の生物は滅んでいく。
滅んでいく生物にとってはニケは滅ぼすものであり、そこから名付けられたというわけです。

しかしこの時代の生物、すなわち人間はニケを研究して逆に操るほどの力を持っていました。
もうこの星にはいられないということで、ニケは別の惑星へ旅立つことに。
ニケが「最後に1つだけ願いを叶えてあげる」と士郎に言うと、
士郎は「みんなが平和になれますように」と願うのでした。

士郎の純粋な願いに感動をしたニケは、全知全能をかけて平和を取り戻します。
そして特別に士郎とクレフの再会を感動的なものに演出してくれたのでした。

「ただいま」という士郎に、全てを思い出したクレフは「おかえり」といって抱きついていくのでした。



・感想
途中でガンガンからガンガンWINGに左遷されてしまった作品。具体的には全15話中、ラストの4話。
当時のガンガンWINGは季刊誌だったので…このラスト4話を描くのに1年かかっている。
はっきり言ってしまうと、面白くない。絵もお世辞にも上手いとは言えない。というかむしろ…。
残念ながら、個人的には左遷も致し方なしと言わざるをえない。

まぁでもインパクトのある作品ではあったかもしれない。
主人公の士郎が初登場するシーンでいきなりクレフのおっぱいを吸っていたりとかね。
ベンケイの攻撃でクレフの服が斬られ、おっぱいが丸出しになったすぐ後にこれ。
クレフはバスト93あるらしいけど、貧乳にしか見えないのは作者の力量なんですかね。

タイトルの由来。
どう見てもガンダムのパロであることは言うまでもなく。ただ一応考えてはいるらしい。

「機動少年」というのは機動という武術を使う少年だから。「XX」にはいろいろあるようです。
1巻の巻末に載っているあとがきマンガによると、
・以前書いた短編「運勢X」の次にくる漫画という意味
・Xファイルのファンだから
・アメリカ映画館の「成人指定・ハードコアもの」という意味(X指定)
だそうで。

ちなみに作中だと、XXとは伝説の決闘宣誓のことです。
「闘いにおいて頭上で己の拳をX字に交差させることにより、この闘いに自らの命をかけるという決意表明」
…だそうです。第1話より。

キャラ的には理沙が一番最初に誕生したキャラで、本来は主人公の予定だったとか。
自由に体の大きさを変えられる妖精人という設定だったけど、
友人に本当にそれをコントロールできるのかと言われ設定変更。

伊集院クレフの名前の由来は、作者が「伊集院光」と「G-クレフ」のファンだったことから。

最後に生まれたキャラは紅つるぎ。
士郎のライバルキャラとして作ったつもりが、戦うことはなく普通の仲間に。
記憶を無くした士郎の双子の兄だったという設定も一時期あったそうで。

つるぎは本来、仲間を作ったりつるんだりするようなキャラではなかったとか。
「どの雑誌にも路線ってあるんですね」と書いていることから、
編集の意向でかなりいろいろといじられたのかなぁ…というのが伝わってくる。

ちなみに立木大和先生は1年弱の間、江川達也先生のアシスタントをしていたとのこと。
東京大学物語の10巻末にアシスタント漫画を描いているそうです。
そういえばHAPPY BOYとこれって確か連載時期かぶってたような…。
[ 2012/09/29 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(1)

前回の椎名君のリーズニングファイルは懐かしいとは思いつつも絵柄もよく覚えていたんですが
XXは写真を見てこんな絵柄だったっけとびっくりしました。

このXXしかり、無天のカイト、裏剣道ZEROなど序盤からお色気路線を匂わせた漫画はガンガンでは大成しませんでしたね。
どこかのブログで「ガンガンは女性読者が多い」という意見を見たことがありますが……
[ 2012/09/30 13:46 ] [ 編集 ]

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