東京鬼攻兵団TOGS

東京鬼攻兵団TOGS/斎藤カズサ/全6巻


ガンガンファンタジーで連載されていた作品。



・内容
100年以上前。
地球上の生物全てを絶滅させるほどの威力を持った細菌兵器が発射され、瞬く間に地球上は汚染されます。
地上はこれ以前から環境悪化が深刻化していて、大多数の人類は開発中のシェルター都市へ移り住んでいたため、
犠牲者は最小限に抑えられたのでした。
しかしそれ以来、地上は人間が足を踏み入れることができない荒廃した土地に。

主人公は柏葉徹という14歳の少年。平凡な学生生活を送っています。
幼馴染で中等部一の美少女と言われている河合由美と一緒に下校をしていると、
突然人間が化物に変身して人殺しを繰り返す現場に遭遇。
そこに「TOGS(Tokyo Offence Guard System)」という秘密組織の2人組が現れ、化物を倒します。
一件落着…と思いきや実は化物は生きており、徹と由美を襲ってきます。
TOGSの2人組も気付きますが、間に合わず絶体絶命。するとその瞬間、徹は謎の力を発揮して化物を倒すのでした。

TOGSに家まで送ってもらい、また元の日常へ戻る徹と由美。
いつものように学校へ通うと、何やら騒がしい事態になっています。
高等部に2人の美女が転校してきたらしいのですが、それはあのTOGSの2人なのでした。
名前は太門綾佳(たもんあやか)と、倉敷望(くらしきのぞみ)。

綾佳たちの目的は、徹をTOGSへ勧誘すること。
TOGSでは化物をヴァイラスと呼んでいますが、正式名称はMMMV菌感染者。
MMMVというウイルスに感染した病人だということです。
100年以上前に細菌兵器として地球上にばら撒かれたのもこのウイルス。
ワクチンはまだ開発されておらず、一度感染したら元に戻す方法はなく、化物として殺戮を繰り返すのみ。

MMMV菌は傷口や粘膜接触で感染し、感染率100%という脅威のウイルスです。
ヴァイラスに傷を負わされたが最後、命は助かっても確実にMMMV菌に感染してしまうため、
被害は広がっていくばかり。
しかし100万人に1人の割合でMMMV菌に感染しない抗体を持っている「抗体者」がいることが分かり、
その抗体者のみで組織されたのが「TOGS」というわけです。

ヴァイラスと戦った後に徹と由美は感染していないかの検査を受け、徹が抗体者でないということが判明。
そこでスカウトをしに来たというわけです。
徹は拒否しますが、綾佳と望はストーカーのように追い回し続けるのでした。

由美の体調がおかしくなり、早退することに。徹も付き添いで一緒に下校していると、綾佳と望が出現。
相変わらずしつこく勧誘してくる2人ですが、その背後で由美が倒れてしまいます。
症状を見た2人は急いでTOGSの研究所へ由美を運び込むと、MMMV菌に感染していることが判明。
元に戻す方法がない以上、現在感染者に対して取れる唯一の対策はコールドスリープ。
治療法が発見される後世まで生命活動を一切停止させることで、発病もしないと。

2人に案内され、由美の元へ連れていかれる徹。
不安がる由美に「必ず俺が起こしに来る」と約束をし、眠りにつくその時まで近くにいてあげるのでした。
そして徹は決断します。
これ以上由美のようなMMMV菌感染者を出さないため、そして自分のように悲しむ人を出さないため、
TOGSへ入隊すると…。

TOGSではメンバーにナンバーが付けられています。望は03で綾佳は06。そして徹には与えられたのは09。
もう1人、04のナンバーを与えられた和泉沢和子(いずみさわこ)という女性もいます。
訓練を重ねてやがて実戦にも出ることになり、少しずつ場数を重ねて成長していく徹。
しかし相手のヴァイラスも今までとは違って強力になっていきます。
自我もないはずですが、ちゃんと考えて行動をしている様子も。

TOGSの1人である、ナンバー05の結城遙(ゆうきはるか)。
彼は世界最大のシェルター都市であるオーストラリアのアデレードへ出向しており、
徹たちは隊長の命令でアデレードへ。

アデレードで徹はバルマーという博士を目撃。
ミューペットという、バイオテクノロジーを用いて既存の動物同士を組み合わせて造られた新種のペットがいます。
人間のMMMV菌感染者はヴァイラスですが、ミューペットを感染させることでより強力なものを生み出したと。
それがネオ・ヴァイラス。徹たちが戦ってきた知能を持っている強力なヴァイラスはこのネオだったのです。
ヴァイラスは自然発生ではなく、人為的に感染させられたものだということも明らかになります。

バルマーはどこかの組織に属しているらしく、人為的に感染者を発生させた目的も分かります。
それはMMMV菌のワクチンを作り出すことなのだそうです。
人道的な問題からこれまでは人間を実験材料にすることが禁じられていましたが、
一向にMMMV菌に治療法は確立されないため、バルマーの組織では人間を使うことにしたのでした。
そして徹たちのいる東京Cityへヴァイラスを送り込み、感染者を増やし、その人間たちを連れ去って実験すると。

東京へ戻ってきた徹は緋影晶(ひかげしょう)という少年に出会います。
TOGSしか知らないはずの機密情報を知っており、隊長とも知り合いであるということから、
徹は晶をTOGSの一員だと思って会話をします。
途中でTOGS本部が襲われたという情報が入り、戻る徹。
そこでネオ・ヴァイラスに襲われますが、晶が助けてくれるのでした。

沢和子から本部にはネオ・ヴァイラスが入り込み、
コールドスリープされた人たちがいる場所を目指しているという情報を聞いた徹。
急いでその場所へたどり着くと、そこで望と合流します。
徹と一緒にいる晶を不審に思った望が徹に質問をすると、TOGSの一員だということ。
しかしTOGSには徹、望、綾佳、沢和子以外に子供のメンバーはいないため、敵だと確信します。

晶の正体はバルマーと同じ組織の人間で、コールドスリープされた感染者を奪って組織へ持っていくこと。
どこにいるかは分からなかったため、徹に近づいて仲間として振る舞うことで利用。
まんまと騙された徹は罠にハマって連れてきてしまったわけです。
晶は望を倒し、徹にも怪我を負わせ、そして衝撃的な事実を徹に告げるのでした。

TOGSの隊長が、細菌兵器によって地球上を汚染させた当事者6人の直系の子孫であるということ。
そして晶の属している組織の長であるプロフェッサーも同じく、当事者の子孫であること。
晶も徹と同じ抗体者で、この抗体者は100万人に1人の突然変異ではなく、実は人為的に造り出されていたこと。
抗体者は全部で9人いて、TOGSの5人以外の4人は晶の組織にいること。

これらの事実を告げた後、晶はコールドスリープされている感染者たちを奪おうと奥へと進んでいきます。
ここで由美を奪われたら二度と逢えなくなってしまうと思った徹は、力を開放して爆発を起こすのでした。

TOGS本部は崩壊。晶にやられた望は意識不明の重体となり、本部の別の場所で戦っていた綾佳も負傷。
徹は由美を守りましたが、コールドスリープしていた感染者の半数は結局奪われてしまったのでした。
望とアデレードにいる遙以外のTOGS3人が隊長の所へ行くと、そこにはバルマーもいます。
徹が過去に何があったのかを隊長に聞くと、全てを話してくれるのでした。

100年前、地球の環境悪化は末期症状を迎えており、
シェルター都市と呼ばれる居住区へ移り住まなくてはいけなくなったと。
そして環境悪化を食い止めるべく、「暁の四賢者」と呼ばれる組織が発足。
4人の自然科学者たちが集められてできた組織です。
TOGSの隊長であるフェンリルはこの4人の科学者の1人の息子で、バルマーも同じく。

科学者たちはMMMV菌を作り出します。
シェルター都市へと移り住んだ後でも人間による環境破壊は止まらず、抑止力とするために作り出したのでした。
しかし4人の科学者のリーダーである、プロフェッサーと呼ばれる男は実際に使用することを提言。
まだワクチンも出来上がっていない状況であり、他3人の科学者は反対をしますが…。

その場は引いたプロフェッサーですが、結局MMMV菌を搭載したミサイルを発射させようとします。
そこをプロフェッサーの息子であるカインが銃で撃ち抜き、食い止めた…かのように思えましたが、
最後の力を振り絞って発射ボタンを押してしまうプロフェッサー。
こうして地球上は汚染されてしまったのでした。

残った科学者たちはMMMV菌を作り出してしまった自分たちにも責任があると考え、
せめてもの罪滅しとして全力を注いでワクチン開発の研究を続けます。
カインは暴走した父親を止めようとしたことからカリスマ的支持を得て、新たな組織のリーダーに。
それから70年経っても全く成果は出ず、ようやく一筋の光明として出てきたのが抗体者なのでした。

しかし抗体者はMMMV菌ウイルスに感染しないかわりに超人的な力も持ちあわせていたため、
科学者たちの間でも意見が分かれます。
リーダーであるカインは採用することを決め、抗体者を生み出した博士に自分の目的を告げます。
抗体者を兵器として利用し、今なおシェルター内で地下資源を食い尽くそうとしている人間を管理すると。
そのために抗体者の量産を支持するのでした。

博士はその後、自分を含む4人の科学者を集めてカインの目的を伝えます。
この4人の中にはフェンリルとバルマーもいます。
抗体者は兵器として利用するために作り出したのではないことから、4人は組織から抜け出すことを決意します。
9体の抗体者のサンプルを4人で分散し、それぞれが別々に逃げて最終的に東京Cityで落ち合う計画。
しかし結局東京へたどり着けたのはフェンリルともう1人だけ。
1人は死亡し、もう1人であるバルマーもサンプルを奪われてしまったのでした。

バルマーは整形して姿を変え、カインの組織へ戻って別人として活動をすることに。
隙を伺ってカインに奪われた抗体者を連れて逃げるつもりでしたが、結局分かったのは2人まで。
死亡した科学者は死ぬ間際、密かに体外受精バンクへ侵入して凍結受精卵に09のサンプルを紛れ込ませており、
完全に行方が分からなくなっていましたが、偶然にも望&綾佳に出会ってTOGSへ入ったと。
バルマーによると残った2体の抗体者は晶、それにディアドラだということです。

やがて、カインが全世界に環境破壊を止めなければMMMV菌を搭載したミサイルを撃ち込むと宣言。
カインは宇宙にあるメギドという要塞へいることが分かり、
TOGSメンバー全員、それに隊長とバルマーで宇宙船に乗ってメギドへ乗り込み最終決戦へと挑むのでした。

メギドへ到着すると、徹は綾佳から「生き残ってデートしよう」と言われ、これを約束。
3手に分かれて進んでいき、徹と隊長は晶に遭遇。
晶は徹との1対1の対決を望んでおり、隊長を素直にカインの元へと行かせます。

晶は徹と戦いながら場所を変え、MMMV菌ミサイルとMMMV菌のワクチンミサイルがある部屋へ。
ミサイルの発射権限は晶が掌握しているということで、自分に勝てば発射を阻止できると。
晶は戦闘マシーンとしてずっと育てられてきたため、人間の優しさというものを知りません。
なので人間を信じている徹を否定します。抗体者は普通の人間にとって浮いた存在で、絶対に迫害されると。

優しさに触れて育ってきた徹は信じているため、晶に反論しながらついに決定的な一撃を繰り出します。
そこに割り込んできた1人の人間。それはディアドラでした。
ディアドラは晶の側で一緒に育ってきたにも関わらず、人間の優しさを教えてあげられなかったことを悔いています。
自らが命を投げ出して晶をかばうことでそれを伝えようとしますが、
徹の攻撃を受けて瀕死のディアドラを晶は自らの手で殺してしまうのでした。

激怒した徹は感情を爆発させて晶を攻撃。その一撃は深々と晶を貫きます。
晶はわざと自分の攻撃は外して徹の攻撃を受けたのでした。
晶は徹が見る人間の未来を自分も見てみたいと言い、最後にミサイルの解除コードを徹に伝えて死んでいきます。
同じ頃、隊長のフェンリルもカインを撃ち抜いて殺害します。

解除コードを入力した徹ですが、メギドは数十体のネオ・ヴァイラスが暴れており崩壊寸前に。
死を覚悟して諦めた徹は綾佳とデートする約束を思い出し、守れないことを心の中で謝ります。
その時でした。どこからともなく綾佳がやってきて、徹を迎えに来ます。
心の中で晶とディアドラが徹を導き、手を延ばすと小型船に乗った望がその手をキャッチ。
徹と綾佳を救出してみんなの元へと戻るのでした。

メギドを完全破壊し、全て終わった…かに思いましたが、メギドからミサイルが発射されます。
それは地球上へ降り注ぎ、中身を地球全土へとばら撒きます。
その中身とは…MMMV菌ではなく、そのワクチン。発射させたのは最後まで1人メギドに残っていた隊長。
ワクチンは地球全土へ降り注ぎ、汚染された地球を青い緑の星へと戻してくれるのでした。

エピローグ。
あれから2年が経過。
ワクチン接種によってMMMV菌による脅威はなくなり、抗体者でなくてもシェルターの外へ出られるように。
完全に地球の汚染が回復されるまでにはまだ時間が必要なため、少しずつ開拓が進められています。

TOGSは解体され、軍に残ったのは遙のみ。
徹、綾佳、望の3人は地球の自然環境を保護するための活動を続けています。
由美もコールドスリープから目覚め、徹と一緒に活動をしています。
あの日からちょうど2年が経過したということで、全員は久しぶりに集まることに。

丘の上にある隊長、カイン、晶、ディアドラの墓の前で佇む徹。
そこに綾佳が現れます。
下ではパーティーがすでに始まっており、綾佳と一緒にパーティーへ戻ることにした徹。
その手を掴んだ綾佳は、徹に「また背が伸びたね」と言うのでした。

パーティーは続いていき、徹は抜け出して木の下で由美と眠りから目覚めた時のことを振り返ります。
やがて望と綾佳に呼び出され、パーティーへ戻っていく由美。
由美は綾佳の隣に行くと、徹のことを「諦めません」と告げるのでした。

一人佇む徹は晶のことを思い浮かべ、
「この地上で自分たち抗体者は居場所を作っていくからそこで見ていてくれ」と囁くのでした。



・感想
近未来SF作品。設定は同時期に連載していた「E’S」になんとなく被る感じ。
でも個人的には「E’S」よりこっちの方が好きかな。
あっちは冗長で結構グダグダ感もあるので…。こっちは展開もスムーズで程よい長さで読みやすい。
まぁ最後宇宙に舞台を移しての最終決戦は行き過ぎに思うこともないが。

今回端折ってしまった残り2体の抗体者は、アリシアとシンシア。
バルマーに保護されていつも一緒に行動している。
組織には抗体者の2人は事故で死んだと見せかけて、別人としてバレないように育ててきたと。
ついでにディアドラはアリシアの実の妹。洗脳されているけど最後は洗脳が解けて元通りに。
まぁ晶をかばって死んでしまうけども。

徹がTOGSに入った最大の目的が幼馴染の由美。
扱い的にはメインヒロインになると思うんだけど、じゃあ最後でくっついたかというとそうではない。
綾佳も徹が好きで、終盤は結構積極的なので逆転ホームランも十分ありえそうだった。
どちらと結ばれたかは読者に委ねるって感じの終わり方ですな。

ちなみに作者の斎藤カズサ先生は、この作品に合わせて絵柄を変えたとのこと。
確かに「赤のクルセード」「白のテンペスト」と比較するとだいぶ変わったなぁという印象を受ける。
中世ファンタジーから近未来SFというある意味真逆な世界観なので変えたようだけど、正解だったんじゃないかな。
[ 2012/10/29 ] エニックス漫画 | TB(1) | CM(0)

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刹那の幻 東京鬼攻兵団TOGS
[2016/12/30 21:06] URL http://whilelimitless.com/limitless-pill/is-it-real/