白のテンペスト

白のテンペスト/斎藤カズサ/全4巻


ガンガンファンタジーで連載されていた、「赤のクルセード」の前日譚にあたる作品。



・内容
主人公はソルトブルク公国の王女ディアナ。
特徴的な青い髪の持ち主で、生まれた時から「滅びの子」と呼ばれています。
母親は亡くなっており、父親である国王もディアナには冷たい対応を取ります。

ディアナが12歳の誕生日を迎えた日、国王の側近であるサイファーに命を狙われることに。
そこをウォルター、アッティカの2人が助けにきます。
ウォルターはいつもディアナに優しく接してくれているソルトブルクの騎士。
アッティカはフーヴァー卿の娘で、高貴な身分でありながらヤンチャでお転婆。
フーヴァー卿からはディアナを守るように言われています。

サイファーは強力で、3人は崖まで追い詰められてしまいます。
アッティカは一か八かで崖下の川へ飛び込むことを決め、3人は飛び降りるのでした。

それから5年後。
3人は無事に生き延び、放浪の旅を続けています。
途中で立ち寄った村の遺跡で守護者と出会い、ディアナは杖を受け取るのでした。

次に立ち寄ったバル=ジーという街で騒ぎを起こしてしまうディアナ。
自我を無くし、杖を使って強力な魔法を使用。そこにいた兵士を皆殺しにしてしまいます。
駆け付けたアッティカを見て元に戻りますが、その現場は凄惨な光景。
それを見たディアナは発狂して気絶してしまうのでした。
騒ぎの原因が青い髪の魔女だという話は瞬く間に広まり、とある男の耳にもそれが届きます。

目覚めたディアナはベッドの上。
自分がしたことを思い出し、側にいたアッティカに「嫌いにならないで」と言います。
アッティカは長く一緒にいるんだから自分を信じろと優しく言い、二人の仲はこれまで通りになるのでした。

ジィニという村にたどり着いたディアナたちは、そこで大歓迎を受けます。
村の者はディアナのことを「姫神様」と呼ぶのですが…。
見に覚えがないディアナは別人だと主張しますが、
村長に連れられていった場所で村の守り神だという石像を見せられます。その姿はディアナにそっくり。
ディアナは初め自分かと思いましたが、よく見ると微妙に違っており、この像は母だということを確信します。

壊れてしまった杖を像の前の祭壇に捧げると、杖から光が発生。
そして像の目が開き、ディアナに語りかけてくるのでした。「北の地パルムへ来なさい」と。

翌日、ジィニ村にアスラン国の兵士たちがやってきます。
兵士たちの目的はディアナ。子供たちを人質に取って引き渡すように要求してきます。
ジィニの人たちは従おうとはしませんが、ディアナは子供たちを助けるべく自ら捕まる道を選ぶのでした。

城へ連れてこられるディアナ。魔法を警戒して一切魔法が使えなくなる封魔符を身につけさせられます。
そして部屋に閉じ込められるディアナですが、しばらく経って一人の男が。
その男は魔族に強い怨みを持っており、ディアナを殺そうと本気で襲いかかってきます。

封魔符で力を封じられているディアナは必死に逃げますが、すぐに捕まってしまいます。
男は「本気でかかってこい」と言って封魔符を外し、ディアナを斬り付けます。
するとディアナの中に眠る魔族の血が覚醒。自我を無くし、圧倒的な力で男を攻撃。
しかし無事に生き残る男。ディアナはここで正気を取り戻し、殺さなくて良かったと安堵するのでした。
ここで助けに来たアッティカが駆け付け、男にまだやる気なら容赦はしないと言うと、
男は素直に撤退を決めて去っていくのでした。

パルムへたどり着いたディアナとアッティカ。
大僧院へと向かっていると、ソルトブルクからの刺客であるモンスター軍団に襲われます。
必死に戦いますが、相手は強力で数も多く苦戦。
そこにディアナの命を狙っていたあの男が登場し、加勢してくれます。
やがて大僧院からも一人の男がやって来て、強力な力でモンスターを一掃してしまうのでした。

大僧院の男はディアナを迎えに来たと言い、自らの名前をセキと名乗ります。
セキに案内されて大僧院の中に入ると、そこにはディアナの母親であるエヴァが。
死んだと聞かされていた母ですが、実は生きていたのです。

母親からソルトブルクにはカドケウスという邪神が封印されていることを聞くディアナ。
かつてこの世界には3体の魔神がおり、世界の覇権をめぐって三つ巴の戦争を巻き起こしたという伝説があります。
しかし実際にはこの中の一体であるカドケウスのみが覇権を望み、和を乱したと。

他の2神はカドケウスと戦いましたが、海の神は倒され、地の神も苦戦。
地の神は精霊界から力を借りることを決め、ディーファという一族を召喚します。
ディーファは人間の中から優れた力を持つ者を選び出し、三種の神器を授けます。
その力を借り、地の神はカドケウスを後にソルトブルクと呼ばれる地に封印したのでした。

しかし封印は弱まってきており、カドケウスは再び地上へ現れようとしています。
そこで、それを阻止するためにエヴァは娘であるディアナに協力を要請。
実はエヴァの正体は地の神であり、ずっとカドケウスを抑え込んできましたが、
ある時に政務でパルムを訪れたローランド三世(現ソルトブルク王)と恋に落ちます。

子供を産むと力を失ってしまうため、子を儲けないことを条件に僧院はエヴァが嫁ぐことを認めます。
しかしやがてエヴァは懐妊。
僧院は大反対をしますが、愛する人との間に授かった大切な子。エヴァは反対を押し切って産むことを決めます。
ローランド三世も「子に罪はないから二人で精一杯守っていこう」と言い、やがてディアナが誕生したのでした。

生まれた時から「滅びの子」と呼ばれ、ずっと自分が誰にも望まれずに生まれてきたと思っていたディアナですが、
両親に愛されて生まれてきたことを初めて知るのでした。

父親であるローランド三世はサイファーに操られ、次第に狂っていってしまったと聞かされます。
ディアナを守るため、自分が完全におかしくなる前に遠ざけようとし、冷たい対応をしていたと。
そして今のローランド三世はその肉体をカドケウスの苗床とされており、復活は時間の問題。

ディアナは覚悟を決めますが、今の自分の力では死ぬだけだと思い、
大僧院にあるとされる人間の潜在能力を極限まで引き出す力があるという「開闢の秘石」を使うことを決めます。
ただし心と体に強大な圧力が生じるため、ほとんどの人間は発狂するか死ぬかで耐え切った人は数える程。
エヴァを含む全員に止められますが、それでもディアナは強い意志で挑み、見事克服。
しかしその代償として青い髪は失われ、白髪となってしまうのでした。

かつてカドケウスを封印した時に使われた三種の神器。その1つはセキが持つ「封魔杖(クロス・クロス)」。
もう1つはディアナの命を狙っていた男が持つ「魔族喰い(デモン・イーター)」。
残念ながら残り1つはありませんが、この2つを使ってカドケウスの封印を目指すことになります。
そして一同はソルトブルクへと向かうのでした。

ソルトブルクへ到着するディアナたち。
セキは用事があると言って一人いなくなり、残ったメンバーで進んでいきます。
そしてサイファーの元へたどり着くディアナたち。いよいよ最終決戦が始まります。

サイファーに強い殺意を抱く、魔族喰いを持つ男。
男はサイファーが率いる魔族の軍団に滅ぼされたガナディア国の第一皇子、ラシェだということが判明します。

サイファーの力は圧倒的で、全員は壊滅的なダメージを受け、カドケウスも復活してしまいます。
そこにセキが到着し、結界を張ってサイファーの攻撃を防いでいきます。
その間にディアナたちは僧院たちの治療によって回復。

アッティカだけは脈も呼吸も完全に止まっていましたが、セキから受け取った石によって復活。
そしてその姿を獣へと変えるのでした。この獣こそが最後の三神器、「獣騎士(ゾア・ナイツ)」。
今ここに全ての神器が揃ったことになります。

ディアナは己の中に眠る地の神としての力を発揮し、カドケウスを食い止めます。
その間にセキはカドケウスを封印する結界を作り出していき、
ラシェはカドケウスを結界の中央に叩き落すべくアッティカに乗ってカドケウスを攻撃します。
やがて結界が完成し、ラシェもカドケウスを結界の中央へ落とすことに成功。
三種の神器の力を使い、カドケウスは再び封印されたのでした。

カドケウスの封印と共に大半の魔族はいなくなりましたが、まだ一部には残っているため、
ディアナたちは後始末へと向かい、やがて「聖戦」は終わりを告げるのでした。

エピローグ。
聖戦から30年が経過。すっかり老人となったウォルターは、子供たちに昔話として「聖戦」の話をします。
ディアナがその後どうなったのかを聞かれると、
ソルトブルクの王座に就き、平和が戻るまでこの国を治めた後、いなくなったと答えます。
どこへ行ってしまったのかは誰も知らず、女王の帰還を待って王座は空白のまま。
そしてディーファの祝福を受けたディアナは長命を授かっているため、今でも元気にどこかで旅をしているだろうと。

ウォルターの話を聴き終わった子供たちが外へ出ると、女性とぶつかります。
その女性の周囲には3人の人物。子供たちは肖像画でその4人を見たことがあったのでした。
それは、先ほど聞いたウォルターの聖戦の話に出てきたディアナ、ラシェ、セキ、アッティカで…。



・感想
前回取り上げた「赤のクルセード」に出てきた三英雄の一人、ディアナをメインとしたストーリー。
まぁ黒、赤とくれば当然残された白もあるわけでね。
内容的にはディアナの過去話です。「黒のシエスタ」と「赤のクルセード」の100年前が舞台となっている。
「赤のクルセード」では明かされなかった三英雄の出会いなども描かれているので、この世界観が好きな人は。

設定的にはエルナサーガと共通する部分が結構見受けられる。
主人公が王女で、祖国を追われ、王の側近に命を狙われるあたりとかね。
エルナサーガに比べると大作感はないけれど、4巻という程よい長さでまとめてあるので読みやすくて良い。
ストーリー的にも結構面白いと思う。

説明不足なのでアッティカについて補足。
フーヴァー卿には元々娘はおらず、森の中でアッティカに出会っている。
アッティカは獣としての部分を石という形で分離し、人間として存在していた。
セキは最終決戦でソルトブルクへ着いてすぐに用事でいなくなったけど、これはフーヴァー卿に会うため。
アッティカの秘密に気付いたセキが、フーヴァー卿から全てを聞き出して獣の部分が封印された石も預かったと。

アッティカはディアナの大親友として最初から最後まで一緒にいる良いキャラ。
獣になってしまったのは結構ショックだったんだけど、
エピローグでは元の人間の姿に戻ってディアナたち三英雄と一緒に旅をしているのでまぁ良いかな。
でも「黒のシエスタ」と「赤のクルセード」で出て来なかったのは…死んだのか?
エピローグからさらに70年後の話になるしなぁ。
それか作者がその辺考えていなかったか。後付け設定で三種の神器にしたとかね。

全ての巻で巻末にあとがき有り。どれも大体似通った内容。
[ 2012/10/27 ] エニックス漫画 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://farewall.blog123.fc2.com/tb.php/1164-30e9a9b2