フランケンシュタインズ・プリンセス

フランケンシュタインズ・プリンセス/たつねこ/全4巻


ガンガンファンタジーで連載されていた作品。



・内容
主人公はヴィスという女の子。ですが人間ではなく、人形です。
土・風・水・火という4つの元素から1つを抽出して精製した高密度の魔法結晶体「結晶(コクーン)」。
これが人形の魂の役割を果たしており、人間と同じように感情も持ち合わせています。

物語は、何者かの「タスケテ」という願いによってヴィスが目覚めるところから開始。
それから3年が経過し、ヴィスはヴァサゴの街へとやってきます。
目的はヴィクターというご主人様(マスター)を探すため。

ヴァサゴへ来て早々に鞄を盗まれてしまうヴィス。
泥棒を追いかけていると、その泥棒から鞄を取り戻してくれた謎の男性と遭遇。
男性は転んで怪我をしてしまっていたヴィスを見て家へ連れていき、治療をしてくれまし。
偶然にも、この男性こそがヴィスの探していたあのヴィクターなのでした。

ヴィクターはかつて錬金術師協会に属する人形師(アルケミスト)でしたが、
自分の作ったベルリネッタという人形を死なせてしまったことで心を閉ざしています。

なんやかんやあって、ヴィスはヴィクターの家へ置いてもらえることになります。
ヴィスはいわゆるドジっ子で、家事や料理を担当しますが何をやらせても失敗ばかり。
ですが笑顔だけは絶やさず、心を閉ざしているヴィクターにも影響して少しずつ明るくなっていくのでした。

ある日、ヴァサゴの街に錬金術師協会の支部ができます。
そこの支部長はエリザベスという女性で、ヴィクターとは知り合い。
エリザベスは協会へ戻るよう説得をしてきますが、ヴィクターは拒否をするのでした。

教会内で不穏な動きがあり、エリザベスはそれをヴィクターへ知らせに来ます。
アレイスター・クロウリーという死霊使いが暗躍していると。
支部へ戻るエリザベスですが、そこにはアレイスターが待ち受けており、負傷してしまうのでした。

なんとかヴィクターの家へと逃げ込んだエリザベス。
ヴィクターが急いで支部へ行ってみると、そこにはアレイスターと一体の人形が。
その人形はなんと死んだはずのベルリネッタなのでした。

アレイスターは人形の死と共に崩れていく結晶を呪いで縛り、崩壊を防ぐだけでなくその意思も操っています。
ヴィクターはベルリネッタの攻撃を受けて気絶。
一人残ったヴィスがみんなを守りたいと強く思うと、見知らぬ姿へと変身。
その姿のヴィスはベルリネッタと共鳴し、ベルリネッタはおかしくなります。
それを見たアレイスターは錬金術師協会の本部がある帝都へ来いと言い、ベルリネッタといなくなるのでした。

ヴィクターの家へと戻ってきますが、ヴィクターは部屋に閉じ込もってしまいます。
ヴィスがエリザベスにヴィクターの過去について尋ねると、エリザベスは話してくれます。

人形師としてベルリネッタを作り出したヴィクター。
貴族たちから買い手が殺到しており、一番高値を付けた者へ売られることになっていました。
ヴィクターは人形に心があるとは思っておらず、物として扱っています。
そしてベルリネッタに誰に買ってほしいかを聞きますが、
ベルリネッタは心の中でヴィクターとずっと一緒にいたいと思っているのでした。

部屋の中で1つの結晶を見つけるベルリネッタ。
ヴィクターによると、それは初めて召喚に成功した精霊だと。
捨てられなくてなんとなく取ってあるということです。

ベルリネッタはその結晶に心の中で語りかけます。「どっちが幸せなのかしら」と。
それは、どんなに触れ合えてもいつかは離れなくてはいけない自分と、
触れることすらできないけれどずっと一緒にいられる結晶を比較しての問いかけなのでした。

ベルリネッタはヴィクターにエメラルドの指輪をプレゼントします。「ずっと持っていてください」と。
その色はベルリネッタの瞳の色と同じで、ベルリネッタ自身も同じ指輪を持っています。
離れ離れになっても私だと思って大切にしてほしいという、願いが込められているのでした。

ベルリネッタの争奪戦で他の貴族に負けそうになっているメイヤー卿。
焦る彼の前にアレイスターが現れ、ある知恵を授けます。
そして部屋に一人でいたベルリネッタの前にメイヤー卿が現れ、「お前は私のものだ」と言って襲ってきます。
必死に抵抗するベルリネッタは指輪を落とし、その指輪はメイヤー卿に踏まれて壊れてしまいます。
そのことによって理性を失ったベルリネッタは、メイヤー卿を殺してしまうのでした。

何事かと駆け付けるヴィクター。しかしそこは凄惨な現場。
助けを求めるベルリネッタですが、その血塗れの手を見てヴィクターは拒絶してしまいます。
ショックを受けるベルリネッタ。
するとそこに警備隊が現れ、メイヤー卿殺害の容疑でヴィクターは逮捕されてしまいます。
ベルリネッタは全ては自分の責任なのでヴィクターには寛大な処置をしてほしいと言い、
最後に今まで流したことのなかった涙を流して窓から飛び降りるのでした。

ヴィクターはメイヤー卿の殺害については証拠不十分で無罪となりますが、
ベルリネッタ暴走についての責任を問われてしまいます。
錬金術師協会からの除名、人形師としての資格剥奪、そして帝都追放。
そして姿を消し、ヴァサゴで暮らしていたと。

全てを知ったヴィスはヴィクターの部屋へ行き、悲しみを癒すのでした。
翌朝ヴィクターが目覚めると、隣で寝ていたはずのヴィスはいなくなっています。
ヴィクターとベルリネッタを戦わせるわけにはいかないと、一人で帝都へ向かったヴィス。
それを察したヴィクターは、みんなを引き連れて帝都へ向かいます。

先に帝都へたどり着いたのはヴィクターたち。そこにはアレイスターの召喚した魔物が大量にいるのでした。
魔物を倒しながら協会へ向かい、中へ入るとそこにはベルリネッタがいます。
決心を固めていたヴィクターはベルリネッタを殺そうとしますが、そこに変身をしたヴィスが出現。
ヴィスにその場を任せ、ヴィクターはアレイスターの元へ向かいます。

アレイスターは自らの命を削って魔物を召喚していたことから、死が間近に迫っています。
ヴィクターになぜそこまでして自分にこだわるのかと聞かれると、それは才能だと。
死霊使いとして高みを目指していたアレイスターは、ある日突然己の才能の限界に気付きます。
自分の能力では交渉できない高位の存在、知り得ない真実があることを知ったのです。

そこに現れたのがヴィクター。才能溢れる彼なら、いつか自分が到達できなかった高みにたどり着けると確信。
しかしヴィクターが求めたのは富と名声。
失望したアレイスターは、ヴィクターを正しい方向へ導かねばという思いから今回の騒ぎを起こしたと。
それを言い残して死んでいくのでした。

ヴィスとベルリネッタの戦いにも決着がつきます。
呪いで縛られているベルリネッタを元に戻すため、ヴィスはわざと攻撃を受けて心を取り戻させるのでした。
そしてヴィスの姿に戻り、ヴィクターにベルリネッタの結晶を渡します。

ヴィスの存在は消えかかっており、もはやその姿を保つのも難しい状態に。
実はヴィスの正体は、ヴィクターが初めて召喚した精霊。
結晶としてずっとヴィクターのことを近くで見てきたことから、彼に恋をしています。
その結晶には「テスタロッサ」という名前が付けられていたのでした。

飛び降りて死を迎えようとしていたベルリネッタ。そこにアレイスターが現れて彼女を呪いで縛り付けます。
ベルリネッタはその時、近い将来に操られた自分がヴィクターを殺してしまうビジョンを見ます。
そして「誰かあの人をタスケテ」と願い、それが結晶だったヴィスを呼び起こしたのでした。

テスタロッサとしての記憶は心の内に眠ったままでしたが、変身したことでヴィスは全てを思い出します。
ヴィスとしての生活はテスタロッサの見た幸せな夢だったということにし、消え去ろうとしますが、
ヴィクターは何でも願いが叶うという「タブラ・スマラグディーナ」の封印を解いて、
ヴィスを存在を繋ぎ止めるのでした。

エピローグ。
アレイスターが死んだことで平穏を取り戻す帝都。
しかしヴィクターたちが暴れた後はそのままなので、面倒事になる前にさっさと帰ることにします。
帰路の途中、ヴィクターはヴィスの耳元で「スキダヨ」と囁くのでした。



・感想
ヴィスを中心とした、日常系のまったり平和な作品。…途中までは。
終盤に入ると謎に包まれていたヴィクターの過去をめぐるシリアス展開に突入。
護衛神エイトの時にも書いたけれど、この手の作品は前半の日常系路線の方が好きなんだよなぁ。
でもストーリーはうまくまとめてあるので、良い作品だと思う。
絵も萌え系の絵柄なので、古臭さを感じるということもない。

あとこの作品、エロ要素が結構多い。
パンツが見えるのはこの作品では当たり前で、ヴィスがおっぱいを出すシーンもいたるところに。
それどころか下半身丸出しな部分もいくつか。さすがにこっちは読者には見えないようになってますがね。
セリフ回しも「体で払います」とか、あっちの方向に連想できるものばかり。

終盤に入ってからだけど、実際にSEXをしてしまったと思われるシーンもある。
エリザベスからヴィクターの過去を聞いて、ヴィスが部屋へ行った時。
泣いているヴィクターの頬やおでこに何度もキスをしていくうちに、ヴィスは服を全部脱いで全裸になる。
最後に唇にキスをし、次のページではお互い全裸で抱き合っているカットが。

内容では省略してしまったけど、かなり早い段階で同じ人形であるクリオという女の子と出会う。
以降は彼女のご主人様とセットで準レギュラーとなり、一緒に帝都へ行って最終決戦にも参加する。
作者的には一番お気に入りのキャラだとか。
エリザベスにも自分の人形がいる。名前はアルファで男。こちらも準レギュラーで最終決戦参加組。

あと忘れちゃいけないのがガブリエルという人形。最初からヴィクターの家に住んでいて、第1話から登場。
作中の人形では唯一の非人間型で、鳥。ヴィス、クリオ、アルファ、ベルリネッタは人間型。
ヴィスには「トリさん」と呼ばれている。逆にガブリエルはヴィスを「あねさん」と呼ぶ。

そういえばまとめやすいように主人公の名前は最初からヴィスにしてあるけれど、
実際にこの名前が出てくるのは8話になってようやくだったりする。
名前がないので、ヴィクターが名付けたのが「ヴィス」。その由来は手元にビス(ねじ)があったからヴィス。
ベルリネッタも実際に名前が分かるのは終盤になってから。

ちなみにこの作品、絵が柔らかいタッチなので最初に読んだ時は女性作者だと思っていた。
でもたつねこ先生は男性であり、奥様はなんとあの高河ゆん先生。

1~3巻の巻末に「フランケンシュタインズ・プリンセス サプリメント」というおまけが掲載。
1・2巻は本編の番外編的な描き下ろしのおまけマンガ。これがなかなか面白い。
ヴィスとヴィクターがサターンのバーチャファイターで対戦して徹夜してしまうお話とかね。
それで「一晩中寝かせてくれなくて」「もう1回ってせがむから何度も」などの会話をエロ方面に誤解されたり。
3巻は普通のあとがき的な内容で、高河ゆん先生のプライベートにも触れていたりする。

この作品、元々は同人用の企画だったとか。
ブラックすぎて没になったのを、明るいコメディに変更して商業連載に至ったと。
企画段階だった当時はヴィクターを高河ゆん先生、ヴィスはたつねこ先生が描いていたそうで。
3巻のあとがき(サプリメント)には高河ゆん先生が描いたヴィクターの絵も載っているという豪華さ。

4巻は本編でページを使いすぎておまけに割くページが無くなってしまったらしく、
そのかわりにカバー下(裏)にあとがきが載っている。
[ 2012/10/11 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

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